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たあまるさんのレビュー一覧

投稿者:たあまる

699 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本羊と鋼の森

2018/05/21 23:03

うっかりすると涙が出そうなくらい

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

宮下奈都『羊と鋼の森』を手したのは、話題になったからではなく、なんとなく表紙に惹かれたから。
読んでみると、調律師の物語でした。
タイトルは、ピアノのことなんですね。
音楽の素養がないので読みこなせたかどうかはあやしいのですが、読んで幸せな気持ちになれる本でした。
「本屋大賞」に選ばれるのも頷けます。
心に残ったフレーズ2つ。
 「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。」
 少女の弾くピアノの音色について、「ただ、やさしくて、美しくて、うっかりすると涙が出そうなくらい素直に胸に響く。」

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紙の本

紙の本危険なビーナス

2019/11/03 10:14

意外な犯人と、納得いく説明

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

やっぱり東野圭吾はおもしろい。
複雑な家族と行方不明の弟。
ただものではない魅力的な「弟の妻」。
相続を巡るあやしい一族。
ちょっと気になる職場のパートナー。
そして、さすが理系作家の東野圭吾だけあって、
脳医学だか精神医学だかが絡むし、数学も絡む。
あ、生物学もか。
意外な犯人と、納得いく説明がちゃんとある。
科学への賛美と、科学を盲信したり科学至上主義になったりへの警鐘も併存する。
やっぱり東野圭吾の作品は、読ませるなあ。
ひとつだけ文句を言えば、カーリーヘアの美女って
具体的にどんな女性を想像したらいいんだろう?
ちょっとわからん。
映像化したらどうなるのかしら。

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紙の本

紙の本へいわとせんそう

2019/07/14 19:43

子どもは子どもなりに 大人は大人なりに

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この絵本は、19センチ四方の正方形。
扉を開くと、見開きの画面になっています。
「へいわの~」と「せんそうの~」を対比する構成です。
次のページが「へいわのワタシ」と「せんそうのワタシ」。
こういう調子で、「チチ」「ハハ」「かぞく」「どうぐ」「ぎょうれつ」「き」 (樹木のことです)
「うみ」「まち」「よる」「くも」と続き、
「せんそうのくも」のページだけは、キノコ雲の白黒写真です。
そこでページ構成が変わり、左に文字だけで「みかたのかお」、
右は表紙と同じ顔のイラスト。
めくると、「てきのかお」。
ところが イラストはほぼ同じ顔(服の襟の形だけちがう)です。
続いて、見開き2ページにわたって朝日のイラスト。
「みかたのあさ」「てきのあさ」。
次の「みかたのあかちゃん」「てきのあかちゃん」は、左右同じイラスト。
これでおしまい。
裏表紙は、表紙の顔の後頭部のイラストです。
平和の姿、戦争の姿の対比。
でも、戦争をする者同士は、実は同じじゃないか、
何を殺し合うことがある?
子どもは子どもなりに
大人は大人なりに
感じて考えられる絵本です。

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紙の本

紙の本海の見える理髪店

2019/06/28 23:19

お風呂で読んで、よかった

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「海の見える理髪店」。
題名を見ただけで、なんだか気持ちよさそうな、青を基調とした風景が目に浮かぶ。
のんびり、ゆったりできそうな。
でも、読んでみると、そんなのんきなことばかり言っていられない。
大きな大きな失敗をしてしまった人生。
ふりかえりたくない、直視したくない過去がある人生。
しんどい現実が目の前にあり、ちょっとうれしくなる過去がよみがえる。
無力で小さな、本来守られるべき存在が、ちっとも大切にされない現実のつらさ。
「時計が刻む時間はひとつじゃない。この世にはいろいろな別々の時間がある。」
さいごの「成人式」にやられた。
こんな作品を読んでる自分の顔を、ひとには見せられない。
途中までもそうだけど、後半のドタバタになっても、こみあげるものは変わらない。
郁美ちゃんと仲間達のふるまいが泣かせるじゃないか。
お風呂で半身浴しながら読んだのが正解。
だれにも顔を見られないし、すぐ顔を洗えるしね。

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紙の本

紙の本字のないはがき

2019/06/16 15:34

現代の小学生にも寄り添える

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

向田邦子の名エッセイが、ついに絵本になった。
「字のない葉書」は、原作のエッセイそのものを、平和教育の教材に出来ないかなあと、考えていました。
でも、ちょっと小学生にはなじみにくいかな、と思っていました。
それが絵本になったらなんとかなるのではないか、と手に取ると、なんと……角田光代がリライトして、西加奈子が絵をつけてる!
これは現代の小学生にも寄り添える内容になっているだろう、と思って読むと、期待通りでした。
読後は、かわいそうだったね、家族の絆は大事だね、で終わるのではなく、そんな小さな子をかわいそうな目に遭わせたのはだれなのか、家族の絆を壊したり利用しようとしたのはだれなのか、というのをしっかり考えないと、この絵本の意味はなくなります。
大人が読んで感動して、子どもにもしっかり感じさせて考えさせたい絵本です。

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紙の本

紙の本楽園のカンヴァス

2018/05/05 23:36

「この絵の中に、君の友だちがいる。」

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大原美術館のシーンで始まり、ニューヨーク近代美術館で終わる物語。
 「美術ミステリー」とされているけど、殺人や犯罪は出てきません。絵画のナゾを追う話です。アンリ・ルソーの作品がいわば主人公なんですが、読んでる間、その絵を一度も見ませんでした。それでも、この物語を十二分に楽しめました。あるいは、見ない方が想像をふくらませられてよかったのかもしれません。
 美術作品に接するにあたって、主人公の一人、織絵の父の言葉が心に残ります。
「この絵の中に、君の友だちがいる。そう思って見ればいい。それが君にとっての名作だ。」
 たとえば「10億円もらったら何に使いますか」みたいな問いにはうまく答えられません。海外旅行には行きたくないし、車はいらないし、広い家は管理が大変そうだし、美酒も美食もそんなに入らないし……。
 でも、原田マハの本を読んでいて、ひとつ思いつきました。大人気の美術展を一日貸し切りにして、独占で楽しむ。これはどうでしょう。
 印象派をはじめとして、最近の日本の美術展っていつも混んでいるイメージがあります。平日だって混んでます。マイペースで静かにゆっくり見られたら、いいだろうなあ。いくらぐらいかかるのかなあ。お金を積んでも、そういうのは公立美術館では無理なのかなあ。それに、金にモノを言わせてそんなことするのは下品かなあ。でもそれを言うなら、名画が高額になるのも下品だよね。悩むところだ。まあ、そんな大金、だれもくれないからいいけどさ。

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紙の本

こういうテーマが多くの人に読まれるのはいい

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

鴻上尚史の『不死身の特攻兵』は、よく売れているようです。
こういうテーマが多くの人に読まれるのはいい。
タイトルはちょっと安直ではないかなと思うのですが、「外道の統率」とも言われる特攻という愚行を、美化しないでわかりやすく書いています。
つまり読んでいくと悲しくなるし、腹立たしくもなる本です。
上意下達のしくみが世の中にはびこると、どんなひどいことになるか、ということを「特攻」は教えてくれています。
なのに、いまでも上意下達がなんと多いことか。ああ。

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紙の本

なんとなく買ってみて、大当たりでした

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ほしおさなえ『活版印刷三日月堂』は、未知の作家の初めて見る本。本屋で手にとって、なんとなく買ってみて、大当たりでした。こういう出合いはネットショップではありえない。(だから、やっぱり大きな本屋さんに時々は行かなくちゃ)
 はじめ、ちょっともたもたした始まりだったんだけど、昔ながらの印刷屋さん、三日月堂がオープンしてから、どんどんよくなりました。
 私は中学校で新聞部員だったので、鉛の活字そのものも、活字の版も見たことがあります。作中にも出てくる「銀河鉄道の夜」のジョバンニが活字を拾う場面も印象に残っています。だから、よけいにこの本が楽しめました。
 また、続きが読みたい、書いてほしいなあ。

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紙の本

紙の本ジヴェルニーの食卓

2018/05/05 21:14

サラダが食べたくなる

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

原田マハ『ジヴェルニーの食卓』は、アンリ・マティス、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌ、クロード・モネといった有名画家たちをモチーフに書いた4つの短篇です。
 いずれも、画家の近くに居た女性を主人公にしています。
 医者の待合室などで、少しずつ少しずつ読みました。
 読んでると、当然、この画家たちの絵を見たくなります。でも読んでる途中にはあえて見ないで、イメージだけにしました。
 表題作のモネの館の話を読んでいると、新鮮な野菜サラダが食べたくなりました。

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紙の本

帰ってから調べよう

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

同種の本を買って、野の花に親しんだ。
でも、それには載っていない花もある。
そこへ、新聞広告が出ていたので、購入。
写真も見やすく、ページも読みやすい。
ただ、ちょっと重いな~。
まあ、これだけの情報量だからしかたないか。
持ち歩くより、帰ってから調べよう。

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紙の本

紙の本永遠平和のために

2020/02/23 22:59

読みましょうね

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

カントの本というと、カタイ本だと思ってしまうでしょ。
たしかに表紙は固いハードカバーだけど、コンパクト。
写真ページもふんだんにある。
本文も、思ったより難解ではない。
本文より先に、写真とセットにしたダイジェストがあるので、
本文を読むときになじみやすい。
だから、読みましょうね。
そこの、国会でごまかしばかりの答弁をしたり、
ヤジを飛ばしたりしてる政治家さん。
あなたこそがこれを読まなくちゃいけないよ。

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紙の本

紙の本また、桜の国で

2020/02/17 09:32

「真実を残す」という勝利

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ナチスドイツにまつわる話や、ホロコーストの本は、いろいろあるけど、
この本は、ポーランド。
分割されたとか、ドイツに侵略されたとか、
おぼろげで断片的な知識はあっても、具体的なイメージは出来ない国。
それが、実は日本との絆があった。
国家と民族の運命という大きなものを、
一人の青年の目から見ると、
味気ない歴史でなく、熱くて切ない物語になる。
戦争の醜さ恐ろしさ、非人間性が詳細に描かれ、
知らずにすませてはいけない世界が見えてくる。
大きな流れの中では無力な人間も、「真実を残す」という勝利なら得られる。
あとに続く者は、残された真実をしっかり受け止めて、生かさなければ。

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紙の本

憂いは、ますます深くなりそう

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

軽い文体は、週刊誌のお気楽コラム風だが、着目点や問題指摘は鋭い。
資料の扱いもきちんとしているようだ。
昨今の「日本スゴイ」本のブームを憂えて書いた本だが、その憂いは、改元騒ぎやオリンピックやなんかで、ますます深くなりそうである。
「神国にっぽん」と謳われたころの本を笑って斬り捨ててゆくうちに、笑えない現代の風潮が見えてくる。
国家総動員体制と現在のブラック企業は通底する、とか80年前も日の丸掲揚キャンペーンがあったとか。
「日本人でスゴイ人がいる」ことは「日本人はスゴイ」とは、また別の話であるって、これぐらいの論理はきちんとわきまえようよ、っていうことですね。
そんなまちがいを、私たちのずっと上の世代はやっちゃった。
間違いをくり返したら、2回目の方が罪が重いよ。

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紙の本

紙の本この世の春 中

2019/12/09 10:56

これからの激動の序章なのかもしれない

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

続々とあたらしいキャラクターが登場してくる。
千竹に、しげ、己之助、
本来の重興、琴音……。
そして、さまざまな悪、闇、おぞましいものも少しずつ顕れる。
その一つが形になって、人物になったとき、
緊迫した、はげしいアクションシーンになる。
しかしこれも、これからの激動の序章なのかもしれない。
上・中・下3冊の作品だが、一気に刊行してくれていてよかった。
3冊まとめて買っておいてよかった。
ここまで読んで、「下巻は半年後」とか言われたら
とうていまちきれないところだ。
さあ、下巻を読もう。

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紙の本

紙の本この世の春 上

2019/12/09 10:37

そこに闇がある

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

波乱を含みつつ、のどかな風景から話が始まる。
おいおい登場してくる人物たちが、
それぞれに何かを抱えているようだ。
多紀の人物造形が魅力的で、
お鈴を描くのもうまい。
他の人物もそれぞれに魅力的である。
そして、隠されている大きな謎。
解いてしまったら、索漠としたやるせないものなのかもしれない。
しかし、そこに闇があるのを忘れさせないのが宮部作品であり、
その闇を解き明かす面白さがこの先に待ってるのか、
闇に直面するつらさが待っているのか。
もしつらさが待っているとしても、
まわりの人物の明るさ、暖かさが、ささえになってくれる。

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