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コスモスさんのレビュー一覧

投稿者:コスモス

281 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本ヒュレーの海

2017/06/24 12:02

作者がかっこつけたがっているように見えます。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

第四回ハヤカワSFコンテストで優秀賞を獲得した本作品。
一通り読んでみたが、なんか惜しいいった感じがします。
作品の世界観や、物語の展開については文句はありません。
不必要にかっこつけているようなところが気に食わないのです。

難しい用語がたくさん出てくる。これはしょうがありません。むしろSFらしいと思います。
地球が巨大な記録媒体“地球の記録”となっている点も、壮大な感じがします。
これだけ見れば、グレッグ・イーガンの作品にも通じるところがあるのではと思います。

それなのに、様々な用語に、当て字の要領で英語名が付けられていることが、これらの魅力を台無しにしています。お堅い小説になるのを避けたかったのかもしれませんが、はっきり言って、作者自身がかっこつけたがっているだけにしか見えません。かっこいいのとはわけが違います。作者自身もそれをわかったほうがいいと思います。

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「科学」と「人間」の関係を大きく変化させる人工知能

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人間の意思や営みに関わらず普遍である「科学」
人間の意思や営みが直接影響する「倫理」、「社会」、「政治」、「宗教」、「芸術」
これら二つは、全く相反していると私は考えています。
これまでの歴史を見ても、「科学」によって生まれた発明品が、
「倫理」、「社会」、「政治」、「宗教」、「芸術」に影響を与えてきたことは多々あります。
しかし、人工知能の場合は、それらに直接的かつ大きく影響すると思います。
本書では、人工知能が与える影響について、SF作家が短編小説を通して表現し、
人工知能の研究者がそれについて解説しています。人工知能の研究について説明しただけの一般的な本よりかは、わかりやすくなっていると思います。

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紙の本夢みる葦笛

2017/05/28 06:02

バラエティーに富んだ短編集

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者の本を一度も読んだことがないけれど、読もうか迷っている人はこの本を最初に手に取ることをお勧めします。
著者の作品の中でも、かなりページ数の少ない作品が複数収録されています。著者の描く世界を知るのにはうってつけです(少し長めの短編小説(もしくは中編小説)を読みたい方には、満足いかないかもしれません)。SF小説や幻想小説を得意とする著者は、作品の世界観や登場人物の考えを、難しい言葉を使うことなく説明しています。コアのSF小説の読者だけでなく、幅広い層の読者の方にも読みやすいと思います。

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物語が動き出す予感がする。

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漫画『聲の形』第四巻。
主人公、石田将也がもやもやを残したまま、友達の輪が大きくなりました。
そのうちに、遊園地に行ったりするうちに、将也自身も友達を作ったような気持ちになっていました。でも、本音をぶつけ合ってないような気もするし、このままではいけない気もします。
そういう点では、植野はキーパーソンになる気がします。本音を西宮に言ったことで、輪がぎくしゃくしだした気がしますが、物語は大きく動き出した気がします。

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友達ごっこなのか?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

漫画『聲の形』第三巻。
主人公、石田将也が行動を起こしたことをきっかけに、再び集まりだした
小学生時代の同級生たち。パッと見ただけでは、昔のように交流を持てだしたと感じられるでしょう。しかし、小学校時代のことに、本気で向き合っているひとはいないように感じます。西宮は愛想笑ばかりで、本音を話しているように感じません。石田の行動は、罪滅ぼしのように見えて、本人自身の気持ちを表しているように見えません。植野の行動は、西宮のことを無視しているようにも感じられます。佐原の行動は、本人にその意思はなくても、自分本位と見られてもおかしくない気もします。彼らは、本当の友達になれるのでしょうか。いや、そもそも友達になる必要があるのでしょうか。

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主人公の行動は、

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漫画『声の形』第二巻。
耳の聞こえる少年、石田将也が手話を覚えたのは、西宮硝子に対する罪悪感なのか、
本当に謝りたいと思っているのか、それとも言い訳が欲しいのか。彼自身にもわかっていないような気がします。
また、この巻では、西宮硝子の家族についても描かれます。なぜ母親は手話を覚えていないのでしょうか、妹は少年のような風貌をしているのでしょうか。何よりも気になるのは、なぜ西宮硝子は、いじめられたりしても怒ったりしなかったのでしょうか。自分から謝ってしまうのでしょうか。いろいろ気になることが多すぎます。

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コミュニケーションの大切さを問う作品だと思います。

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耳の聞こえない少女、西宮硝子とその周囲の人物を通して、
コミュニケーションの大切さ、難しさを問うた作品だと思います。
作者が漫画のタイトルに「声」ではなく「聲」という字を選んだのにも
何かしらの意味があるのでしょう。

第一巻で描かれるのは、主要人物たちの小学生時代です。
耳が聞こえない転校生の少女、西宮硝子の登場は、クラスの雰囲気を変えたと思います。ただ一人耳が聞こえな彼女に合わせるのは、クラスの大多数の人間にとって迷惑でしかない。だから、彼女が周囲に合わせるべきというのが、同級生の意見といったところだと思います。というか、あまり関わりたくないと思っていたのではないでしょうか。担任の先生も、面倒くさいことだと思っていたのではないでしょうか。
それに対して、主人公の石田将也の関わり方は、見たことないものへの好奇心だと思います。別にいじめていたとか、そういうつもりは全くなかったんだと思います。そこが、クラスメイトとの一番大きな違いだと思います。その結果、クラスで西宮硝子の補聴器が紛失・故障していることが問題になった時に、ただ一人、石田が悪者にされたのだと思います。この時の対応がもっとましなものであれば、この先の展開が変わっていたのかもしれません。

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紙の本紙の動物園

2017/05/23 10:15

SF意外の分野でも活躍が期待できそうな作家

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ケン・リュウはSFが書きたいから、SFを書いている。
というわけではなく、描きたい物語や世界観に必要だったのが、SF的な要素だったという感じがします。収録されている作品のすべてが、がちがちのSF作品かと言われたら、
そういう訳ではありません(『紙の動物園』と『文字占い師』はSFらしくないと思います)。ただ、それぞれの作品で、SF的な要素(作品によってはファンタジー的な要素)を巧みに利用して、味わい深い人間ドラマを描いています。
この先、SF以外の作品もどんどん出てくるのではないでしょうか。

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紙の本累 4 (イブニングKC)

2017/05/22 11:35

淵透世の生き写しの女性、野菊。彼女の存在が意味するものは・・・

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漫画『累』第四巻。
『サロメ』の講演を終え、女性として、女優として新たな段階に進んだ累。
第四巻から新しく登場する、淵透世の生き写しともいえる女性、野菊。
二人が出会うことで、物語は不穏な空気をまとったまま、予想外の方向へ動き出す。
淵透世や羽生田の秘密も徐々に明らかになっていく注目の第四巻。

以下少しネタバレになります。
『サロメ』の講演を終え、累は決意を新たにします。 「私はサロメのようにはならない。サロメのように破滅になど向かわず、すべてを手に入れてみせる」 今回の題目『サロメ』は、彼女が決意を新たにしたことを、効果的に表現しているでしょう。また、淵透世の姿を累に重ねている羽生田の姿にもリンクしていると思います。
累が『サロメ』の公園を終えたころ、戸籍を持たない女性が父親を殺し、家を出ていきます。その姿は淵透世によく似ています。実は、彼女は累の母親に顔を奪われた本来の「淵透世」の娘、野菊。そして、累の腹違いの妹でもおあります。
また、この巻になって初めて、累の母親が誘(いざな)という名前を持つこと、累と同様に醜い姿をしていたこと、羽生田が彼女に対して特別な感情を抱いていることが明確に言及されます。
野菊は母親と同様に、圧倒的な「美しさ」を持っていますが、演技については才能が有りません。そんな彼女に、父親は執拗なまでに「淵透世」になることを求めています。累が「醜さゆえに苦しんだ女性」なら、野菊は「美しさゆえに苦しんだ女性」と言えます。野菊は、自分と母親を苦しめた累に復讐を誓います。
第四巻の最後の方で、野菊は「二ナ」の姿をした累と出会い、お互いの正体を知らないまま友人になります。お互いの正体を知った時、二人は友人になれるのでしょうか、それとも・・・。

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紙の本累 10 (イブニングKC)

2017/05/22 11:32

物語は新章へ・・・

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

漫画『累』第10巻。
母である誘の死の真相と、相手と顔を永久に交換する方法があることを知る累。
野菊の計画が失敗したことを知り、彼女の救出のために動き出す天ヶ崎。
高校時代の一学年上の先輩である五十嵐幾の登場。
物語は、新しく動き出す。

以下少しネタバレになります。
累は、母親である誘の死の原因が自身にあることと、彼女のためにも女優「咲朱」として輝き続けなければいけないことを羽生田から聞かされます。また、顔を相手と永久に交換したままにできる方法があることも聞かされます。それに関係しているかもしれないことを、誘は死ぬ間際に累に伝えていたみたいですが、累はそれを思い出せません。累は女優として活動しながらも、その方法を探っていくみたいです。
累は、再び演出家の富士原から出演オファーを受けます。その舞台で、ダブルキャストとして同じ主人公を演じるのは、高校時代の演劇部の先輩、五十嵐幾でした。彼女は、累が演じた「ジョバンニ」を超えることができず、スランプに陥っていました。そんな彼女は、「二ナ」の姿をした累の「サロメ」を見たことで再奮起しました(この時の彼女の心情も、舞台『サロメ』の主人公サロメにリンクしていると思います)。累によってスランプに陥った彼女が、累によって復活することが、なんとも言えません。咲朱と共演することになった幾は、彼女に二ナの面影を感じ取ります。
一方、野菊の計画が失敗したことを理解した天ヶ崎は、彼女の救出のために動き出します。累(咲朱)が五十嵐幾と共演することを知った彼は、幾に累の秘密を説明しますが・・・。
物語がどう動くのか、今後も目が離せません。

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紙の本累 9 (イブニング)

2017/05/22 09:16

ついに明かされる女優「淵透世」の秘密

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漫画『累』第九巻。
最後の最後で、計画を完遂できなかった野菊。
マクベスを乗り越え、野菊の裏切りも知り、甘さや優しさをかなぐり捨てた累。
そんな累に、羽生田はついに語りだす。女優「淵透世」の真実を・・・。

以下少しネタバレになります。
累の異母妹、野菊の企みに勘付いた羽生田。彼は、累に野菊の企みについて話すが、それでも累は野菊を信じようとした。本当に友人だと思っていた。羽生田の言ったことが正しかった時は、怒りや悲しみを覚えたと思います。それを糧にして、甘さや優しさをかなぐり捨て、女優として殻を破るところを見ても、累が只者ではないと思います。
女優として母を超えた累に、遂に羽生田が「淵透世」の誕生の秘密を語ります。生まれてくることすら許されなかった累の母親、誘。口紅の力を経て、村を壊滅させ、当てもなく町を彷徨っていた彼女が出会ったのは、小さな劇団の女優だった淵透世。成り行きで、誘と透世は同居を始めます。透世という女性は、お人好しで愚鈍。誘とは対照的な女性です。透世が本当は演技とかには興味がなく、舞台衣装を作りたいことを知った累は、透世の顔を借りて舞台女優としての道を歩き出します。
舞台女優として活躍していた「淵透世」の運命を狂わせたのは、俊英の演出家、海道与。誘と海道はやがて結婚し、娘の累が生まれます。累の容姿が醜いことに疑問を持った海道は、誘の身辺を探っていき、ついに女優「淵透世」の秘密を知ります。海道は醜い容姿の誘と累を家から追い出します。その後、本来の透世に「淵透世」の代わりを求めるようになります。透世自身も実は海道のことを愛しており、彼の願いに応えようとします。しかし、透世という女性は「淵透世」とはほど遠く、愛した女が架空の存在だったことを知った海道は徐々に壊れていきます。そんな時に、透世が身ごもったのが野菊だったのです。

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紙の本累 8 (イブニング)

2017/05/21 21:35

累と野菊、それぞれの物語がクライマックスを迎える。

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漫画『累』第8巻。
舞台『マクベス』を通して、己が犯した罪と向き合う累。
累と羽生田を欺き、着々と計画を進める野菊。
二人の物語はクライマックスを迎える。

以下少しネタバレになります。
今回の演目は、シェイクスピアの『マクベス』。母の運命を狂わせたマクベス夫人に、累は挑戦します。彼女は舞台の稽古をしていく中で、自身も母と同じ壁にぶつかり、母の運命が狂った理由も理解します。
夫マクベスを奮い立たせるために、殺人も血も恐れなかったマクベス。彼女は夫の愛を失ったときに、自身の罪を肯定するものを失ってしまいます。その役を通して、累と誘はそれぞれの罪に向き合っていたのです。それがどんなに向き合いたくなくてもです。
そんな累を奮い立たせたのが、野菊が父親から言われた言葉「過去や罪は消えなくとも、あなたは歩いていけるはずよ」。復讐の一巻だとしても、野菊を苦しめていたこの言葉が累を奮い立たせたのは皮肉としか言いようがありません。
一方、野菊は累と羽生田を欺きながら、累の醜い姿を世間に明らかにするという、復讐計画を着々と進めていきます。自身のことを大切にしてくれた天ヶ崎を巻き込まないために、彼と距離を取ることにした彼女。たった一人、修羅の道を歩む彼女がたどる運命はどうなるのでしょうか。
また、累の秘密を知った天ヶ崎は、この先どのような行動を起こすのでしょうか。
今後も目が離せません。

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紙の本累 7 (イブニング)

2017/05/21 20:42

大女優である母『淵透世』を超えるための試練が始まる

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漫画『累』第七巻。
丹沢二ナを失ったことで、「美しさ」に対する執念を見せる累。
丹沢二ナを殺し、累を破滅させようと動き出した野菊。
二人の思惑が交錯した今、新たな女優「咲朱」が誕生する。

以下少しネタバレになります。
丹沢二ナを失い、美しさをこれまで以上に羨望するようになった累。冷静さを失った彼女は、惹かれるがままに野菊との思い出の場所に訪れます。野菊が二ナを殺した張本人で、自分の異母妹であることを知らずにです。野菊が美しさ故に不幸出会ったことを知った累は、彼女に二ナと自身の関係を打ち明け、顔を交換する取引をします。
そうして誕生したのが、新たな女優「咲朱(さき)」。丹沢二ナとは完全な別人。普段の所作や人格に至るまでが変わっている「完璧な美貌」と「ひたむきな執念」を兼ね備えた「王たる女」。羽生田を含む周囲の接し方が、これまでとは全く違っています。「美しさ」と「舞台」を取り戻した彼女は、これまで以上に、舞台での表現や集中力が研ぎ澄まされていきます。
ここにきて、累は試練を迎えます。世界的な演出家である富士原佳雄によるシェイクスピアの『マクベス』。彼女の母、誘の運命を狂わせた題材。しかも相手役は、かつて肉体関係を持っていた雨野申彦。この舞台を乗り越えられるかどうかで、過去に縛られることのない、母をも超える大女優になるかどうかが決まってくるのだと思います。
一方、累を破滅させるために彼女に近づいた野菊。彼女の正体に気付いた羽生田は、彼女が何か企んでいることに気付きつつも、累を舞台に戻すために協力関係を結びます。野菊が累と羽生田を破滅させるのか、それとも野菊が自身の母と同じように悲惨な運命をたどってしまうのか。その点も、今後の見所の一つだと思います。
また、この巻では羽生田と誘の過去が明らかになります。どうやら、誘にとって羽生田は朱磐の醜い記憶そのものであり、羽生田は誘の奴隷というか、虜であったようです。羽生田が累を女優として輝かせるのも、誘に許してもらうためのようです。

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紙の本

2017/05/21 17:31

誘が朱磐村を出ていくまでを描いたスピンオフ作品

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松浦だるまによる漫画『累』の前日譚『誘』
累の母親、誘が朱磐村で経験してきたことや、村の忌々しい伝説と因習が描かれています(誘が「淵透世」として活躍するところは全く描かれてません)。『累』とは違って、『誘』はホラー小説のような雰囲気をしています。情景が丁寧に描写されているので、朱磐村の様子が生々しく伝わってきます。
本書では、十巻時点でも明らかになっていない口紅の秘密などについてかなり言及されています。もちろん、完全には明らかになっていません(口紅について言及されているときに、漫画『累』の第五巻で登場したものも出てきます)。

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紙の本累 6 (イブニング)

2017/05/21 17:19

物語は一つの結末を迎え、そして新しく動き出す。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

漫画『累』第6巻。
「丹沢二ナ」の正体が累であることを知り、彼女を破滅させるために行動を起こす野菊。
野菊に思いを告げる二ナ。そんなことを知らず、女優としての人気を極める累。
三人の想いが交錯するとき、物語は一つの結末を迎えます。

以下少しネタバレになります。
野菊は、二ナの母親と交流することで、彼女も累の被害者であることを知ります。そんな彼女のためにも累を破滅させようと決意します。二ナの母親から累の自宅の合鍵を手に入れることで、彼女は累の自宅に侵入します。そこで、二ナが意識を取り戻していることを知ります。指だけしか動かすことのできない彼女とやっとのことで会話を成功させた野菊は、彼女に「自身のことを殺してほしい」と頼まれます。
二ナは親を悲しませたくない、きれいなままで終わらせたいと言う思いを持っていたのです。だから両親には何も言わずに、自身を殺すことを野菊に頼みます。この巻の最後に、彼女の累に対する思いが描かれます。もしかしたら、二ナと累は本当は似た者同士で、こんな形で出会わなければ、もっと違った人生を歩めたかもしれません。そう考えると、二ナの最後は本当に悲しいです。
一方、「丹沢二ナ」になることで、女優としての人気をほしいままにする累。彼女はいつの間にか、自身のように醜いものを蔑むようになっていました。「美しさ」を手に入れたことで、彼女の内面まで変わってしまったのでしょか。そう考えると、彼女が二ナを失ってしまったのは、想像以上にショックだったのかもしれません。
今回の題目は『ガラスの動物園』。累が演じているのは美しい女性ローラで、強い劣等感や対人恐怖を抱えています。本来の累の心理状態と非常に近い人物ですが、美しさを持っている点では全く異なっています。そんなローラを見事に演じきれるのは、累自身が「美しさ」を手に入れたことで、内面まで変化したことを示しているのかもしれません。

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