荒夷さんのレビュー一覧
投稿者:荒夷
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彼等のワンピース
2022/08/15 22:21
先に発行された「ぼくのワンピース」というコミックスの後日談が掲載されたノベル。
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LGBTが盛んに取り沙汰され、性的多様性とマイノリティーに対する理解を求められている昨今。
この物語に登場する神鳥谷等はLGBTとは異なるのかもしれないが、性的自認は肉体と統一されていながら、綺麗なもの(かわいいもの)が好きという点でマイノリティーとして生きづらさを感じていた。
女性物のワンピースが着たくて着たくて着たくて……着たいという欲求を抑え込んで暮らしていた彼を、着たいなら着ればいいと、ワンピースを差し出してくれた初めての友人 佐原真人。
本作ではそんな真人がいなくなった後の、真人が遺したものに良くも悪くも囚われて、けれど前へ進もうと懸命に生きる等や真人の家族の姿が書かれている。
本当は、人の生き死には虚構の世界であっても安易に取り扱うべきではないと思っている。人ひとりの人生は、けれどその人だけのものではなく、周りの人々にも大きく影響をもつものであり、決して簡単なものでも軽いものでもないからだ。
とはいえ、私自身には真人のような存在はいないので、人の死に人生を揺さぶられた経験はない。それでも決して人には明かせない苦悩はある。
その点で、私も等と同じくマイノリティーで、他者には理解されないだろうことに生きづらさを覚えている。
残された人たちは自分自身の問題と闘いながら、真人の死をどう受け入れていくのか。答えなんて簡単には出ないだろう。だから彼らの葛藤に終わりはこないのかもしれない。それでも何かを掴もうと足掻く人たちがいつか晴れやかな気分で人生を歩むことを祈らずにいられないし、彼らの姿に深い共感を覚えずにいられない。
さあ、今から担当替えです
2017/12/28 11:08
それでもいつかは。
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重たいネタがコミカルに描かれる作品がわかりやすく私のドツボ。
とはいえ、私は秀の話になるとどっぷり同調してしまってツライ。
存在の根底に刻み込まれたものは、一朝一夕には癒せない。
それでも秀は大河に出会えた。
どれだけの年月がかかっても、何度揺り返して惑っても、担当編集と作家という関係がなくなっても、投げ出さずに傍で見守っていてくれる大河に出会えた。それだけでこれまでの人生のツケを払ってお釣りがくるほどの幸いを秀は得たのだ。
それが秀にとっていつか当たり前のことになって、疑うことを忘れ、安らげる日が来るといいと思う。
ついでにウオタツにも幸せになってほしいと心から願う(笑)
いい部屋あります。
2017/11/14 00:18
長野ワールド
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世の中には、ひととは異なる世界ーーひとよりも多くの“モノ”が存ずる世界ーーが見えているのではないだろうか、と思える作家が幾人かいる。
長野まゆみさんもそのうちのひとりだ。
常人の私には見ることのできない世界が長野さんの目には写っているのだと思う。
そして彼女は「物語」という形で、常人の私には知ることのできない世界での出来事を教えてくれるのだ。
長野さんの作品は幻想的でリアル。
それが長野さんの作品の魅力のひとつであることは間違いない。
今作「いい部屋あります。」もそんな心積もりで読み始めた。
以下、やんわりとネタバレを避けて書いていきたいと思う。
読み始めてじきに、ほくそ笑む。
今作も長野作品の例に漏れず、不可解な出来事。謎めいた登場人物のオンパレード。
少年から青年への転換期際にいる主人公たちの、途上であるが故のもどかしい不安定さ、心許なさが作品の不可思議に拍車をかける。
そして、現か幻か、妖かしか……と惑わせる、思わせぶりなキャラの存在にすべてが誠しやかで、ぜんぶが虚構のように曖昧に滲み、期待は否応なく高まっていく。
物語は、謎に謎が積み重ねられ、こんがらがりまくってクライマックスを迎える。
やがて、大小様々な謎が見事に解かれ、ひとつの美しい図柄が姿を現す。
その図柄を見たときに、安易な思い込みによる予想が見事に裏切られたことに気づくのだ。
無論、いい意味で。だ。
そして実は、長野作品のこういった裏切りは今作が初めてではない。
長野作品にはこういったケースもあるということを充分に弁えていた。
故に、心のどこかで騙されまい。と疑いながら、見破ってやろう。と惑いながら、読み進めていた。
穿った心で読み、結末がどう転んでも「やはりな……」と頷く心構えはできている。そのつもりでいた。
しかし。そのつもりでいても、結局は「そう来たか!」と額を叩いてしまうのだった。
この一筋縄でいかない感じがまた、長野作品の魅力のひとつなのだ。
さて。
では今度は、結末ありきで読み返してみよう。
先とは異なる心持ちで、楽しめるはずだ。
旅人の樹
2017/12/28 14:04
ストーリーテラー
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本書の中で、今市子さんご自身が同書内に収録されているとある作品がまったく同じ話(設定)になってしまっていると詫びている。
が、荒夷が読む限り、言われなければーー否、言われて読んでも、まったく異なる話として愉しめた。
穿った目で見て、重箱の隅をつつく心構えで深読みすれば、もしかしたら「同じ話だよ!」となるのかもしれないけれど、寧ろ、同じ設定でここまで別の話に仕上げてしまう今市子さんのストーリーテラーぶりと、言わなくても済まされることを敢えて自ら告白する誠実さを称賛したいと思います。
幻月楼奇譚 5 (Chara COMICS)
2017/12/28 10:34
思惑錯綜
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今市子節健在です。
登場人物それぞれの自分本位な思惑が錯綜しあい、見事までの空騒動ーー否、実際に事件は起こっているから“空”ではないのだけれどーー行き違い擦れ違いで騒動が大きくなってしまう。
ややもすればドロドロの重たくなってしまう人間関係が何故か温かい。人死に幽霊オンパレードで怖いはずなのになんともコミカル。
この今市子先生の作風が私はやっぱり大好きです。
欲張るなら、若旦那と与三郎の関係がもっと進展してくれることを……(笑)
ジュリアが首ったけ 4 (BE×BOY COMICS)
2018/12/11 07:46
どう決着つける?
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4巻まで発売になってしまっている本作。今更ながらハマりました。
ジュリアの先輩命っぷりが可愛くて、仙台くんの寡黙な包容力が格好よくてドキドキです。
しかし、そんなジュリアに試練です。命であるはずの先輩を、事故で忘れてしまうとは……っ!
「記憶喪失ネタ」
使い古されたネタだけに、どう決着をつけるのか楽しみです。
ジュリア記憶戻る→先輩に会いに行く→感動の再会→元サヤ
なんていうお決まりパターンでは読者は満足できませんよ!
事故に遭ってしまったことはジュリアに非はないですけど、先輩を忘れて苦しめたことは許せません。タイトル、そして著者の嗜好(ハピエン好き)から元サヤに戻るのは決定事項だとしても、もうひと波乱あってほしい。
先輩を苦しめた分、ジュリアも苦しんでほしい(え?外道な発想ですか?)
とかいって、個人的に仙台くんがとても好きなキャラなので、先輩には彼を選んでもらって幸せになってほしいだけだったり……笑。
仙台くんが往年の少女漫画同様に都合よく当て馬にされて使い捨てられるのは嫌なのです。
ちょっと横道に逸れちゃいましたが、記憶喪失ネタの回収の仕方次第で物語の評価が決まるかと思います。著者の力量が試されるとき。今後の展開に期待です!
天涯無限 架空歴史ロマン
2017/12/19 18:34
完結
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
嗚呼。アルスラーン戦記完結。
早く続き書いてよ、田中先生!とぼやき続けてウン十年。いざ、終わってしまうと何やら恨めしい気持ちに……。
それにしても、他の主要人物の戦闘シーンもそうですが、タイトル「アルスラーン戦記」なのに、アルスラーンの戦闘シーンが呆気なさすぎませんか……?
という点も含めて、物語が駆け足気味に顛末を迎えた感じがして、ウン十年読み続けてきた身としては、少々寂しかったです。
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