いそぽっどさんのレビュー一覧
投稿者:いそぽっど
絶滅魚クニマスの発見 私たちは「この種」から何を学ぶか
2021/12/11 17:50
報道で話題になった魚 −科学的に正しく知りたい人へ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
【理解可能レベル】
高校生以上なら誰でも
(高校レベルの生物を理解していると読みやすいかも)
【オススメする人】
・生態学が好きな人
・生物多様性の保全に興味ある人
クニマスという魚の面白さ・重要性について多面的に語られていて、生物に興味ある人ならば誰でも楽しめると思う。
前半は自然科学的な内容。絶滅したと思われていた魚が発見されてから、論文で発表され、その後の研究で形態や行動が解明されてゆく過程。科学的だがエキサイティングなドラマが展開される。クニマスがとても珍しい生態の魚だということは、この本を読むまで知らなかった。
後半は少し人文科学的で、環境史のような内容。古い文献の調査結果が多い。最後は保全生物学的な内容に触れて締められている。クニマスが題材ではあるが、生物多様性保全の全体にも通じる内容だ。
※巻末にしっかり引用文献がリストアップされており、1次資料に当たりたい人の助けになるだろう。
※1箇所明確に間違い。P.128で「外来種」という用語を誤用していた。人為的にではなく生物が自力で分布を拡大した場合は外来種とは呼ばない。
がろあむし
2020/09/29 14:39
名前も知らない虫が自然の大切さを教えてくれた絵本
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【理解可能レベル】
絵本なので子供にも
内容的には大人も楽しめる
【オススメする人】
・昆虫が好きな人
・自然が好きな人
・マニアックな生物に惹かれる人
生物に詳しい人でも、ガロアムシという昆虫は知らない人が多いかも知れない。
そんなガロアムシの土の中での一生を観察事例をもとに描いた作品。
決して派手ではない身近な虫に興味を持つことの素晴らしさ、自然のスケールの大きさと儚さ。そういったものを虫の一生を通して訴えているように感じた。
イカ4億年の生存戦略
2020/09/26 13:31
頭足類(イカタコ)学の入門書-海洋生物に少し詳しくなる本
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【理解可能レベル】
誰でも
動物に詳しいと読みやすい
【オススメする人】
海洋生物が好きな人
「イカ」とあるが内容は頭足類全般。タコ、オウムガイ、アンモナイトなどの記述も多め。
DannaStaafさんは無脊椎動物学の博士号を持つサイエンスライター。
内容は学術書と言って間違いない(頭足類の進化系統樹が図版であったり、動物の名前には必ず学名が併記してあったり)。学術書としての質は保ちつつも文章はとても読みやすく、アマチュアでもとっつきやすい。
恐竜や哺乳類のような脊椎動物の進化を扱う本は多いけど、個人的に頭足類の進化は知らないことばかりだった。進化の背景を知って、イカタコオウムガイの生態をより深く理解できた。
キリン解剖記
2019/11/09 14:21
解剖学ってすげー!誰も知らなかったキリンの秘密
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【理解可能レベル】
誰でも
【オススメする人】
動物、特に哺乳類が好きな人
「なんだ、キリンの本か。」と侮ってはいけない。
キリンの首はラマルク、ダーウィンの時代より多くの進化生物学者の関心を集め、進化のメカニズムは既に完全解明されていると私は思い込んでいた。
しかし、キリンみたいな有名な動物でも、誰でも知らないことがまだまだある!
何体ものキリンを解剖しながら、少しずつキリンの骨にある秘密を探っていく著者の大学院時代。とてもスリリングで感動的。
軽妙で奇をてらわない文章で、とても読みやすい。若手で文章の読みやすい研究者は何人か思い浮かぶが(バッタ博士こと前野さん、クモヒトデ分類の岡西さんなど)、負けず劣らずといった印象。
マイクロバイオームの世界 あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち
2019/03/08 23:00
細菌学の洗練された入門書
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【理解可能レベル】
・高校レベルの生物を理解している人(特に分子生物学や3ドメイン説の知識はあると良い)
※基礎知識がない方にとっては、専門用語が多く難解に感じるかも知れない。
【オススメする人】
・バクテリアが好きな人
・バクテリアについて、新書レベルよりも深く知りたい人
これからバクテリアについて知識を深めたい人に、まずオススメしたい1冊。
「マイクロバイオーム」という細菌学の概念が主題になっているが、それ以前の基礎知識から丁寧に説明されている。たとえば、細菌・古細菌・真核生物の違い、アミノ酸のコドンについても説明が本文中にある。
取り上げている細菌の生息環境は、副題にあるように人間にとって身近な範囲ばかり。医療や健康とも関連が深いので、関心を持ちやすいと思う。
細菌学創成期の古典研究的な内容に留まらず、身近な環境におけるバクテリアの新しい研究事例も多く紹介されている。微生物学者でもない限りは知らないであろう内容なので、知的好奇心も大いに刺激された。
古代ゲノムから見たサピエンス史
2023/10/02 13:04
ノーベル賞を受賞した研究分野
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【理解可能レベル】
高校生物の分子生物学を理解している人
※分子生物学や遺伝学の用語が説明なしで出てくることもあるので、最低限高校レベルの知識は必要。
【オススメする人】
・生物学が好きな人
出版元の吉川弘文館は歴史分野に特化した出版社。この本は珍しく自然科学の内容。自然人類学を考古学の延長と捉えてのことかと思う。
生物に詳しい人でも自然人類学の知識まではない人が多いと思う。そういう人が研究の歴史や概況を知るのに最適。
内容もとても興味深く、楽しく読み進められた。
沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う
2021/12/31 23:51
理系にオススメの歴史本
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【理解可能レベル】
誰でも
(専門用語は少なめ。文章も読みやすい。)
【オススメする人】
・歴史も好きな理系の人
・サイエンス全般が好きな人
水中考古学ないし船舶考古学が著者の専門。研究対象は「歴史」であるが、本書の内容は理系そのもの。理学/工学/農学の知識やリテラシーが読む上で役立ったので、サイエンス好きな自分の知的好奇心は大いに刺激された。
著者の出身大学はテキサス「農工」大学で、船舶考古学に工学などの知見が必要なことをここからも想像できた。船舶の構造に関する解説も、工学のにおいを感じた。
沈没船フィールド調査の場面では、研究手法の面で理系の側面が見られた。
排水用エンジンポンプやダイビングに必須なコンプレッサーなど、機械を使用する場面もある。
沈没船遺跡の3Dモデルに関する解説では、地理情報の技術が使われていた。考古学分野でGISソフトを使用するとは、想像したこともなかった。
[補足]
※「理系」「文系」と無闇に分けることは望ましくないと私は思う。しかし本レビューでは便宜的に「理系」という言葉を使用した。歴史分野の本に関心ない読者層にも、本書の魅力を訴えたいとの思いからである。ご勘弁願いたい。
※本レビューが、本書に少し難解な印象を与えてしまわないか危惧している。とても読みやすい本なので、気軽に手にとってほしい。
三陸の海の無脊椎動物
2021/11/09 08:29
無脊椎動物の写真が豊富かつ解説も充実
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【理解可能レベル】
高校で生物を習った人
(発生や分類の基礎知識があると読みやすい)
【オススメする人】
・海洋生物は魚よりも無脊椎動物が好きな人
・マニアックな動物が好きな人
三陸に限った内容ではあるが、無脊椎動物学 全般の教科書と言って差し支えない。無脊椎動物に詳しくなりたい人がいれば、まずこの本を紹介したい。
全編カラーで写真豊富。標本の写真もあるが、生態写真も多い。ページをめくっているだけで動物好きならば楽しめる。
写真をただ羅列するだけでなく、各分類群の解説がしっかりしている。体の仕組みを模式図で表現し、進化の筋道を系統樹で示している。基礎知識から学ぶことができる。
巻末には用語集があり助けになる。主要参考文献一覧もより深く学ぶときに役立ちそうだ。個人的には各系統樹の参考文献が明記してあるのが嬉しい。後で興味あるものは論文を見てみたい。
新たな魚類大系統 遺伝子で解き明かす魚類3万種の由来と現在
2021/11/08 11:43
進化・分類マニア必読! ━知的好奇心が刺激されっ放しの魚類学本━
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【理解可能レベル】
分子生物学や分類学の基礎知識がある人
(基礎的な専門用語には説明がない)
【オススメする人】
・動物の進化や分類に興味ある人
・生態学に興味ある人
科学の楽しさを存分に教えてくれる専門書。
形態分類では見えなかった魚類の進化ドラマが、DNAを用いた研究でつまびらかになっていく。その過程はあまりに面白く、読んでいて興奮が抑えきれない。
最後の章で環境DNAの研究についても触れられている。本書執筆時点では研究が始まったばかり。そのためあまり内容は充実していないが、環境DNA分野に興味を持つ入口としても適している。
ドラゴンは爬虫類 骨格と進化から読みとく伝説動物の図鑑
2021/11/04 19:26
生物学の「ほぼ」専門書 ━分類学の正確な知識に根差した良書━
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【理解可能レベル】
動物学の基礎知識がある人
【オススメする人】
・理系だけど妖怪やモンスターが好きな人
・分類学、進化生物学、古生物が好きな人。またはその分野の研究者
題材はドラゴンをはじめとした非実在生物だが、まるで生物学の専門書。
最初のページに脊椎動物全体の系統図が載っていて、各「伝説の動物」の分類上の位置づけが示されてる。この系統図には、たとえば「アフリカ獣類」「ローレシア獣類」等の2000年代哺乳類分類学の見解も反映されている。
実在生物との比較では、イー・チーという2015年に報告されたばかりの恐竜も引き合いに出されている。
ペガサスやケンタウロスなどは、足が3対ある点を重く見て分類されている。実在する陸上脊椎動物はみな足が2対で、ペガサスなどはその鉄則から外れるからだ。
以上の点から、生物学の最新の研究成果について日頃から情報収集している、また生物学の基礎知識をしっかり持っている、といった著者の人物像がうかがえる。
逆に「専門書」として物足りなく感じた点もある。参考文献が日本語書籍のみだったことだ。この点で「ほぼ」専門書と呼ばせてもらった。
学術書で参考とする文献は、論文が基本である。生物学の分野では英語論文がどうしても多くなる。日本語の文献もあるが、あくまで論文である。
内容的にはもちろん論文の引用は必要ないのだが、もししっかり論文を引用していたら一気にクオリティが上がったと思う。こういった書籍は必要ないことを一生懸命やることに価値があるのではないだろうか?
このあななんじゃ 1 ひがたのいきものへん
2021/10/25 19:09
生物系絵本 ━海岸にいる動物の楽しさを赤ちゃんに━
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【理解可能レベル】
赤ちゃんから読み聞かせしてもいい
【オススメする人】
赤ちゃんに生き物のこと教えたい親
「なんじゃ なんじゃ」とリズミカルな文章が連続する読んでて楽しい絵本。いわゆる「仕掛け絵本」の1種。折り込まれているページを開くと、干潟の巣穴地下にいる動物が見える。
大人でも知らない人が多そうな動物も登場する。決して子供扱いの内容ではない。
巻末の付録解説も読み応えあり。
もがいて、もがいて、古生物学者!! みんなが恐竜博士になれるわけじゃないから
2021/01/31 16:17
ネズミ本であり恐竜本 ━古生物研究ライフエッセイ&歯の化石をめぐる推理ドラマ━
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【理解可能レベル】
・エッセイ部分
→誰でも
・研究内容の部分
→動物形態学の少しマニアックな話に興味が持てるヒト
【オススメする人】
・恐竜や哺乳類の化石に興味あるヒト
恐竜学者を目指した著者が紆余曲折を経て、絶滅したネズミの研究で活躍するまでを描いたエッセイ。誰でも楽しめる読み物。その上で、少し専門的な古生物学の話を読みたいヒトの需要も満たしてくれる。
文章はとても読みやすい。研究キャリアの中で出会う人物たちがみんな魅力的で、展開もドラマチック。
研究内容の詳細では、「小さな歯の化石だけからこんなことまで分かるのか!」という感動が味わえた。わずかな化石から事実を積み重ねて、進化の道筋や大昔の生息環境まで解き明かしていく古生物学者。かっこよ過ぎる……!
チリメンモンスターのひみつ さぐれ!海の生き物のくらし
2021/01/31 14:37
海の動物や生態系を学べる児童書、兼 入門書
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【理解可能レベル】
・誰でも(ページをめくってイラスト眺めているだけで楽しいので)
【オススメする人】
・知らない生き物を見たい人
・海の生き物が好きな人
(魚も魚以外も好きな人)
タイトルに「チリメンモンスター」とあり、ちりめんじゃこの中に混入している動物たちの話題が導入。
しかし本書最大の魅力は、見開きページいっぱいに描かれた多数のイラスト。生きた海洋生物たちが生息する生態系を描いたもので、沢山の種類の動物がかわいらしく正確にイラスト化されている。
この本を導入にいろんな海洋生物に興味を持てるようになるかも。
土の中の美しい生き物たち 超拡大写真でみる不思議な生態
2020/10/11 21:40
写真がすごい!解説も充実!「虫」の魅力たっぷり
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【理解可能レベル】
・写真を楽しむだけなら誰でも
・文章は動物に詳しい人向け
【オススメする人】
・知らない生き物を見たい人
・昆虫以外の「虫」が好きな人
普段は脚光を浴びない小さな動物たちを、豊富な写真とともに掲載。想像以上にカラフルで多種多様な土の中の虫たち。見ているだけで楽しくてテンションが上がってしまった。
昆虫と同じ6本足なのに、昆虫じゃないトビムシ、コムシ、カマアシムシ。
クモと同じ8本足なのに、クモじゃないザトウムシ、カニムシ、ヤイトムシなど。
よほど生き物に詳しい人でなければ見たことないような虫たち。それぞれに色鮮やかな写真が載っている。
解説やコラムも読み応えがあり、より詳しく知りたい人の知的好奇心も満たしてくれる。
