只野一郎さんのレビュー一覧
投稿者:只野一郎
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イヌに「こころ」はあるのか 遺伝と認知の行動学
2019/02/14 17:22
読むに値するほどの本ではなかった。
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岸田秀という精神分析学者は「世の中はすべて幻想である」と言い放った。愛も家族も文明も知識も知恵も恋人も学問ももう何もかもが人間が作り上げた幻想だと言った。もちろん人間の心も。犬の心も。
確かにすべては幻想なのかもなあと、ぼくは思う。でも幻想だからどうでもいいというものでもないだろう。夢は夢でしかなくても悪夢よりもハッピーな夢のほうが気分がいい。ただの夢であってもね。だから幻想かもしれないと思っても、人は努力するんだと思う。
犬に心があるのかどうか、これは世界中の誰もわからないことだ。そもそも人間の心だって怪しいわけで、岸田のように幻想だと言う人もいるわけだからね。
さて、この本、犬の心と機械やコンピューターとを比較してる。は?いや、それ、必要?そもそも心って、この書き手はなんだと思ってるんだろう?ある箇所で彼は、「私」を持ってるかどうかだという。なるほど、犬に強い自己はないかもしれない。でもゼロ?それはないだろう?それはないよ。人間ほどの自己はないだろうが、犬なりの自己はある。それは犬と暮らしてたら当たり前にわかることだよ。
ぼくの飼ってる犬はぼくにキスをしない。ぼくがキスしたくて唇を寄せても顔をそむけてキスを拒否する。ものの本によると犬のキスは幼犬が母犬からエサをもらう習性が残っているというが、それがうちの犬にはないようだ。
だが、例外が実はある。
ぼくは丸一日、彼と離れ離れになって再会した瞬間、彼はぼくに一回だけキスをするのだ。ふだんは絶対にしたくないキスを、そのときだけ自分がしてくれる。
これが愛かどうかはぼくにはわからない。
ただ、これは習性ではない。
むろん愛情表現でしたわけでもないかもしれないが、
じゃあ、なぜするんだろう?
彼はほんとうはあまり好きじゃないんだけど、
ぼくが喜ぶからひさしぶりだし一回だけしてやろうと思った
……としたら、それは心以外のなにものでもない。
ぼくの解釈がセンチメンタルなのはわかってる。
ただ、これがどういう理屈で否定されるのかを知りたくて、
ぼくはこの本を読んだが……
犬に心があるか?
この単純な問いを、とんでもなくヘンテコな方向から解説していく本。
自分にとっては読む価値が感じられなかった。
まあ、まだ半分ちょいだから、今後とんでもなく面白い展開が待ってるのかもしれないけどね。
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