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  3. 山好きお坊さんさんのレビュー一覧

山好きお坊さんさんのレビュー一覧

投稿者:山好きお坊さん

38 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本魔法の樽 他十二篇

2017/05/08 16:17

味のある作品群、読んで義のある人生を思う

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収録された13篇の短篇の底に共通して流れるもの、それは人の他者との営みから生じる温かみであり、冷たさである。こういうと当たり前の関係性としてまとめられてしまうかもしれないが、そうではない。貧困、差別といった極限的環境下の人間同士の係わりを、ナイフで断ち切ったかのごとく、読者に鮮明に印象付けてくる。ユダヤ人としての差別を受ける特殊性を強調する作品もあるが、戦時下、戦後直後を背景として人間の辛い生きざまが飛び込んでくる。

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紙の本喋る馬

2017/05/08 16:09

これぞ「小説読み」の醍醐味なり、とにかくうなります。

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アメリカ文学の翻訳の名手柴田元幸先生が編集翻訳する「柴田元幸翻訳叢書」の一冊で、まず外さない本であること確信して読んだ。収録作品十一篇すべて読み終えると、ホット息をもらし、瞑目してしばし揺れ動いた感情を静まるのを待つことになるのを保証する。中でも「ドイツ難民」は秀逸であった。ナチスに追われ、なじみの無かった英語圏でドイツ語で培った学識を英語で話す困難を乗り越えた後に待っていたことは・・・。
読者の心を右に左に振り回し、時に喜ばし、時に驚かしめて締めくくる術の冴えには感服する。小説好きには絶対お薦めです。

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紙の本死神の精度

2017/04/29 17:02

死神にヒューマニティー?

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死神界の外回り役が、上部の命により、一週間後に死を迎える候補者の身辺に張り付き、死が可か不可かの最終決定を報告する。対象の死には病死や寿命死を含まず、本人の状況いかんでは「不可」と報告され、その死が先延ばしとなる場合もあるそうだ。一見仕事に身が入っていない死神が、指名された人の生活に深く関与しながら、時には同情し時には相談役的友人としての持ち回りを演じる。これはひょっとすると「不可」と本部に報告するのではとしばしば期待を持たされる。この期待感が本書の醍醐味で、助けてあげてとテンション高めて読み進む。中でも「恋愛で死神」が秀逸、清純な恋とストーカー、読んでのお楽しみ。著者に拍手。

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紙の本外道クライマー

2017/04/19 17:37

人間の体力の限界はここにあり

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

とてつもない男の本である。登山にはヒエラルキーがあるそうな、一番偉いのが冬期登攀で、二番目が普通の岩登りで、三番目が沢登りで、底辺は誰でもができるハイキングだそうだ。自ら低位な「沢ヤ」と呼び、自称「舐め太郎」と称する宮城公博氏の超人的な登山記録である。2012年7月熊野那智大社御神体那智の大滝を登攀して検挙され新聞を賑わした御仁でもある。高度な登攀テクを要する山行はさておき、タイのジャングル四十六日間の沢登り記には驚嘆した。かくも微量なる食糧で重き荷を背負いて密林の沢を遡行し岩稜をよじ登れるのか、人間の体力可能性に興味ある御仁はまずは本書を繙いていただきたい。長さ5mもあるニシキヘビと格闘し切り取った尻尾の皮を齧り剥く写真は鬼神の様。

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紙の本教団X

2016/11/28 14:22

社会に弾かれた者の物語

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

前半は重厚感と推理小説的スピード感を感じ、久しぶりに本への没入の高揚感を味わった。後半は心の動きや人々の結びつきに現実感が無く、事件の進展に納得させる力も弱く、セックスの盛り込みによる興味で引っ張っている感が残った。
 しかし、著者の構想力には脱帽した。引きこもりに代表される社会から弾かれ続けている者とその弾かれている代表的側面である「性」を中心に沿えたカルト集団の存在は宗教、信仰を下卑たものに貶めものの、妙に現実性への同感と読者の心の下卑た一部が発する興味心を誘う著者の手管か。しかし、「神」の存在を否定しながらも否定しきれない教祖「沢渡」への狂信的な信者の信服と沢渡に接する者が一様に感じている人を超えた「パワー」には大いに違和感を持つ。
 「沢渡」のすべてのテロ活動が個の破滅に帰する教団Xの最後、高原に代表された社会改革的なイメージが一挙に萎むラストの展開、その高原を冷徹に銃殺する若い「公安」のSNS投稿などは、高みに挙げられた没入感を奈落に突き落とされた感じになるほどのシラケさを想起させるものだった。
それでも、性を芯とするカルトの存在や市民警察とかけ離れた公安の暗躍はあるかもという警鐘の余韻を頭の隅に残させてくれる読み応えある作品でもあった。

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クトゥルフ神話の雰囲気を十全に醸しです

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

怪奇小説好きな読者には余りにも著名なラヴクラフトの本作品を、原作が持つ妖気漂う恐怖感そして不気味さをそのままにコミックにしあげるとは、著者田辺剛の繊細でかつ剛腕ともいえる筆力に圧倒されてしまった。
黒色を背景に描かれる顔は恐怖の叫びをさらに恐ろしいものの予感を呼び込んでいる。多くの漫画家がクトゥルフ神話に挑んでいるが、田辺剛こそラヴクラフトの心情そのものを描くことができる漫画家と断定できる本書である。怪奇小説の読者よ、「漫画なんてと言わず」にとにかく手に取ってほしい。

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紙の本古書贋作師

2016/08/08 21:19

稀覯本に興味ある者必読の書

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

古書それも著者サイン入り、献詞入りといった極めて高額に取引される稀覯本の世界を舞台にしている。古書をテーマにした外国ミステリーを挙げれば、ジョン・ダニング『死の蔵書』『幻の特装本』『失われし書庫』『災いの古書』『愛書家の死』、マーク・プライヤー『古書店主』(いずれも、ハヤカワミステリー文庫)などがすぐ挙げられる。本書は、著名な作家のサインを、訓練とたゆまぬ努力によって本物のサインと区別することが困難なまでに贋作することで古書価を高額なものに変身させるいわば芸術的職人の葛藤をテーマに進展する。古書贋作師を殺した犯人は最後のページまで明かされない。途中、犯人のヒントとなる箇所があっただろうかと幾度も前にページを戻ることしきりであった。古書、特に稀覯本に関心のある人は前掲の書とともに必読であろう。

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紙の本グローバライズ

2016/03/30 23:05

ハチャメチャで心にグッと迫る

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

新聞文芸時評(東京新聞2015年10月29日掲載文芸時評、評者:佐々木敦)を読んで単行本の発売を心待ちしていた。寡作な作家であるが極めてマニアックな多くのファンを持つらしい。普段読む文芸書とは桁外れに展開する内容についていくのがやっとであるが、読み終えてそれがまた痛快と感じられる。なにせ、通常「起承転結」で進むところが、「起」はあるが「承」が無く「転」はあるが「結」がない作品が12篇も載っている。万人に、是非手に取り読まれることを願う稀有な小説である。一点だけ紹介すると、『道』という作品は漢文ならぬ漢字のみを羅列しての下ネタ表現、それが実に上手く読ませて手に取るように理解できるのである。中国女が僧侶に「伊勢丹」への道を尋ねる。僧侶は中国語ならぬ漢字語?で下ネタ話を累々とならべる。クライマックスの表現「貴方絶叫、伊伊、伊伊・・・」、「我息荒喘、勢、勢・・・」、「激律動相互肌衝突音発、丹、丹、丹、丹・・・」で落とす。これで古栗作品の虜となること請け合いです。

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社会経済状況を知る娯楽教養小説

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富の偏在、非正規職員の低所得、ミルトン・フリードマンの経済思想等2009年現在の社会経済状況を解説しながら筋の進め方に気が引かれる。変った小説だ!面白いぞ!の感をもって読んだ。
 面白い。はらはらドキドキさせる。それでいて、「生」「死」「家族」「性」についてフト考え込ませる。実社会ってこんなに恐いのと違和感は大。フィクションとはいえ、知る興味津々となる娯楽教養小説である。

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異国情緒あふれる犯罪物語

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

テーマーは、最高級の聖遺物となろうイエス時代の遺物で、物理的に時代確定できる石棺にイエスの弟云々と刻銘された遺物が発見されたものであった。学問の世界と俗世界を大いに騒がせた事件を追ったもので、確かに推理小説のような読みやすさであった。かって、日本の考古学でも「ゴット・ハンド」と謳われた民間学者の贋物事件が一大スクープされたことがある。信仰は盲目にすることを改めて感じた。

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紙の本きことわ

2016/03/03 22:10

高嶺を舞うごとき読後感

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品がある。幾重にも重なる過去の話が乱雑に絡むことなく紡がれていく。透明感があり、人と人の触れ合う温かみを感じながら読んだ。永遠子の母淑子が、夫以外に好きな男性がいたこと、その頃に生まれてこなかった妹がいたことをデパートの食堂で何気なく告白すること、また貴子が妻子ある男と最近別れたことなど結構泥臭さが匂ってもよい出来事もあるのだが、流れは静謐で静かで清らかな深山の沢の感じである。難字や触れたことに無い言葉に出くわすことが多い。作者が歌舞伎の研究者である所以であろう。

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寺院の僧のホンネの信仰

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中世における仏教の淫風に驚嘆した、立川流のみがとで突出して異端と思っていたが、性欲への従順な姿勢は全ての寺社、宗派に染み渡っていたらしい。日本の仏教信仰の取り込みそのものが個人の問題ではなく鎮護国家を目的にして、国家のために導入し、仕事として広めて行ったもの。初めから釈迦を手本として禁欲して仏陀になろうなんていう信仰心はなかったから、仏教の説く原理は原理としてタテマエとして捉え、人間の原欲求に素直に従うことをホンネとして扱ってきたことが良く理解できた。

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紙の本六〇〇〇度の愛

2016/02/24 22:09

原爆という哀しい記憶の 刻まれた街に生きる女

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何に悩むか定かでないがアルコール依存の兄、兄のすべてを許す母、真逆に母に虐げられる妹の女、女は兄を自分の理想形として思慕する。そして周囲には依存症から立ち直ったかに見えたその日に兄は飛び降り自殺をする。その日から女には死への憧れがつきまとう。ギリシャ正教会の知識や、ドストエフスキーの「悪霊」「罪と罰」に触れる結構硬派な内容に身仕舞を正したくなる。女は、禁酒宣言し読書に没頭する兄の姿にまた別の兄を見出す。読んでいる本は「エミール」。クリーニングのきいたまっさらなワイシャツに触れるがごときごわついた感じを持ちながら読んだ。

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紙の本自由への道 6

2016/02/24 22:02

捕虜となったブリュネは、収容所内で抵抗組織づくりに精を出す

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サルトルはまだまだ書き継ぐ予定であったのだろう。今までの主人公マチウは消えて、共産主義に、そしてフランス共産党に凝り固まったブリュネ一色になった。収容所でのオルグづくり、日本のプロレタリアート文学にもありそうな動き。人物の個性がありありと描かれ、小説家としてのサルトルを大いに評価したい。ブリュネは党から離れてのオルグ活動、リーダーシップを発揮していた。党役員のシャレーの登場により、悩み、党から離れた自己を見出す。身の不安を察知し、捕虜収容所から脱走を図るシャネデールにブリュネは悩みぬいた末に行動をともにする。しかし、卑劣なる党役員シャレーの密告により、収容所を脱出したものの二人はドイツ兵の銃撃の的となる。このシーンの迫力、緊迫感はハードボイルド並みである。哲学的なんてことはない、結構面白い小説である。

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紙の本追跡する数学者

2016/02/24 21:56

書物をテーマにしたミステリー

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主人公のフィリップ・マスリクは数学者、保険会社の投資コンサルタント。毎日のようにランニングしている。その恋人のアーマ・アーキュリは、小説家で本の装丁家、二人は学生時代3年間の付合い後、結ばれた、20年も前のことであった。351冊の自装丁の蔵書をフィリップに残してアーマは失踪した。濃密なエロティシズムと紹介しているが、その表現は稚拙で、たいしたことなし。熟しきったセックス大国アメリカのごくありふてた生活の断面を色づけした感じがする。
 アーマは最後まで見つからず、スペインで別れたかって義理の息子であったサムのこと、その姉ニコールのこと、全くはっきりさせず終わっている。消化不良のイライラが残る本であった。たびたびフィッリプがあらわす数式は何の意味があるのか最後まで不明であった。

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