文蔵さんのレビュー一覧
投稿者:文蔵
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くじ
2016/11/30 12:20
日常風景に毒を
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有名な「くじ」以外は、どこにでもあるような日常風景に非常に微妙な毒を含ませた作品ばかりで、こういうのは短編小説でこそいかされる。強烈な刺激や変わった趣向を求める人向きではないが何度も読むとじわじわと恐怖感というか描かれている日常に違和感を覚え、これもホラーなのかもと感じ、読後妙に心に引っ掛かるのだ。長編の「丘の屋敷」も素晴らしいがジャクスンの非凡さを再発見した。
無名抄 現代語訳付き
2016/04/24 11:52
歌論集です。
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昨今、シンプルライフの指南書のように扱われて品を下げられている「方丈記」の作者鴨長明の歌論書。難解な訳ではなく、同時代の歌人のエピソード集としても楽しめる。百人一首の有名歌人の意外な素顔など面白いです。つまり古典の和歌や歌人に興味のあるひとり向けです。ましてやシンプルライフ云々とはまったくお門違いです。
たんぽぽ娘
2016/10/26 12:05
甘いだけでないヤング
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ヤングの作品のうちでも特にロマンス色の強いものを集めたとのことだが、結構シニカルの内容もあり、驚かされた。たぶん作者の生きたアメリカの当時の社会状況が影響しているのだろう。甘いだけでなくビターなヤングもなかなか良かった。
居心地の悪い部屋
2016/02/02 12:45
タイトル通り
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いわゆる「奇妙な味」物語。「居心地の悪い部屋」とはまったくうまい表題で読後感をよく表している。といっても「嫌な話」的な陰惨としたものではなく(もちろんさわやかでもないが...)、漠然とした不安感や心にざらっとしたものが残る感じだ。古典作品と違って現代的なドライな語り口も読みやすく読後感に浸りやすい。それでも欧米人作家に伝統的な人をくったもようなホラ話的作品やブラックユーモアもちゃんとあって普通に短編好きも楽しめるバランスのよいアンソロジーになっている。
十月の旅人
2016/04/24 12:03
さすがのストーリーテラー
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SFの大家として有名なブラッドベリですがこの短編集はSFとうより奇想の物語集でそれも珠玉のものばかり。古さを感じない訳ではないが面白さは色褪せない。それにしても少し感慨深いのは2016年の今が本書で登場する未来より未来だということだ。そして当然火星旅行もタイムマシンも実現していない。しかしブラッドベリが想像だにしていない情報技術の進歩には未来予想が難しいことだと思わずにいられない。
マッド・サイエンティスト
2016/02/27 11:28
幻想文学の佳品揃い
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「マッドサイエンティスト」といういささかレトロな響きのある表題から想像したのは天才だが異常な性格の持ち主あるいは理論を過信し暴走する科学者の話だ。が本書はよい意味でそんな先入観を裏切ってくれた。幻想文学の佳品揃いなのだ。巧みなプロット、語り口のうまさなどどの作品も魅力的で、しかもバラエティーに富んでいる。古典的なものに本格ホラー、モダンホラー、ハードな問題提起物さらにドタバタ調、ブラックユーモアまであり実に贅沢なアンソロジーだ。幻想文学好きならきっと満足されると思う。
短篇小説日和 英国異色傑作選
2016/11/30 12:36
一捻り効いている
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短編小説の良さは結論がはやくわかりやすいことだけど、安易すぎるとつまらない。といって奇をてらいすぎてもダメで、日本には星新一という偉大な作家がいるけれど、海外ではやはり英国作家のが丁度ひとひねり効いている感じがして面白いように思う。本作品集のすべてが好みという訳ではないけれども多くの作品で短編小説の醍醐味を堪能させてもらった。
奥の部屋 ロバート・エイクマン短篇集
2016/10/26 12:17
古典の香りがするモダンホラー
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モダンホラーとなっているがエイクマンのは多分に先達のポーやビアス、デ・ラ・メア、マッケン、ラブクラフトを彷彿させるところがある。とは言うものの彼らとは明らかに違う。不可解な悪夢めいているが、わざとらしく抽象的でもない。描写が秀逸で本書でも後の作品ほどその印象が強い。キングやバーカーの亜流ばかりの現代ホラーに飽き飽きしている人には案外新鮮に思えるかも。
夢の女・恐怖のベッド 他六篇
2016/10/26 12:41
短編物語の基本
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古典といえる時代のものだけにさすがに古さは否めない。しかしストーリー作りの基本をみるような感じ。ここから発展させれば純文学にもホラーにもミステリィーにもなる。またどこか落語めいたところもあり、全く根拠ない妄言だけどもしかしたら明治の落語に影響したのかも。
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