ツクヨミさんのレビュー一覧
投稿者:ツクヨミ
「十二国記」30周年記念ガイドブック
2022/09/10 19:49
もう一度最初から読みたくなる
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ファンブックですから、寄稿者の皆様の愛を強く感じました。自分以外にもこの世界を愛してやまない人達がいるってだけで、嬉しい一冊。
このシリーズ、ルートが幾つもあるというのに気付かされました。私は『図南の翼』読んでみて、ノリについて行けそうなら『魔性の子』を読んでみたら、と人に薦めていましたが。
校閲の仕事の大変さ、そういう裏方仕事について公式の場で語られるのは貴重ですね。改めて大変さが分かりました。
自分も出版関係の裏方仕事をしていたことがあるので、印刷物全てに「好きでやっている」裏方が居ることは分かってはいましたが。手を抜けないのですよー、好きだから!
短編集が出るという話がなかなか進んでいないようで、小野主上のお体のことが心配です。ファンは辛抱強く待っていますので、遠くない将来、喜ばせて頂けると信じています。驍宗さまをみんなが信じて待っていたように!
山田章博さま、あの金色の本をうっかり書店で手にして以来、ずっと敬愛しています。今後も美しい絵をよろしくお願いします。
私は『魔性の子』から読みだしたくちですが、今度は違うルートで読んでみようかなと思っています。ああ、楽しみだー!
黄金蝶を追って
2023/07/25 16:04
相川英輔を発見!
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
日曜日の次の日がまた日曜日だったら?
引っ越したばかりのマンションで、半透明の前の住人と同居しなきゃならなくなったら?
まるで生きているかのような絵を描ける魔法の鉛筆があったら?
どの話も意外性があって面白く、結末はバッドエンドじゃない。
ゲラで読んだんだけど、この作家はめっけもんです!
あとがきによれば、海外で結構翻訳されているそうで、いわば逆輸入って感じですか。
好きな作家が一人増えてしまった。
恐怖
2021/10/14 19:29
色々な意味で考えさせられた
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ホラーのアンソロジーなんだけど、再読の作品もあったりして、改めて色々と思った。
「怖い」のベクトルがアイデンティティ方面な作品が多かったかなぁと…。
短編小説を組み合わせてアンソロジーを編むことの面白さがあったと思う。
既読の『或るはぐれ者の死』(平山夢明)読んでたら泣けた。自分も年を取って主人公のような社会的価値の無い存在になったからだと思う。
小林泰三も良かった。この方の新作を読めないことが哀しい。この主人公の苦悩もまた、JJの存在することの哀しみに通じるものがあると感じた。いつ死ぬか分からない病気になった女の思いも、雛人形を売る老婆にも、もう普通の社会に戻れないと分かっている、という哀しみがある。
もしかしたらホラー小説というのは、そういった人の哀しみを、何かの形にするものなのかもしれない。だから私はホラー小説が好きなんだな、と分かった。
奇想版精神医学事典
2021/09/01 16:03
「奇想版」
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
事典と言いつつ、目的の項目を探すのには巻末の索引で見つけなきゃならないという、面倒くささがイイ。
「神」から始まって、最後は「言葉」。で、また「神」へと戻るという仕掛け。「初めに言葉ありき、神は言葉なりき」の逆ですね。
精神医学の専門用語から、小説や映画まで、春日先生の連想を追ってゆくのは楽しかったです。読んでいるうちに読みたい本が増えちゃって…絶版になってる中古の本を元値より高い値段で、うっかり購入してしまった。
書店員のウチの相方に聞いたら、文庫本は専門書コーナーには置かないそうなので、今回の文庫版は誤解されないと思います。大丈夫です、先生。
ネコは言っている、ここで死ぬ定めではないと
2021/07/28 20:04
メメントモリ
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
春日先生んちで、穂村弘さんが対談しているのを、近くで見ている猫の「ねごと」ちゃん。話している内容は「死について」なんだけど、ニコ・ニコルソンさんの漫画が和ませてくれる。
重そうなテーマだけれど、気持ちよく読めた。「そうだよねぇ」と頷く部分多々あり。
各章が短くて合間にちょっとずつ読んでいたらあっという間に読み終わっていた。
春日先生はレビューを気にしているらしいので…面白かったっすよ、先生!これからもたくさん書いてください。読みますから!「ねごと」ちゃんと仲良くお暮しください。
ブロック塀の表紙、縦書きのタイトルなのに何で「ネコ」だけ横書きなんだろう?と不思議に思っていたら、後書きで種明かしが…なるほどねって思いました。
【アウトレットブック】アーサー・ラッカム 改訂版
2020/08/23 19:10
和む
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
やっぱりイイです、ラッカム。繊細で美しい。それに暖かい…ん~、憧れます。自分にもこんな素敵な絵が描けたらって。
今気付いたんだけど、デザインは憧れの人ミルキィ・イソベさんだったんですね。ミルキィさん、これからも素敵なブックデザインお願いします!!
世界でいちばん透きとおった物語
2023/10/13 20:40
やられた!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
プルーフで読みました。ゲラじゃないんだ、出版社、力入ってるなー、と思ってました。
でも、そこに仕掛けがあったとは!
うっかり感動してしまいましたよ!
紙の書籍への愛を感じました。
作者、編集者、校正者のみなさま、お疲れさまでした!
やっぱり自分は紙の本が大好きです!
ゴールデンカムイ 31 (ヤングジャンプコミックス)
2022/07/22 20:33
ついに完結!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
爆走する機関車での激闘!迫力満点でした!
登場人物一人ひとりが戦って戦って戦い抜く、最終巻に相応しい激戦でした。
あまり知らなかったアイヌについて、入り口になってくれました。日本側のアイヌへの迫害の歴史とかは省かれていましたが、入り口になったという、それだけでも価値のある作品だったのではないでしょうか?
脱糞王・白石、最後にやってくれました(笑)。
面白い漫画をありがとう、という気持ちです。
谷崎マンガ 変態アンソロジー
2021/10/27 22:15
このオジサンは変態です。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
若かりし頃、「古典として読んでおかねばならぬ」と思って読んだ『痴人の愛』が難読だったため、以来この文豪には手を出さなかったのだが…。
面白いじゃないですか!
自分が歳を取ったってのもあるのかな?老いても尚消えることのないフェティシズムに、共感はしないけど、「ジジイ、元気だな」と微笑みたくなる気持ち。
山口晃氏の初めての漫画、いささか読みにくかったですが、何しろウサギ耳のジジイが可愛くて(笑)、多少スケベでも許してあげたくなる。
あと、古屋兎丸氏の『少年』もエロくてよかったです。
…かといって、再度谷崎文学に挑戦する気概はないですけど。「ああ、こういう読み方もあったのだな」と、小説の奥深さを感じました。
更にもうちょっと歳取ったら、谷崎の文体なんかを好きになったりするかもしれませんし、小説を読むのは楽しいことだなと思いました。それを表現できただけでも、子のアンソロジーは価値があったと思います。
日本短編漫画傑作集 vol.5 少年青年漫画編
2021/08/17 21:00
杉浦日向子ぉー!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
80年代前半。懐かしや。
改めて杉浦日向子の夭折が悔やまれる。映画やドラマで何度も映像化されている吉良邸討ち入りも、この方に描かせるとこうなるのか!と今更ながら感動致しました。あれ、ペンじゃなくて筆で描いてるよね?凄い!
あの頃は本当に雑誌の種類が多くて、少年漫画も青年漫画も少女漫画も「ニューウェーブ」と呼ばれた方々も、あっちこっちで描いてらしたので、この本に収録されている作品の中には既読のものも(我が家の宝物になっているものも)ありましたが、読んでいなかった作品もたくさんあって、でもやっぱし「あの頃」なんだなって思いました。
大変楽しく読ませていただきました。チョイスの仕方にも味わいがありました。高野文子ぉ!『絶対完全剃刀』も、ひさうちミッチーやのあれやこれやも我が家の家宝です。田舎に住んでいたワシはわざわざ東京に出向いて花輪和一買ったりして…あ、丸尾末広が入ってなかったな。花輪君と丸尾君ですよ(笑)。他にもあの人やこの人や…ま、シリーズの続きに期待します。
ところで、最近この手の昔漫画のアンソロジーがあちこちから出ていて、まぁそれは嬉しいのですが…あの当時は若かった読者が歳取ってるの分かってくだされ。購買ターゲットはワシらくらいの年代のジジババでしょう?老眼なんですよぅ!裸眼で字が読めないんです(( ノД`)シクシク…)
出版社の方がこれを読んでくださるか分かりませんが、判型をもっと大きく、雑誌サイズくらいにしてもらえませんか?嵩張りはしますし、コストも高くなるでしょうけど(価格も高くなるの覚悟です)、作品の魅力、描線の魅力を伝えるという意味でも、当時の雑誌掲載サイズの方がいいと思うんですよ。
そういや大友克洋の『AKIRA』の単行本はあの当時でも雑誌サイズでしたよね。あの細かい描き込みを味わうにはあのサイズが必要だった訳です(実際の原稿はもっと大きい訳だし)。漫画はストーリーだけじゃなく、絵の魅力もあってはじめて後世に残したい良い作品になるのではないでしょか?
まぁ一読者の我儘なお願いです。でも、俺以外にもそう思ってる人居るんじゃないのかな?是非ご一考を…。
サロメ
2021/04/16 15:58
ファムファタル
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
オーブリー・ビアズリーはアカデミックな美術教育を受けていなかった。しかし彼の絵の才能は作品を一目見ればわかる。ただ切っ掛けさえあれば。そんな彼をあたかも恋人のごとく愛している姉は、弟の作品を高名な画家に見せるためなら、有力者に身を売ることも厭わない女優。彼女も女優として成功したいと思っていたが、自分には弟程の天性の才能がないことにも気づいていた。
そして天才ビアズリーと、当時時代の寵児であったオスカーワイルドが邂逅する。世界が一気に動き出す。
『サロメ』を出版する。もちろんビアズリーの挿画入りで。世間は衝撃を受ける。成功は目の前。しかし…。
ビアズリー姉弟とワイルドとの捻じれた感情が、サロメとヨカナーンと重なって行く。
読み始めると一気に引き込まれます。
銀の盆の上の生首は、誰のものか…。
透明な夜の香り
2024/01/11 15:35
読後感がいい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
書店のバイトを辞めて、半ば引きこもり状態だった一香が、家事手伝いとして働き始めたのは、天才的な嗅覚を持つ調香師の朔の住む、森の中の古い洋館だった。
朔さんは匂いに敏感で、人の嘘の匂いまでわかってしまう。匂いにあふれた世界は、彼には生きにくい場所だ。そして一香にも、誰にも言えない、考えたくない過去があり…。
物語はとても静かに進行していく。文体が美しい。読み終わるのが惜しくなるほどだった。読んだ後も、しばらく余韻に浸ってた。
騒々しいものばかり読んでいたせいか、この本はとても心地よかった。
「十二国記」絵師山田章博の世界
2023/12/15 22:56
やっぱり、綺麗だー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「芸術新潮」がゲットできなかったので、表紙になった陽子の横顔の絵の制作過程が見られて、嬉しかったです。
私は書店で『人魚変生』をうっかり手にとってしまって以来のファンなのですが、あの本では吹き出しの中の文字も手書きで、それが絵と、こう、なんというか、いい感じになっていたのですが、この本ではアニメの設定画とかもあって、また山田先生の手書き文字と再会できて感動でした。
年賀状や暑中見舞いのイラスト、これ、なかなか見られないものです。山田先生からはがきもらえる人たちが羨ましい!
巻末に、「小説「装画・挿絵」のアート史」のコーナーがあり、自分も小学生の頃に兄の「火星シリーズ」の表紙や口絵に見とれていた方なので、なんだか同時代感があって、凄く面白かったです。
それにしても山田章博って人は凄いです。10代だった自分は、当時山田先生の自宅前に座り込んで、弟子にしてもらいたいとマジに思っていました。そのころの感動を思い出しました。イワオ社長も、山田先生がここまでなるとは思ってなかっただろうな。
ザ・ファブルThe second contact 9 (ヤングマガジン)
2023/11/09 16:27
ファブルVSルーマー編、完結
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
怪我人続出でやばかったけど、さすが兄さんです。
あんな顔して、凄く深い読み。だから生き延びてこられたんですね。
意外な黒幕。
ルーマーのリーダーのほんとの心情。
残酷な敗者たちの結末。
アキラ兄さんは家に帰り、ヨウコ姉さんはタコちゃんのところに戻り、クロちゃんは組に帰り、アザミとユーカリは…。
アニメ化されるとか。楽しみです。
第三部はあるのか?
没有漫画没有人生 1 No comic,No life 漫画家・峯月モチタロウの暮らしの手帳 (オリジナルBIG COMICS SPECIAL)
2023/08/26 22:44
ああ、なぜ卵白を入れちまうんだろう?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
いや、望月ミネタロウさんは、まだマシなんですよ。デビュー作の『バタアシ金魚』は映画化され、続編の『お茶の間』もドラマ化されたしね。そう、もちちゃんは幸福な方なんですってば。かわいい家人と坊や。
…という現在の状況がわかって、少し安心しました。
昔からのファンで、ずっと読んでますから、この人がグルグルとものを考えるタイプの人で、こだわり強い系なのはわかってますから!
Tバックは笑えた。
でも、坊やのアレルギーは笑えない。わたくし自身がアレルギーで、卵の入ったものを食えない、したがって、自分で調理したものしか食えない。この苦しみを、誰が知ろう?
「家人」さんは、坊やが保育園行くようになったら、お弁当やおやつで苦労することになると思う。
ところで、もちちゃんのTシャツ欲しいんだけど…相当高値になってますね。買えません。
なんだか望月ミネタロウって、ひさうちみちおに似てきている気がする。そう思うのは自分だけかもしれないけど…。