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投稿者:藻類
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イヌに「こころ」はあるのか 遺伝と認知の行動学
2017/02/04 19:50
願望を捨て、イヌに向き合うということ
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この本の序盤に記され、その後も繰り返される言葉が「生物機械」
なんだか冷たく、非人間的な響きに聞こえるが「対象を科学する」には冷徹でなければならない。
そしてその言葉を使う理由も言葉の意味も、著者はしっかりと簡潔に説明してくれている。
簡単に言うと、イヌは飼い主という「人間」の心を理解して、思いやって、愛してくれているが故に「人間の最良の友」なのだ、という人間の願望を排し、いち生物としてのイヌの行動原理を誠実に解き明かそうとする良書。
生物が「教わらなくても出来ること」と「教わっても出来ないこと」
「環境によって出来るようになること」「環境によって不可能になること」
「もとの身体の形状と環境が揃って出来るようになること」
などなど、いわゆる生まれだ、育ちだという単純な「分かりやすい」話では無いし、それは著者も何度も述べている。
だが動物行動学的観点から一般の読者にも理解しやすく、実に丁寧に説明されているため、混乱することはなかった。
タイトルの「イヌにこころはあるのか?」という問いの答えについては是非、この本を実際に最後まで読んで考えてほしい。
途中、ピューマの狩りの様式やガンのV字飛行についての説明もあり、イヌに限らず人間が無意識に動物の行動に対し「意思を持って、意識的に行動している」と思いがちな部分への少しびっくりな種明かしがある。
最後まで読んだ感想としては、
理解は必ずしも心と心の間で結ばれるものではなく、まずは相手の行動「メカニズム」を理解すること、その上で人間的なわがままな愛を持って「感情の相互理解」という夢をみるものなのかもしれない。
今年で共に暮らして9年目になる愛犬にはどう思われているのだろうか?そもそも相手を感知していても、感情を抱いているのだろうか?
背中を預けてくる愛犬の「愛」は証明できなくとも、飼い主としては勝手に信じさせてもらおう。
うちの子は何故、うるさい/可愛らしい「声」を発するのか?
愛犬家ほど読んでほしい一冊である。
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