りんさんのレビュー一覧
投稿者:りん
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2017/11/30 01:24
色に溢れる作品
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
原田マハさんの作品を初めて読みました。正直場面の移り変わりが突然過ぎてついていけない部分も多々ありましたが、全体的に読みやすく、何よりも表現に色が溢れていました。文章の間に一切の絵はないのに、どうしてか、風景やオーラのようなものが自然と心に描かれているような。目の前に常にキャンバスがあるような。特にゴッホがアルルヘ旅立った後の兄弟の心の交流、以降の怒濤の切ない運命的表現については、唸る他ないほどの色の奔流でした。とても素晴らしかったです。
あくまでフィクションのはずなのに、まるで本当に忠正さんとゴッホ兄弟が交流していたかのようなリアルさ、特に自分が同じ日本人だからというのもあるのかもしれませんが、私自身が林商会の一員としてそばにあるかのように感じました。また、余計な推測を入れずただあるがまま(それもフィクションですが)を描く原田さんの表現力には驚かされました。あらゆる感情が風景や登場人物を通して表現され、ただの美しい物語として完結させるのではなく読者の想像力に任せるような、そんな描写に踊らされていたようにも思います(もちろん良い意味です)。
絵というのは心を写す鏡とは言いますが、これほどまでに純粋に心を写した(移した)画家はいないと思います。優しく激しく切なくて脆い。生前心を形にして、今現在も多くの人間に愛され形を変えて生きている。そして生れた時からそれをそばで見守り続け、信じ続けた弟テオ。彼の想いはやっと叶ったのかな。今生きていたらきっと「ほら絶対世界中に認められるって言っただろ、兄さん!」って言うんだろうな。そしてそれを隣で照れ臭そうにして聞くゴッホがいて、またキャンバスに向かうんだろう。
改めてゴッホが大好きになりました。原田先生、ありがとうございます。
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