いぬかいちゃんさんのレビュー一覧
投稿者:いぬかいちゃん
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一九八四年 新訳版
2015/11/22 00:23
筆者はなんて世界を想像したんだ
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読み始めたときの印象はこうだ。「こんなに壮大なテーマの小説が、たった450ページ程度の文章量で完結するのか」と。
本書を読み終わった後、筆者の筆力、構成力に感動してしまった。「見事に完結させてしまった」と。
本書は3部構成になっている。第1部では、党の独政に疑問を持つ主人公ウィンストン・スミスの紹介や彼のおかれている立場、環境の描写。第2部では、ウィンストンが党に支配されない女性、ジュリアと出会い、惹かれていく過程。第3部では、秘密の活動をしていた2人がついに党に見つかり、監禁され、厚生されていく話。党の象徴、ビッグ・ブラザーを疑っていたウィンストンが、最後にはビッグ・ブラザーを愛するまでになってしまう。
ここで描かれているのは完全な服従を強いるディストピア社会において、「人間はどうあるべきか」であり、また、全体のテーマとしては「人間とはなにか」である。
熱愛していた2人が党の厚生によって、それ以後に会ってもお互いにまったく興味を示さなくなるほどの党の徹底教育ぶりには、背筋が凍る思いを覚えるとともに、「なんて想像力だ」と筆者に感嘆の意を示すばかりである。
やはり、当時イギリスの植民地であったインドで生まれ、イートン校で学び、警察での勤務を経てその後放浪の旅をした筆者は、自分の想像もつかないような経験をしたに違いない。そういう経験をした筆者が書いた本が自分の想像の範囲に収まることはありえなく、本書を読むことで深い感動を覚えるとともに、「これは良い本を読んだぞ」という感想に至った次第である。
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