にゃっつさんのレビュー一覧
投稿者:にゃっつ
至高の十大指揮者 トスカニーニ/ワルター/フルトヴェングラー/ミュンシュ/ムラヴィンスキー カラヤン/バーンスタイン/アバド/小澤/ラトル
2020/04/08 14:05
お値打ちの一冊
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
自宅勤務が続いて、テレビをつけっぱなしだと気が散るし、「コロナ、コロナ」の連呼(当たり前だが)なのでうんざり。
パソコンに向かって仕事をするためにBGMをかけることが多くなった。
そんなに豊かではないライブラリーの中からCDを選んで低くかけながら仕事をすると思いのほか気持ちよく仕事できることを発見。
いまさらながらにライブラリーの幅の深さの貧弱さを感じるが、とりわけクラシックは「カラヤン」ばかりである。
小学校高学年から中学校にかけて学習研究社という出版社が出していたクラシックのレコードが付いた月刊誌を購読していたことがある。
その時はフルトヴェングラーとか聞いていたと思うが、中学校高学年からはカラヤン一辺倒になった。
実際にコンサートに行ったことはないが、教育テレビや国営放送でたまにやっているカラヤン指揮のコンサート番組を見て、その「格好良さ」に惹かれたミーハークラシックファンである。
かじった程度。
だが、この状況の中でまたクラシックに触れるようになり、新聞の書評でこの本を知った。
なんと10人もの名指揮者の評伝が1冊にまとまっているとは。
思わずすぐに購入(だいたいそれである。hontoはほんとにその点便利)。
カラヤンがナチスに入党していたらしいことは映画「愛と悲しみのボレロ」でうっすらと知っていたが、そのあたりの事情も詳しく知ることができた。
戦後アメリカではじめて招聘されて指揮したときにコンサートホールがチケット完売にも関わらず無観客であったというエピソードはもう少し深堀できたかとは思うが。
(ナチスに入党していたために意趣返しをユダヤ系アメリカ人にされたというのが定説ー諸説あり)
カラヤンから読み始めたのは無論だが、読み終わり最初から読み始めると、全編を通じて詳細なバイオグラフィーであり、クラシックの楽しみ方が増えたような気がする。
まさにお値打ちの一冊である。
竜宮城と七夕さま
2020/11/24 08:38
安定保証のエッセイ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
大ファンであるところの浅田次郎先生のエッセイである。
某航空会社の機内誌に連載されているエッセイをまとめたもので、私は某航空会社の体質が好かないので、絶対に乗らないので、こうして文庫で読めるのは幸せ。
わたし山本一力先生同様、取材で世界を駆け巡っておられ、その旅行記が中心であるが、はずれがない。
どのエッセイも「なるほど」「確かに」「そうなんだ」と思わずにはいられない。
おそらくは人知れず呻吟しながら原稿用紙の升目を埋めておられるのだろうが、読者から見れば、軽妙洒脱、天衣無縫。
本当に素晴らしいお方であると、存在することに感謝するばかりである。
BLUE GIANT SUPREME 10 (ビッグコミックススペシャル)
2020/04/08 14:46
いよいよクライマックスか
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
音の聞こえるジャズコミックスとして人気を博している本作も、いよいよクライマックスに向かってきている。
本作はその第10巻で、ピアノ、ドラムス、ベースの仲間と組んでのヨーロッパジャズ界での活躍を描いている。
作品自体は申し分ない盛り上がり、説得力があるのだが、では実写化したり、ライブステージで再現するときはどうするのだろう。
テナーサックスのジャズの巨星となる主人公のテクニックと熱量を実際に再現するとなると誰がそれをできるのか。
読み始めて以来、それが唯一の気がかりである。
コミック(漫画)で読んでると、アニメ作品になったときに主人公の声が自分のイメージと異なって違和感を覚えたり落胆することがあるという読者も多いと思う。
できればこの作品は実写化やライブにしてほしくないと願うばかりである。
それだけの内容があるいい作品であるだけに。
読み手のひとりひとりのイマジネーションで遊ばせてほしい。
燃えよ剣 下
2020/12/13 09:21
男の中の男
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
司馬遼太郎先生の作品は現在60歳以上の方にとって懐かしくもあり、またこれからの生き方を教えてくれるものではなかろうか。
映画化されると聞いて、私もこの本を手に取った。
司馬遼太郎先生の新撰組ものは読んだような、読まなかったような、はなはだ心許ない記憶しかない。
新撰組副長 土方歳三の人生を描ききったこの作品。
おなじみの作者の意見が随所に挟まれて、極めて分かりやすく、深い。
この作品を読むまで、土方歳三という男を知らなかったと言っても過言ではない。
なぜ幕末、榎本武揚の軍に加わって海に陸に暴れ回ったのか、ようやくわかった。
痛快な生き方をした男であったと思う。
お雪との淡い恋も切ない。
この作品を語るのに多くの言葉は要らないと思う。
映画をみる前に。映画を見てから。
ぜひご一読あれ。
しかし、本題ではないが、幕末にもハシカの大流行があったという。
それを江戸町民は耐えてきた。
さらに時代を下って、明治にもスペイン風邪の流行もあった。
ことごとく日本人は乗り越えてきた。
いま、この時代。
コロナが克服出来ないはずは、ない。
頑張って、耐えていきたい。
先人に嗤われないように。
宮沢賢治の食卓 続 (コミック)
2020/12/04 08:09
歴史は動かさなかったけれど
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「アメニモマケズ」。この詩はあまりにも有名で、誰もが知っている童話作家の一面を持つ宮沢賢治さん。
しかし、彼の人生が捧げられたのは、寒さにうちひしがれる岩手の農民の生活向上であったことを今さらながらに知りました。
この作品は宮沢賢治さんの食生活を軸に彼の人生を俯瞰した、名手魚の目三太先生のシリーズ完結編。
前巻で描ききれなかったエピソードを集めています。
裕福な家庭に育ちながら、それに背を向けて困難な道に立ち向かう生活が丁寧に描かれています。
「銀河鉄道の夜」、「風の又三郎」、「注文の多い料理店」など、名前や梗概を知っているだけで読んだ気になっていた自分がひどく恥ずかしくなる。
まさに人間「宮沢賢治」を描いた秀作であると言える。
さて、あなたは読後、「銀河鉄道の夜」を手に取るのだろうか。
それとも、三ツ矢サイダーと蕎麦を食べに走るのだろうか。
ひとり酒の時間イイネ!
2020/11/20 08:42
寂しくたって
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
だいわ文庫で、大好きなショージ先生のアンソロジーが発行されはじめた。
これはお酒、ことに「ひとりで呑む酒」にテーマを求めたもの。
執筆作品は膨大であるにしても、ショージ先生はよほど「ひとり酒」に憧れておられるようだ。
けれども、それをすると「ああ、あの人は付き合ってくれる人がいない寂しい人なんだ」と人目を気にして踏み切れない。
そんな先生の妄想の展開がオモチロイ。
酒ではなく、話に酔える佳作集である。
私?
モチロン、この本片手に串カツやでひとり呑む、孤独なおじさんです。
早くこの世界へどうぞ、いらっしゃい!
知らないと恥をかく50歳からのマナー
2020/11/14 09:09
知識の再確認
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
コロナで冠婚葬祭はおろか、会食の機会も激減してしまったが。
自宅勤務の無聊をかこっていたときにこの本を手にした。
丸善で店頭受け取りしたが、女性店員に思いっきり軽蔑の視線を向けられたが。
そりゃそうだね。
60歳過ぎでこんな本を買うとは、今までなにしとったんや、と思われて当然。
こらえて、読みましたが、幸いなことに私が常識として来たことばかりでした。
存外、まともに生きてきているなぁ、と安心した一冊でした。
ずんずん!
2020/11/08 09:01
一力ワールド全開
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
新聞は毎日来る。
ヤクルトレディは週に一回。
牛乳は見かけなくなって久しい。
だってスーパーで安くて新鮮な牛乳が手にいれられるもの。
という概念を覆してくれる作品。
昔ながらの早朝配達の牛乳屋を舞台に繰り広げられる人間模様。
いささか予定調和の感はあるものの、涙腺を緩められっぱなしの一力ワールド全開の作品であります。
2020/11/04 08:46
名作!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
魚乃目三太先生はふざけた名前ですが(失礼)、必ず泣けるグルメコミックの大家です。
その先生が宮澤賢治の生き様を描き、少年画報社の「思い出食堂」に連載された作品をまとめたものがこの単行本で、これは第2巻で完結編。
賢治の真面目で、ユーモアがあって、弱いものに優しかった生き方を余すところなく描いてあります。
注文の多い料理店も銀河鉄道の夜もこの作品に触れて読み直した程です。
宮澤賢治の入門書として出色の作品であると思います。
大人の脳トレ!チコちゃんの激ムズまちがいさがし
2020/11/04 08:32
なかなかの手強さ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
60歳間近のパズル好き同居人のために購入。
チコちゃんは毎週土曜日朝に欠かさず見ているので、ノリノリで挑戦中。
子供だましの間違い探しではなく、結構難しいらしい。
頭の体操にと購入してあげたが、未解決の付箋が増えていって、充分に頭の格闘になっているようだ。
楽しい本です。
2020/04/08 16:44
劇画というより絵画
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
谷口ジローという作家が好きだ。
でも、もういない。
過去の作品はほとんど購入したつもりであったが、まだ、あった。
hontoの新刊紹介で出会い、即購入。
装丁もいいね。
モノクロでハードボイルドな物語であることがすぐにわかる。
そしてページを開くと。
緻密に描かれ、何枚も丁寧にスクリーントーンを貼り重ねたであろう画面が次々と展開していく。
スクリーントーンで描かれた印影は深く、それはまさにスクリーントーンのパターンを超えた絵である。
これは劇画というよりもうすでに絵画。
生の原稿はさぞかし重たいのだろうな。手に取って確かめてみたいものだ。
さて、
物語はジローさんらしい骨太というか、硬骨というか、しどろもどろというか、そんな感じの展開。しかしこれは原作があるので、その原作をジローさんがうまく料理しているのであろう。原作のままかもしれない。
まだ生きている原作者の巻末言もあるが、やはりこの作品は「谷口ジロー」の作品ではないだろうか。原作者には失礼かもしれないけれど。
原作が生まれるべくして生まれ、描かれるべき人にたどり着いて生命を吹き込まれる。
そう、この原作は谷口ジローという人に描き起こされるべくして生まれたのだろう。
いまさらながらに、いない人が懐かしく、心が泣く作品である。
完全版ピーナッツ全集 20
2020/04/08 14:32
全集の「河出」! いよっ!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
中学2年生のころ、日本で初めてスヌーピーを紹介する雑誌が発売された。週刊誌の体裁で、スヌーピーのコミックと記事が掲載された雑誌。この雑誌に投書が乗って、同じくスヌーピーが好きな女の友達に尊敬されたことがある。彼女ももう60歳か…。
さて、そんな筋金入りのスヌーピーフリークの私に、いよいよ最後の踏み絵がやってきた。
全集の河出が、全集を出してしまった。ピーナッツの。
小説の河出がスヌーピー(ピーナッツが正しい)の全集かよ。
と思って、悩んだ。悩んだ末に、予約特典の豪華さに負けて全巻予約してしまった。
hontoで全巻予約をしたかったが、どうしてもできず、結局丸善本店で受け取る形で購入を始めた。
実際にその製本を見ると、大きい。重たい。まるで図鑑である。
中身が楽しみである。
だが、これはスヌーピーフリークに育った下の娘が孫をスヌーピーフリークに育て上げるまで封印しておく。
その時をこの目で見られることができれば幸いである。
そう思いながら毎月7,000円を支払っている。
余裕のある人は第1期とか節目ができてからまとめ買いするのであろうが。
なににせよ、ファンには楽しみな全集じゃある。
天子蒙塵 第2巻
2017/01/16 19:35
迫力の展開
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ご存知浅田次郎先生の蒼穹の昴4部作の第4部。
まだ2巻目ということもあり、浅田節は炸裂するに至っておりませんが、随所にちりばめられた中国語のセリフが輝きます。
薄幸の清朝最後の皇帝溥儀の心中が細かく緻密に描かれています。
ファンならずとも蒼穹の昴から読み直したくなること必至の名作です。
損料屋喜八郎始末控え
2021/02/22 09:58
一力版「必殺仕置き人」
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2月にしては春めいた陽気が続いている。
コロナの自粛期間真っただ中だが、浅草には人があふれる日曜日となった。
こんなんで大丈夫かなと思いつつ、通勤の地下鉄に乗った。
しかし、しかしである。
日本人にとって、東京人にとって、「春は浅草」なのである。
隅田川の両岸が桜色に染め上げられて、春。なのである。
仕方ないかな、と思う。
そんなおり、
山本一力先生の新しいシリーズを知った。
「損料屋 喜八郎」シリーズである。
損料屋というのは、現代のレンタルショップであり、貧しい人々に鍋・釜、布団などの日用品を貸出し、賃料をもらうのを生業とする。
だが、この喜八郎、そんな老人・隠居の生業とされる損料屋にしては年若い。
そう、損料屋は仮の姿で、本当の仕事は勘定奉行の密偵なのである。
だから、仕事が金にまつわる厳しい話ばかりなのである。
一力ワールドは市井の庶民の話が主だが、このシリーズは札差と呼ばれる武家相手の金貸しの話が中心。
時代は松平定信が「棄捐令」を発布する前後。
武家相手に切米を担保に金を融通し、巨万の富を稼いだ札差たちが、棄捐令によって貸付金を棒引きにされてからの話である。
実に生々しく、厳しい話である。
そんな中身を江戸深川・門前仲町あたりの季節行事を絡ませながら読み進めさせる筆致はさすが。
知らず知らずに引き込まれ、江戸の四季を感じながら勧善懲悪と割り切れない、錆びついた味のする物語に浸れる。
幕府と政府、行政の呼び名は変わっても金に関する人々の感情は変わらぬものだと妙な感心をしてしまうが、日銀のインフレ策につられて上がる株価を見ていると油断ならないことじゃあると思ってしまう。
とはいえ、読後感は後味すっきりの一力ワールドであることは保証する。
春はもうすぐである。
マスクは踊る
2021/02/15 10:05
令和になってますますパワフル
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
オリンピック組織委員会がガタついているが、ショージ君はまったくガタついていない。
そんな安定感が感じられる「大人の分別学」の単行本である。
おまけに「タンマ君」も読めるという大サービス版。
令和の元号発表をこれほど深く掘り起こした人も少ないのではないだろうか。
自分はテレビでその場面を見て、「あ、そ」くらいしか思わなかったのだが、巨匠は視点がさすがに違う。
平成と比べて、あれこれ考察。つらつら思考。
結論としては、「簡単すぎる」と切って捨てている。
そういわれりゃそーだな、と凡人の典型である私は深くふかーく頷く。
かたや、田原総一郎氏と「老人とセックス」について鋭く対談。
これは問題として身近なので私も「ナニナニ」と思わず顔を近づける。
40年も画業をこなしてこられ、しかもいまだに第一線。
頭の下がることである。
ついでに溜飲も下がる。
コロナ禍でうつうつとしている方、必読の書と言っても過言ではないと思う。
