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Hyperion64さんのレビュー一覧

投稿者:Hyperion64

24 件中 1 件~ 15 件を表示

実在とは何か 量子力学に残された究極の問い

2021/09/20 20:10

コペンハーゲン解釈への痛烈な批判

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

量子コンピュータ熱の高まりで再び、量子力学の基礎に対する関心が高まっている。
「第一部 心を鎮めてくれる哲学」はボーアとアインシュタイン論争のような初期の量子力学解釈のまとめだ。「第二部 量子の反乱分子」がユニークだ。ほとんど語られる機会がなかったボームとその量子論解釈(パイロット波)が好意的に取り上げられている。
「第三部 大いなる企て」はベルの定理とその検証実験という最近に至る研究が解説されている。
量子力学はいかなる意味でも実在を記述していないという立場を崩さない晩期のボーアとその取り巻きを「コペンハーゲンは腐敗しているという人物が必要だった」とまで皮肉っている。
 要するに、観測できないレベルのモデルは無意味だと言い切れるのかということだ。
 そして、従来のコペンハーゲン解釈でどこまで割り切れるのか、についてこの本は批判的に論及している点が新鮮だ。著者の言うところによればベルの定理とその実験が示しているのは「非局所性か多世界解釈か」の二択になる。大方の物理学者は認めないだろう。
 コペンハーゲン解釈は著者の観点からすると「論理実証主義」の生き残りであり、時代錯誤的な哲学を引きづっているに過ぎない。
本書の思想的背景がわかる。マッハに始まるウィーン学派とコペンハーゲン解釈の類縁性を指摘し、クワインやトーマス・クーンの批判によりそれは過去の遺物になったという科学哲学の状況を詳しく説明していることからわかるのだ。量子力学の本でそこまで言及するのは異例だが、正しい指摘ではないだろうか?
 ともあれ、量子力学の解釈問題をここまでつきつめているのは珍しいし、面白い。知的興奮を覚える人も少なくないと思う。

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科学文明の起源 近代世界を生んだグローバルな科学の歴史

2023/12/13 12:07

科学起源の西洋一強説への挑戦

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書のユニークなところは近代科学の起源が西洋中心ではないことを明らかにしようとしていることだろう。
その試みが成功したかどうかは各自読んでみてください。科学の推進力にはグローバル化とナショナリズムがある。著者はグローバリゼーションとナショナリズムのパワーで中庸の道を歩もうとしたことは確かだ。イギリス人学者の科学史の論述としては珍しく中部アメリカ、中東、インド、中国、トルコが組み込まれている。
とりわけ、日本が第4章以降昭和時代にいたるまで、近代科学精神の振興が取り上げられている。
 江戸時代の本草学、あるいは蘭学、明治時代の進化論と地震学、昭和時代の量子論(仁科と湯川)が丁寧に紹介されているのが否が応でも目につく。欧米の知識人にもそうした日本文化の連続性が認識されたわけだ。
 明治以降の急速な近代化は江戸時代に種はまかれていたのをうかがわしめるに足る内容ではある。
 しかし、やはり、西洋中心の科学史を突き崩すのは難しいだろう。西洋中心科学史は実線で描かれるの比して、西洋以外の他文明の刺激による科学発展は点線でしかない。
 だが、本書で至る所で明らかにされているように他文明からの西洋科学への刺激と応答が、科学の進化を推進させたのは異論はないのではなかろうか。また、日本の事例が物語るようにナショナリズムが科学者たちを駆りたてたのも本書から理解できた。
 複眼的な視野を近代科学の発展に持ち込もうとする努力は一読にあたいするのは確かだ。

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異界への旅 世界のシャーマニズムから臨死体験まで

2021/10/21 08:19

異界への扉をひらく

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者のクリアーノは宗教学者エリアーデの高弟。亡き師の後を継いで間もなくチャウシエスク政権関係者によりシカゴ大学構内で射殺された。

 今から30年前の1991年のことだ。働き盛りになろうとした宗教学者の早すぎる死はアメリカ社会の行きつく先を予兆していたのですな。

 いくつかの著書が紹介されているが、本書は門外漢にも親しみやすい内容だろう。
 ギルガメッシュ神話、羽化登仙、シャーマン、ヒントンとボルヘス、グノーシス主義、死者の書、黙示録など古今東西の「魂の旅」の航跡を辿り、その埋もれた「普遍性」を明証しようとする。
 おそらく疑似科学の語り部たちは衰え果てた末裔というべきなのだ。彼らの追随者たちやビリーバも現代社会から喪われた神話や「物語り」を求めているのだ。

 「多様性のなかの統一」を追求する果敢な試みは宗教的にも思想的にも閉塞している現代人の心にも響くものがある。
 埋もれているのは現代人の魂の方で、前世紀&全盛期のクリアーノの立場の方が高みにあったであろうと感じさせてくれる貴重な書物である。
 桂芳樹氏の最後の訳業ともなった本書はその真価を味わえる人たちへの貴重な遺産となったといえる。
 遅まきながら、著者と訳者に瞑目しよう。

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西部戦線全史 死闘!ヒトラーvs.英米仏1919〜1945 新版

2021/01/01 13:21

ヨーロッパ戦線の推移を要領よく説明

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

第三帝国の興亡史については数多の本が出されている。自分もいくつかは読んでいた。この本を読むときもそれほど多くは期待していなかった。
本書の特色としては、『失敗の本質』の野中郁次郎氏らの影響があるのか、ドイツ軍の初期の成功とその後の失敗の流れについて、逆に連合軍の初動の失敗と後半の成功に至る道筋について手に取るように分かりやすく記述されている。
 個々の戦いについて、連合軍とドイツ軍との戦闘地図が記載されているのも良心的だ。
 パリ陥落までの前哨戦については、新たに知るような事実が多くあり、ヒトラーの戦争について詳しい人にも多くの発見がある良書だと思います。

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光の曼陀羅 日本文学論

2016/09/21 05:46

奇想の作家たちの宇宙論的評論

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

埴谷雄高、江戸川乱歩、折口信夫は一見、とりとめのない文学者と小説家と学者の寄せ集めに感じるが、安藤礼二の手にかかると異なる象徴的展望が拓ける。時代精神と宇宙論的なパースペクティブが、彼らにはあり、それこそが薄っぺらな現代人が喪失したものだ。
 著者がひろいあげた足穂や武田泰淳もそうだが、20世紀中ごろの日本文学というのは穏健ならざる天性の芸術家、奇想にあるれた人たちが活躍していたものだ。半世紀を経てようやくそれが理解できる地点に文芸評論も到達したというべきか、それとも無くなった宝を惜しむ頃合いなのか。
 価格が文庫本ではないのが残念。これでは読者が拡がらない。

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老子探究 生きつづける思想

2022/05/24 08:58

驚きのテキストの位置づけと読解進化に益あり

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

もともと老子については古写本が出土したのは知っていたのですが、本書でつぶさにその内実を知って、賢者老子の単独記述であるというイメージがひっくり返されました。
 私どもの世代の「老子」の標準的テキストは708年の「道徳経石碑」というのがもとになっていたのですが、1973年の馬王堆(まおうたい)の第三号漢墓から紀元前200年頃の「老子」のテキストが二種類発見されました。

 これが帛書老子です。前漢の時代です。

 老子が生存していたのは春秋時代でして、前500年頃とされてます。300年経過後のテキストですね。

 帛書老子の2種の版は甲と乙と名付けられ、異同が点検されてました。それぞれ、現存版と微妙な異同がそこここにあると素人的にまとめておきましょう。一番の相違が上と下が入れ違いになっていることでした。

 驚くべきことに1993年に湖北省荊門市の第一号楚墓から、現存版老子の3割相当を含むテキストが発見されました。竹簡で残されていたこともあり楚簡と呼ばれます。年代は大体、戦国時代の終期とされます。帛書はシルクだっかな。

  古い順からいうと、楚簡→帛書→道徳経石碑 となるわけです。

 内容は、大まかにいえば、帛書よりも古い純朴(アルカイック)で単純なテキストなのですよ!言い回しが素朴なのです。より原型に近い。でも老子が書いたのが原型というのは、従来の信念でしかないわけです。

 同じ章であっても、文言が修飾追加され分かりやすもなれば原義が喪われていく部分もあり、一筋縄ではいかない変遷を示しているのがわかってきたのです!

 五千言の数割は無名の写本生かつ思想家たちの思念が老子の名のもとに組み換えられて生まれてきたといえる。後世の付け替え、組み換えの結果が、我らの『老子』という聖典は老子を核にした無名の人びとの想いの結晶体だということです。
 つまりは、中国人の累積的な智慧の書だということです。
 こうした新鮮で意想外な古典の継続変遷を知るには本書ほど適切な本はないと信じています。
 同じ著者の岩波文庫版『老子』と併読することを強くお薦めいたします。

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デモクリトスと量子計算

2020/10/08 20:45

古代ギリシア思想起点の量子計算論!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『デモクリトスと量子計算』とはひいき目に言って奇怪なタイトルだ。多分、ギリシア哲学へ関心がある人も量子コンピュータを知りたい人も引いてしまうだろう。両者に魅かれる読者層でないと手に取る可能性は低い。
 実際には、デモクリトスが出てくるのは第一章だけだ。もちろん古代原子論者の問題提起はアーロンソンの思考の導きにはなっている。その思考はとてもとても興味深い。集合論、ゲーデルとチューリング、計算複雑性、ランダムネス、量子計算に暗号と最先端の話題と数学基礎論の絡み合いを文章力で、つまり、最小限の数式で説明している。第十一章にはノーベル賞のペンローズも取りあげれている。ブテックホールの業績ではなく、脳が超チューリングマシンだという主張のほうを批判するためだ。
 といっても選択公理とか、計算理論とかをどこかで聞き知っていない人には難しい本かもしれない。
 個人的には、認知能力とコンピュータ科学と量子力学の深い関係を究明する貴重で面白い試みだと考える。そう、人間存在を思索したい人には心地よい本だとだけ伝えておこう。

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陰謀脳

2024/11/24 10:55

陰謀論へのワクチン

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

久々に面白い科学啓発書を読んだ心地がしました。
最近の陰謀論は社会的な影響力が半端ではありません。なかには下手に信じると悪影響をもたらす根拠レスな偏見もあります。
 それはグローバルに吹き荒れることもあります。
北欧からみた陰謀論の事例が日本と共通なものが多く、EVによるトイレットペーパー騒ぎなんてのもあったりして考えさせるものがありました。
 著者は心理学的な分析を各陰謀論者に当てはめてそれなりの根拠をもって彼らがビリーバーになっていることを解き明かしてくれます。どうやら著者は合理的思考の大切さを訴えると同時に、陰謀論そのものも興味深いと考えているようです。そこが本書に深みと人間味を与えていますね。

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現代思想 vol.51−16〈12月臨時増刊号〉 平田篤胤

2024/01/28 16:34

現代思想の増刊『平田篤胤』を読む

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2023年暮れに出版された「現代思想」の増刊号。現代思想も西洋思想から一回転して矯激な国粋主義に戻ったとお嘆きの貴兄に、一言。
 どちらかというと仙童寅吉や稲生もののけ録、あるいは日本的創世神話の語り部としての平田篤胤を扱っている。
数年前にSNSで「天狗にさらわれた少年」が大いに盛り上がっていたが、自分の興味もそこが起点である。初期柳田国男の「山人論」もおなじ関心でなかったろうか。
篤胤にはいつも山師の風格がつきまとう。神代文字のような偽史を生み出すのだから、そう思われても仕方がないだろう。だから、彌永信美氏が「平田嫌い」を表明している論文は、ある意味、偽史の語りの手口を告発していて、おもしろい。
 だが、平田篤胤には、「日本が世界の中心」であるとしたいやむにやまれぬ大和心があったと思うのだ。それを一流の論者たちが専門的視点かつ現代的視点から解説してくれていると感じた。
 富永仲基や折口信夫との関係などアクチュアルな論文が多いので、自分的には読み応えありましたわ。
 でも、雑誌なのに広告が一切ないので3000円と高価ではある。

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怪異をつくる 日本近世怪異文化史

2022/02/24 10:34

江戸時代の非合理性の隠れた水脈

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本、多くの場合、理解に難儀な内容と評価されているようだ。ありがちな怪異譚とその語り部を期待する向きにはそうかもしれない。この本の価値はそこにあるわけではない。
 快刀乱神を語らないはずの儒学者や博物学の源である本草学が妖怪を大ぴっらに扱う。このような隠れた非合理性の水脈を浮き彫りにしたのは、著者のお手柄なのではあるまいか(先行研究があるにはあったろうけれども)
また、林羅山が「本朝神社考」で示した仏教を妖怪の源泉とする見解が日本の儒学者たちに引き継がれていゆく様がたいそう面白い。僧侶が天狗だというのは平田篤胤も共感したろう。
 儒学者たちの怪異への理解は民衆の迷信とさほど隔たりがなかったことも本書は裏書きしている。
いずれにせよ、活字になっていない江戸時代の原文から掘り出された妖異の近接性というか親近感の存在は、現代日本人の妖怪好きと重なってみえてくる。それが本書の醍醐味であろう。

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珍日本超老伝

2022/02/07 19:57

昭和の人間遺産

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

都築響一が緒言で記しているように、自己顕示意思と行動力がともなったパワフルな老人たちは、もう見かけることがない。物欲、色欲、創作欲バラエティに富んだ人生は今後の老人たちには期待できないだろう。
豚骨スープに警察犬、貝殻公園、珍妙な名古屋メニューのミュータント、SMマニア、路上アート、ほとんどなんでもござれだ。枯れた老人の姿がないのが超老伝の由縁であろう。手元ににあるのが2011年の初版文庫版。
 それから10年。売れ行きからすると本書が同好の誼の媒体になった気配はない。
そうして、作者自身が唯一の超老の生き残りになってしまった。
いまからでも遅くはない。行き場のないみんなも超老を目指そう

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暗号技術を支える数学 第2版

2021/10/31 12:56

暗号の基本を学びたい人向け

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

初等整数論から格子暗号や量子計算まで、暗号論の基礎となる数学の詳しい説明を重視した構成の参考書。たぶん、これだけ計算例を丁寧に記述した暗号技術の本は、自分の知る限りない。
例えば、楕円曲線と楕円曲線暗号の意味を本書ではじめて理解できた。
 Cによるソースコードが付録としてあるのも、暗号の実装を独習してみたい人には大いに役立つ。
 それに文字が大きいのが助かる。
大学の教科書としてだけでなく、情報系に興味を持つ高校生でもがんばれば、独習できるような内容である。同じことは他分野エンジニアや社会人にも当てはまるだろう。
 第二版になって読みやすさは増した。
 ちなみに本書はamazonでも扱っていない。地方大学の出版物なので中央の書店に出回ることが少ないのが残念。hontoサイトで購入した。

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三体 3上 死神永生 上

2021/05/29 12:19

ハードSFよりの壮麗なスペースオペラ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

久々に充実した読後感を味わった。概していえば、かなりハードSFよりのスペースオペラだ。そのバランスは絶妙である。加えて達人芸のストーリーテリングのコンビネーション。
 スケールの大きさは文明が数ページで滅び去り、何億もの人類の危機が数行で記述されることでも、明らかだ。ほぼ神の視点である。
 主人公たちの運命も波瀾万丈だ。英雄が失墜し名誉挽回かと思うと一私人になる。
たとえば、人生の失敗者のような境遇の雲文明はおとぎ話に託して、人類の救済の筋道を与える。そのおとぎ話も見事な出来で、それ自体で楽しめる。
 主人公たちは、エンジニアだったり、自然科学者だったりする。本来、目立たぬプロフェッションの人たちが大活躍というのも本書の「ウリ」の一つだろう。

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パラドックス・メン

2021/03/12 19:31

スーパーヒーローSFもののシンギュラリティ。幼児的全能感が全開!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

主人公の盗賊アラールの昼間の顔はアメリカ帝国大学教授。しかし、過去の記憶はない。帝国の独裁者である宰相ヘイズ=ゴーントは全知全能の男メガネットの示唆に従い、帝国の最大のリスクとなるアラールの抹殺を指示する。この危機こそはアラールの超人的能力を覚醒させるのだ。
 美女と狂人、科学者それにトインビー学派の歴史学者と謎の盗賊結社の織りなすスペクタクルはド派手そのもの。出版された1953年という人間の拡張の時代の産物だろうか。
 現代のハリウッド映画が生み出したスーパーヒーローたちはアラールに比較したらただのマッチョでしかないかもしれない。ともかくも主人公の人生は急転直下、ピンチのあとにまたピンチ、窮地のあとにまた窮地の連続だ。
 それを理詰め(SFの許す範囲)で乗り越えるのだから、往年のファンは唸らされる。弁理士でもあったハーネスならではの強靭なプロットだ。
 まさに、SFの真髄である幼児的全能感が120%だ。

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ラング数学を語る

2020/05/03 11:43

学生に現代数学の先端を語る

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1990年ころにフランスの数学者ラングがテキサス大学の学生向けに行った講義録だ。6コマの講義で6つのテーマを扱っている。
1.素数
2.abc予想
3.局所的に可積分なベクトル場の大域的積分
4.解析学における近似定理
5.ブリュアーティッツ空間
6.調和多項式と対称多項式
 どれをとっても興味深く新鮮な内容で抽象的な数学記号は最低限に抑えられている。といっても大学の教養課程程度の数学の知識は必要だろう。
 いずれにせよ、abc予想が証明されたというニュースなので、ラングの解説はほおどよくわかりやすいのは一読の価値ありなのだ。
 それに訳もこなれていて読みやすい。

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