端ノ上ぬりこさんのレビュー一覧
投稿者:端ノ上ぬりこ

親を送る その日は必ずやってくる
2018/12/23 17:27
泣きながら読みました
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
井上さんの実体験ドキュメント形式で書かれています。認知症の父と元気な母は二人住まい。その元気な母が火傷で数日入院したのに、容態が急変し脳死状態にまでなってしまう。あっという間に亡くなり、葬儀やら父の施設入所やら実家の引っ越しやらと、次々やって来る波を乗り越えての顛末記。両親との会話であったり思い出であったり読んでいて涙が止まりませんでした。タイトルに、その日は必ずやってくる、とあり身につまされました。色々考えてしまいました。とても参考になった一冊です。

カラスの教科書
2016/10/26 15:53
カラス本、再び
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前に読んだ柴田佳秀氏の「カラスの常識」と、書かれていた時期も違うので比較はできませんが、松原始氏の本作品は今の時代に即して、より分かりやすく解説されていると思います。カラス屋なる研究者の方々には敬意払いたいです。地道に日々研究されているにもかかわらず、なかなか報われないこともあるようで応援したい気持ちになりました。カラスの嫌いな方も、本作品を読んでいただきたいです。実は、一度後頭部をカラスにやられたことが有り、それ以来カラスが怖くて怖くて歩道を歩いている黒い物体があれば、反対の歩道によけたり結構大変な時期が有りましたが、ある時から結構平気で歩けるようになったのです。怖くないなと。その後、カラスの本を見つけ現在に至る、です。書いてある通り、そんなに怖くはないことがわかりました。ぜひ、一読を。

旅屋おかえり
2016/02/03 15:44
旅に行きたい
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主人公は元アイドル”おかえり”こと丘えりか。よろずやプロの唯一のタレントで「ちょびっ旅」が唯一の収入源。スポンサーが番組を降り打ち切りに。仕事もなく、当然旅にも行けずの状態から、旅の代行業をすることに。再び旅が出来るようになり、偶然が重なり仕事が順調に続き旅の醍醐味を味わうことに。時間が経過するほど、強く美しくなるもの。人との絆、思い出。
そうかもしれないと思いながら読んだ。終盤に差し掛かる頃から、涙を拭きながら読んだ。端切れに込められた思いに震えた。旅に行きたい。またもやマハワールドにやられました。

自衛隊防災BOOK 1 100 TECHNIQUES
2018/12/10 11:56
一家に一冊必読
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自衛隊の方の日頃からの防災意識、グッズを解説した本。分かりやすく、すぐに応用でき、参考に出来る貴重なマニュアル本。国民の為に日々訓練されている隊員の方々には頭が下がります。このようなマニュアル本は有難いです。

どこかでベートーヴェン
2017/10/21 16:26
岬の高校生時代
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このシリーズの始まりのような作品。ピアノの演奏そのものの素晴らしさは、このシリーズを読んでいれば楽しめるが、それだけではなく天才と凡人の違いに打ちのめされる思いが伝わってくる。こんな青春が、岬の活躍に繋がっているとは。検事の父親との関わりもここが始まりとは。このシリーズを読まれていない方は、ここから出発するのもいいかも。私は満足しました。

神様の裏の顔
2017/02/18 19:50
どんでん返し
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坪井先生の通夜に集まった弔問客や娘が、心の独白形式で物語が進む。娘や教え子、同僚、隣人、店子の二人。小学生から大人まで多くの人達が、坪井先生を偲んで涙を流す、本当に慕われていた故人の通夜。神様のような存在でみんなの心の中にいる。ところが、少しずつ、本当なのだろうか、もしかするとあの時、あの状態になったのは、先生が関与していたのでは・・・、とそれぞれの心が疑心暗鬼になってくる。まさか、そんなはずはない。否定しつつも、あるきっかけで通夜ぶるまいの途中から、話が怪しくなってくる。凶悪犯罪に加担しているのでは、と一人また一人と先生に疑いを持ち始め・・・。話が二転三転、最後にさらに一ひねり。
ドラマティックな展開で面白かった。ドラマや映画になりそう。

一分間だけ
2016/11/04 21:00
泣きながら、でもわんこ物だから有りか。
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藍は、ファッション雑誌の編集者。ゴールデンリトリーバーのリラの為に恵比寿から郊外に引っ越し、恋人の浩介が主にリラの世話をしながら生活する。忙しく、リラがいつも藍を待っている事も忘れ次第に疲れていく。編集長に認められいよいよという時、浩介が居なくなりリラの世話がままならなくなり・・・。
動物ものと子供ものは、泣くことになっているから、致しかたない。八方ふさがり状態でも、必ず助けてくれる人が現れてホッとする。藍の決断に潔さを感じた。

「起こること」にはすべて意味がある 思い描くことが現実になる「引き寄せ」の法則
2016/06/05 17:35
そうなんだ!
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すべては「あなたの力」で変えていける。不幸だと感じる原因は自分自身の中にある。人は皆、自分の思いや行動、心の在り方、人生に責任がある。心と思いと人生は、光と輝きと色彩のように切り離す事が出来ないもの。自分が考えているような人間になる。思いを変えることで、人は変われる。一瞬一瞬の選択が、自分の運命を形づくっている。
何とも含蓄のある言葉がこの一冊の中にギュと詰まっている。
何度も読み返さなくてはならない一冊になった。

生きるぼくら
2016/01/09 22:53
ありそうで、無さそうな人生
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主人公の名前が麻生人生。そもそもだなぁと思いながら読み始めた。引きこもりの人生が母の家出により、まともな青年に成長していく物語。
母の置手紙に書いてあった、助けてくれるかもしれない人からの年賀状の中に、蓼科のマーサばあちゃんのはがきを見つける。しかもその年賀状には余命数か月と書いてある。
ネット漬けの生活から、いきなり蓼科へ移動するのに携帯電話もほとんど役にたたず、やっとマーサばあちゃんの家に着くが、そこには見知らぬ少女が。
ばあちゃんの家まで送ってくれた志乃さんの話によると、どうやらばあちゃんは認知症になっているらしい。以前コメ作り農家だったばあちゃんの田んぼに、「自然の田んぼ」を一部作っていた。去年までその「自然の田んぼ」だけを細々と自分の食べる分だけということで作っていた。
やがて、見知らぬ少女つぼみ(血の繋がっていない孫)と本当の孫の人生とマーサばあちゃんのコメ作りの生活が始まる。
涙がにじむシーンが何度もあり、ラストのクライマックスに至ってはボロボロ。美味しそうなお米、食べてみたいと思った。「風のマジム」では、マジムのラム酒が飲みたくなったが、今度はマーサばあちゃんの米が、梅干しおにぎりが食べたくなった。目に見えるように表現する原田マハはやっぱりすごい。

贖罪の奏鳴曲
2018/06/23 15:39
御子柴弁護士
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園部信一郎、これが御子柴弁護士の始めの名前。幼女殺し、「死体配達人」の名前で今も人々の記憶に残っている、それが御子柴弁護士。
死体に触れるのは、これが二度目だ。冒頭からこの言葉があり、弁護士なのに死体遺棄までして・・・。そんなドキドキから始まった。どんでん返しの繰り返しで、やっぱり中山氏すごい。渡瀬警部と古手川、稲見教官、谷崎会長とこのシリーズを通してキャラがわかりやすくて、面白い。

八月十五日に吹く風
2018/01/27 15:15
キスカ島を知る
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太平洋戦争の史実に基づくキスカ島からの5,200人の帰還の物語。北方の小さな島で繰り広げられた戦争の様々な状況。物資不足の中での人命救助。そこに至るまでの軍上層部の決断。平和ボケと言われて久しい日本の国。歴史に学んでほしいと、切に願うのは、私だけではないと思う。一人でも多くの人に読んでもらいたい作品。戦争の犠牲になったのは、尊い命を平等に持った一人一人だ、ということを忘れてはいけない。

Aではない君と
2017/11/23 21:03
今回は少年犯罪
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吉永は離婚後、中学2年の息子の翼とは2,3か月に一度くらい会っている。以前はひと月くらいの間隔だったが、忙しくだんだん距離が出てきた。子供がのびのびとなる美術館の建設の仕事が決まり、また美咲との再婚も考えている。打ち上げの最中に翼から着信があったが、出られなく後で連絡するも繋がらない。警察から翼が殺人犯として捕まったと聞かされる。純子と翼が引越した事も、翼がサッカーを辞めた事も知らなかった。改めて翼がどんな事を考え、何を悩み、友達の誰と親しいのか、ほとんど知らないことに愕然となる。弁護士にも吉永にも心を閉ざす翼。一言も話さないまま時間だけが過ぎていく。優斗とは仲が良かったはずなのに、何故殺ろすことになったのか。ペロを飼ってもいいと言ってくれた父を嫌ってはいなかったことを聞き、吉永はペロが死んだと聞かされた時、もっと翼に寄り添ってあげればと後悔する。
薬丸さんの作品は、いつも重く考えさせられる難しいテーマで、今回の少年犯罪の作品は、加害者、被害者、それぞれの家族、関係者、どれも辛いです。心を殺すことと、体を殺すこと、どちらも辛いし、犯罪を犯すことはやはり理由がどうであれ良くないこと。出口が見えず、罪を一生背負って生きていくこと、そして逃げてはいけない。深く重い作品です。読み応え充分。

「日本の神様」がよくわかる本 八百万神の起源・性格からご利益までを完全ガイド
2017/10/21 15:56
タイトルの通り、神様がいっぱい
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日本に八百万の神様の解説本。ここまで良く調べてあるなぁ、と嬉しく思いました。多くの神様に恵まれた日本に生まれて良かったと感じました。分かりやすく解説されているので、一読おすすめ。

埋蔵金発掘課長
2017/01/26 20:17
面白かっただけではない
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父の介護の為、広告会社を早期退職し、故郷の山口県に戻って来た筒井。しかし、あっという間に父が他界し、午前中は道の駅に農家からとれたて野菜を届て仕事終了の毎日。離婚して一人暮らしの自宅は、同級生のたまり場となっている。そんな気楽な生活が突如喧騒に巻き込まれることになる。市の秘書課長の野村から、日照市の財政難から市長に話を聞いてほしいと頼まれる。秘密の探し物。それは埋蔵金。水産林業課の伊藤を部下につけるから、埋蔵金発掘してほしいと。かくして筒井は埋蔵金発掘課長として、冗談のような仕事をすることになる。「どこでも鑑定所」の収録に間に合わせられれば良いんだけど、と言われる。秘密のはずなのに・・・。
「ドスコイ警備保障」にしても「史上最強の内閣」にしても室積さん面白すぎ。ちゃんと戦争体験やら心情やらも盛り込んで面白いだけではなく、落ち着かせてくれて安心した。未読の作品を読みたいと思う。