かいがらむしさんのレビュー一覧
投稿者:かいがらむし
| 2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
もうすぐ絶滅するという煙草について
2018/05/09 11:49
哲学者は煙草をのむべし、そういったドイツ人の哲学教授がいたそうですよ。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本書は煙草についてのエッセーやマンガのアンソロジーです。
今はいざ知らず昔はものを書くような人には煙草のみが多かったのでしょうか。
それとも単なる時代の風潮だったのでしょうか。
煙草について皆さんつらつらと語っています。
なにかしらの主張があるという本ではありません。
読んだからといって格段賢くなるわけでもありませんし、煙草が嫌いな人が読んだらなにを屁理屈こねとんのじゃいと言いたくなるようなものなのかもしれません。
言ってしまえばたんなるひまつぶしの本ですね。
でもそこがいいです。いとおしいですね。
あってもいいし、なくてもいい。
でもそれがあるとちょっとだけいつもの風景が違って見える気がする。
でもそれがあると小さくほっと息がつける気がする。
それがあることによって助けられたと感じることもあるかもしれない。
もっともそれは錯覚かもしれないけどね。
そんな感じの本です。
そう、本書そのものがまさに煙草のような本です。
統合失調症とわたしとクスリ かしこい病者になるために
2017/09/14 10:46
発見のあるいい本でした。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
たとえば本書16頁に、統合失調症を発病した時点で精神的な成長が止まってしまう傾向が多くの人に見られる、とありました。言われてみれば確かにそんな気がします。
また、本書の著者の一人である、佐野卓志さんの他の著作も読みたくなりました。この人を知りたい。そう思わせる言葉をもった人ですね。
なぜこの本を読んでみたいと思ったかというと、他の病気とは異なり、精神病は病状の進退を数値化できません。そうであれば処方されている薬の合う合わないや外観からは知り得ない減薬のタイミング等をどうやって医師は察知するのか。あるいは医師に察知させるのか。その辺のことが知り得るのではないかと思い、この本を選びました。
あいにく直接的な答えはありませんでした。
とはいえ、直接的な答えがない理由、および答えとなりうるものについて、「エピローグ かしこい病者になりましょう!」で語られています。
言い得て妙だと思います。
薬の飲みごこちや服薬による内面の変化を言語化すること、それらを上手にできる人とできない人。どうしても人それぞれということになってしまうでしょう。
この本の著者の方々は上手にそれを言葉にしていると思います。
でもそれが上手にできない人もいるはずです。そういうひとたちはどうすればいいか。
言語表現のトレーニングをどこかで、たとえばデイケアなどでできないものなのか。あるいはコメディカルのひとたちをもっと活用できないものなのか。「かしこい病者」ではないひとたちの救済策はなにかないか。そんなことを考えながら読んでいました。
| 2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
