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KKさんのレビュー一覧

投稿者:KK

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紙の本

ドイツや大学史のトリビア集ができそu

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いろいろなエピソードがあって、分厚い専門書だがおもしろく読み進められた。

例えば、貴族や裕福な商人の子弟を呼び込むため、大学都市をキレイにする必要があった。清掃条例が作られて、18世紀前半には既にゴミ収集車が毎日巡回していた。自宅の美観や周辺道路の清掃が、やがて常識として定着していった。大学の医学は薬学中心で、外科手術は手工業職人の仕事だった。決闘がスポーツのように行われていた。学生が遊びすぎてすぐ借金してしまうので、踏み倒しOKの法律ができた。学生は使用人を使うのが普通だったが、中でもバイエルンの皇太子は70人の奉公人を連れてきた…

本題はもちろんゲッティンゲン大学とドイツの大学一般の歴史。大学と都市の変遷が、細かいデータによって示されていく。例えば、人口や教授数、学生数、講座数と内容、給料や家賃、飲食費、召使いの種類と賃金、学生がらみの事件や裁判の判決…。戦争、宗教・国家と学問の対立など歴史的エポックに大学や市民はどのように影響され、そして応答していったのか、教授や学生、市民の感覚としてわかる気がした。

また、地方都市の資料が細かく残されていたことに驚く。ドイツ人の几帳面な気質のせいだろうか。行政資料や商人の記録、市民の日記等。民間の資料までよく保存されていたものだ。日本では地方都市の資料がこれほど残っているのだろうか。

考えさせられたのは大学のあり方。
ドイツの大学はノーベル賞受賞者を多数輩出するなど隆盛を誇った。独立性の高い領邦(地方政府)がそれぞれの大学経営を競った結果、特長ある学問が発展した。更に大学内でも教員システムが競争的だった。

身分が保障されたのは正教授だけで、若手の員外教授、私講師、補習授業教師たちは有料の授業で稼ぐ必要があった。聴講生の人数や他大学の引き抜きという市場原理が入ることで、新しい分野、専門性の高い分野、独創的研究が積極的に評価された。研究者は供給過剰で競争が激しいが、研究の厚みが増していった。大学という場に知的探求の熱気があったことが伝わってくる。しかし、やがてナチスによって良き伝統は破壊される

日本でも、今、大学改革が試みられている。入試改革とか、グローバルリーダー育成とか様々なキーワードを耳にする。21世紀は学問が更に大きく飛躍する時代だと思うが、日本の大学は魅力的で、エキサイティングな場となることができるのだろうか。

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