しおかぜさんのレビュー一覧
投稿者:しおかぜ
1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書
2021/02/27 20:40
感動的な話ばかりです
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
インタビュー記事の一部を切り取って再構成した本であるが、どの人の話も、じっくり聞くと心にしみる感動的な話ばかりです。超著名人から、どこのだれか知らない人まで、実に多くの人が登場しますが、知名度とは無関係に学ぶことが多い本です。ただし、読んだからといって、すぐに役に立ったり、具体的な成果が現れることはないでしょうし、それを期待してはいけない本です。ただし読んだ後、少し成長した自分がいる、あるいは成長を目指す前向きな自分がいる、ということだけでも、買って読む価値が極めて高い本だと思います。
ルールとパターンの英文解釈 新版
2021/08/18 14:52
読んで涙が出そうになった
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
私は、駿台予備学校の現役講師だった伊藤和夫氏の授業を直接、聞けた最後の世代である。高校2年の夏、伊藤氏の「ルール」を初めて知り、英語の文章を読む読み方が劇的に変わり、かつ学力も大きく向上した経験が忘れられない。あのときに身に着けた「ルール」は、あれから30年近く経過した今でも、英語を読む際の指針になっている。
本書を手に取り、当時の授業を思い出した。シニカルな笑いを含んだような、しかしそれでいて知的で格調を失わない伊藤氏の語り口がよみがえり、読んでいて涙が出そうになった。問題文を読み、解説を読んで、勉強し直したいと思う。
心。 人生を意のままにする力
2019/07/19 17:39
「心」に論点をしぼった本
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
稲盛和夫氏の著作は、書籍ごとに内容の重複もあるものの、膨大である。この本も、これまでの書籍とエピソードや内容がかなり重複しているが、切り口としての「心のあり方」から再構成されており、その意味では新鮮であり、かつ大変理解しやすくなっている。
私も会社員として働いていると、働く意欲を失うようなことも多いが、稲盛氏の著作を読むと、前向きな気持ちに切り替わることができる。それだけでも、この本の価値がある。
回想脳 脳が健康でいられる大切な習慣
2021/04/26 23:57
読んでいて涙が出るほど共感しました
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
昔をなつかしむ(ノスタルジア)ことは単なる懐古趣味とか後ろ向きな行為ではなく、ストレスを遮断して幸福感を味わう積極的な行為であるとの著者の主張に、私自身は読んでいて涙が出るほど共感しました。新しいことを次から次へと消費するのではなく、昔の記憶を、記憶と結びついたモノや場所を通してよみがえらせることが、具体例を挙げて説明されています。
著者と私が、同じ1970年代生まれの男であることもあるかもしれませんが、子どものころに住んだ家、好きだったものなどに共通項がありましたが、仮にそれがなくても、こうした「回想脳」を、それを運動やコミュニケーションと組み合わせることは、本当に素晴らしいことであると強く共感します。
コロナ禍で自由に動けない今だからこそ、これは価値のあるテーマであると思います。
令和阿房列車で行こう
2023/11/19 14:27
政治や社会を考えながら、列車で旅したくなる本
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本書のベースは、産経新聞への連載記事である。同紙の長年の購読者である私は、連載中からのこのエッセーに引き込まれ、記事を切り抜き帳で保存していたが、本書はこれに写真や解説などを追加して形で本書は構成されている。
筆者は、産経新聞の政治部長、論説委員長を務めた方であるが、大変ユーモアもある方と思われ、時折、文章も風刺が効いているが、もちろん、産経新聞の編集方針・傾向に基づき、政治や社会、さらには朝日新聞なども論じられている。このあたりについては、好き嫌いもあるだろうが、本書を読めば読むほど、列車で旅したくなる。そして地域の名所や料理、酒を堪能しつつ、政治や社会を考えたくなる。そして、本書のオマージュ?となっている内田百けんの『安房列車』の原典と合わせて読んでみたくなる。
なお本書では、著者と同行する「サンケイ君」(内田百けん『安房列車』では「ヒマララ山系君」)の本名も明かされているが(新聞紙面ではは明かされていない)、思った通りの方だった。
この記事が新聞に連載されていた当時は、コロナ禍で移動制限がかかり、旅など、ろくにできないころだった。通勤の地下鉄線内で新聞を広げ、北海道や四国、九州などを気ままに旅しているようなこの記事を読んで、旅した気分を味わったことを思い出す。強くお勧めしたい。
日本のリーダー達へ
2023/04/17 16:48
何か一つでも得ることがあれば読む価値はある
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
昨年、亡くなったJR東海・葛西名誉会長による「私の履歴書」などの新聞への寄稿をベースとして編集された本。先行して出版された本(未完の国鉄改革、飛躍への挑戦等)と内容は半分程度は重複し、新たなエピソードはあまりなく、内容として物足りなさを感じる部分もあるが、むしろ、葛西氏の人生や意見、思想等をコンパクトに知ることができる。そして、そこから学ぶことはあまりに多いと私は思うので、何か一つでも得ることがあると思えるならば、読む価値がある本であると思う。
葛西氏は、国鉄時代の労働組合との対峙、分割民営化の推進、JR東海での新幹線の強化やリニアの推進など、ご本人が記している内容を読んだだけでも、強引に物事を進めていたようにも思える。しかしそうでなければ、改革などは成就しないし、何よりその背後には、葛西氏の精緻な考え方や思想があったことは、この本を読んだだけでも分かる。私も、サラリーマンの端くれとして、その一部でも学びたいと思う。
それにしても、葛西氏の死後、盟友であった安倍元首相が亡くなり、本書で追悼文を寄せている松井孝典氏(千葉工業大学長)まで先日、亡くなった。その一方で、JR東海はJR東海入社、しかも平成入社の社長が誕生した。何か一つの時代が終わり、何かが変わりつつあるのかもしれないとふと思う。
共産主義批判の常識
2022/12/02 13:43
この本を読むことは時代錯誤ではない
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
いまの日本では、共産主義革命を起こそうなどという主張が主流にはなり得ないだろう。そんな時代にあって、このタイトルのこの本は、かなり時代錯誤的なに印象を与えるかもしれない。しかし、私はそうは思わない。おもに、マスコミの論調のなかに、共産主義的な視角に基づく主張は、かなり多いように思う。それを見抜くための基本的な知識として、この本はいまでも読むべき価値がある。
共産主義の根幹は、資本主義が高度化すれば高度化するほど、一般大衆は貧困化し、社会はその矛盾に耐え切れなくなって、やがて共産主義革命に至る道筋は必然だという発想である。資本主義と貧困化を単純に結び付ける言説は、容易に見つけることができるだろう。
しかし、その貧困化が進めば進むほど共産主義革命は近づくのだから、職業的革命家はそれを歓迎しなければならないが、そんなことはできないので、社会改良に向きあわざるを得なくなると小泉信三は指摘している。それは、たとえば「革命政党」?である現在の日本共産党の主張などを見ても、極めて実態に合っている。
しかし何より、こうした本を、いわゆる革新政党や労働運動が全盛で、学界やマスコミも左翼的な雰囲気が強かった戦後間もないころに出版した小泉信三の勇気こそ、私は最も学びたい。
この本をいま読むことは、決して時代錯誤ではないと思う。
国際政治史講義 20世紀国際政治の軌跡
2022/06/27 13:26
かつての講義がよみがえり、落涙した
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
私は1990年代なかば、著者の国際政治史の講義と、外国書購読の授業を受けたことがある。本書を読んで、当時の講義ノートを読み返すと、あのころの講義がよみがえってきて、思わず落涙した。
当時、著者の講義には教科書はなかった。毎回の講義と補足の資料が配られていた。本書は、それを体系的に整理した本である。この本を読めば分かると思うが、学生時代の友人の中には、著者の講義を「高校の世界史みたい」と評する者もいた。私も、それを全面的には否定しない。しかし、あらゆる理論にしろ評価にしろ、まずは客観的な事実認識がなければ成り立たないのも事実である。
私にとって、ベトナム戦争は、生まれる前の出来事である。それと同じように、今の学生にとっては、湾岸戦争は生まれる前の出来事なのだろう。毎年、若い世代が加わってくる大学という場面で教える著者が苦労したという「あとがき」の一節に、すでに中年期を迎えた私も、強く共感する。
香港人は本当に敗れたのか
2022/01/19 17:56
香港の昔と今が良く分かる
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
私は、著者が所属する産経新聞の30年近い読者である。世界各地で転々と勤務している著者の名前と文章は以前から紙面を通して知っていたし、一連の香港に関する報道についても、つぶさに読んできたつもりである。
しかし、こうして「香港」に関する記事を一冊の本として整理されると、その量と質に驚かされるとともに、読み通せば、香港の昔と今が非常によく分かる。とくに香港返還から間もない20年前の記事が収録されている点が、本書の特色でもある。
香港国家安全維持法の施行により、香港の「中国化」が進行している最前線の状況が、多くのインタビューや取材から手に取るように分かる。なかでも、休刊となった「蘋果日報」の編集者たちの声や、民主化の活動家や政治家たちの声は、読む価値がある。著者が、ボーン上田賞を受賞した理由にも改めて納得できるし、一読者として、これを強く祝いたいと思う。
私は、仕事で中国や香港に何度も出張に行った。いまや中国を抜きにして経済は成り立たないし、隣国でもある中国との付き合いは続く。私自身は、中国の「すばらしい点」は知っているし、そのすばらしさを賞賛してやまない。しかし、それだけに、読まなければならない本であるとも思う。
罪の声
2019/07/10 09:04
これは本物だ!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
500ページを超える大部であるが、久しぶりに寝る時間を惜しんで読みふけった本である。これは、まさに本物のミステリーである。
ストーリーやモチーフは、完全にグリコ森永事件で、その知識があれば、そのほとんどは「あの話か!」と分かるほど、かなり忠実に基づいている。この点は、ノンフィクションに近いといってもいい。しかし、その登場人物を取り巻く物語や背景は、もしかして「真実」ではないかとさえ思えてしまう。小説ないしはフィクションだと分かっていても、極めてリアリティに満ちた記述が続く。作者は、元新聞記者らしく、文章も言葉も平易で、実に過不足ない。それがまたリアリティを増強する要因でもある。
私はグリコ森永事件の時は東京の小学生だったので、著者より少し年上である。しかし、菓子が店頭から消えたとか、関西弁の脅迫・挑戦状、犯人取り逃がしという警察の失態、キツネ目の男、ビデオの男、そしてあの電話の声…忘れることができない事件である。この事件を題材にしたストーリーに、まさに感服した。
映画化は当然、まさに本物のミステリーである。
われわれはいかに働きどう生きるべきか ドラッカーが語りかける毎日の心得、そしてハウツー
2017/02/16 16:20
絶対に読んで損のない本
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
40年以上の前の録音をベースにしているが、まったく古びていない。組織で働く者ならば、絶対に読んで損のない本である。
本書は、ドラッカーの著書『経営者の条件』『明日を支配するもの』などで言及されている生き方、働き方のエッセンスを極めてコンパクトに凝縮した本であり、ドラッカーの主張の骨子のみ集めたような本ともいえる。ただし、上記の2冊の本では言及されている、その主張を裏付けるようなエピソードは省略されてしまっており、項目や見出しだけ羅列しているような印象もあるが、それでも、シンプルな言葉の一つ一つが頭にすっと入り、後になってその意味を考えてみると、本当に意義深いと感じる。
ドラッカーは別の本で「分かりやすいということは、レベルが低いということではない」と言っているが、まさにその通りである。
この本のすべてを読み込み、そして実践したい。
朝日新聞血風録
2023/03/07 19:03
新聞がパワーを持っていたころを思う
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
稲垣氏が朝日新聞に在籍していたころ、中国報道を中心とした偏向報道や、報道に名を借りた世論誘導的な報道を批判した書。この本の自体は、もともと30年以上前に出版されているので、その事例は50年以上も昔のことである。しかし、稲垣氏が指摘する朝日新聞、あるいはマスコミ全体に共通するこうした問題は、現在も引きずっていると思う。
インターネットの普及によって、まず紙の新聞の(定期)購読者が激減し、さらにはSNSを含め多面的な情報を容易に取得できるようになって、新聞などマスコミへの信頼性や影響力(パワー)は、稲垣氏が在籍していたことより大きく低下している。しかし、こうしたマスコミが抱える問題を看過してよいことにはなり得ない。その意味で、この本は極めて価値があり、文庫として復刊した出版社には敬意を表したい。
本の稲垣氏の文章は、古き良き教養人を想像させるような、久しく聞いていなかった漢語調の言葉が並び、一文は長いのに、適度な改行や文体が心地よい。お手本にしたい。「さすが朝日新聞!」と言いたくもなる。
この本を読みながら、新聞がパワーをもっていたころを改めて思う。そしていま、インターネット上の情報は玉石混交であることを思うとき、マスメディアの信頼性とは何かと考えざるを得ない。
47.ビジネス手帳1
2022/11/11 16:46
長く、かつよく売れるものには訳がある
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
これまで愛用していたある手帳が廃版となったため、代替品を探してたどり着いたのが本品。
高橋書店の手帳については、広告宣伝が目立つことを割り引いても、品質や性能が優れていることは知っていた。今回、はじめて高橋書店の手帳を購入したが、11月上旬から使用を開始して感じたのは、やはり「長く、かつよく売れるものには訳がある」ということ。まず紙質が非常に良い。インクの吸収具合や筆跡が非常にシャープで、インクの裏抜けもない。手触りもよく、しっかりした紙質であるが、重たいわけでもない。紙面のバランスやフォントも優れている。製本や表紙の質も、申し分ない。
もし本品にご関心があり、購入をためらっているのであれば、まずは買ってみて判断されることをお勧めしたい。
日本が心配だ! JR東海名誉会長葛西敬之のラストメッセージ
2022/10/11 00:10
問題意識を持つことの大切さを改めて実感する
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
過日、著者の葛西氏が亡くなった。私としては大変残念である。葛西氏は、JR東海の名誉会長だった。分割民営化されたJR各社は、その地域の輸送に専念することが最優先課題であるはずであり、葛西氏の領域は、東海道新幹線やリニア中央新幹線、あるいは愛知・静岡など東海地区のローカル輸送である。それだけに、なぜ葛西氏が安全保障や国際政治を論じているのか、変といえば変である。しかし葛西氏は、若き日のアメリカ留学もされた国際派であり、旧国鉄の経営に限らず、幅広い領域に対して問題意識を持っていたからこそ、論客としての一面もあり、政府の審議会等でも活躍されたのだと思う。私も、この本に書かれていることについて、すべて同意できるわけではない。とくに安倍政権の評価についても、さまざまな意見があるだろう。この本を読むと、それでも「自分の領域はここまで」などと狭めずに、問題意識を幅広く持つことがいかに大切であるかを改めて実感する。
逆・タイムマシン経営論 近過去の歴史に学ぶ経営知
2022/10/11 00:00
これは確かに一理ある
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
経営学者による本であるが、大変分かりやすく、読みやすい。著者の主張は「同時代性の罠」という言葉に集約される。要は、時代の最先端的な経営理論や潮流に、安易に飛びつくな、ということであり、時代を経ても変わらない「本質」を追求せよ、ということ。これは、新しい理論や概念を次々に生産する経営学者としては、大変勇気のいる言説であると思うが、こうした主張は確かに一理あると思う。本には、こうした罠として「飛び道具」「遠近歪曲」などの概念が示され、その具体例を読むだけでも参考になる。「本質とは何か?」と考えるクセを付けるだけでも意味があると思うし、それを改めて認識させられただけでも、この本を読んで損はなかったと思う。
