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大西久雄さんのレビュー一覧

投稿者:大西久雄

1 件中 1 件~ 1 件を表示

教育漫才で、子どもたちが変わる 笑う学校には福来る

2019/02/24 09:44

多様性の時代の教育イノベーション

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

平成も終わろうとしている変化の激しい時代。そうした中、教育改革が叫ばれて久しいが、学校現場がなかなか変わらないのは何故か?学校で行われていることの定型化、反復化、意識改革の鈍化に抗う確かな教育理念と困難を物ともしない行動力、実践力を持った異端の管理職が少ないからだ。学校は管理職(校長)で変わるのだ。大学の諸先生や教育評論家諸氏が幾らご高説を並べても、学校現場で多くの課題や障害を乗り越えて己の教育方針を実践に移すことはない。

本書の筆者、田畑校長先生は、それを体現し、学校を変えている。本書はまごうことなき学校改革、教育改革の書であり、教育イノベーションである。学校の当たり前を見直す校長の書が話題になるように、これまでの学校の定型化された教育活動、実践に新風を送り込む異端こそが、閉塞感を抱いた日本の教育界を変えていけるのだと思う。教育界にもかのスティーブ・ジョブズのような異端が必要な時代である。

学校教育にこれまで行われていなかった漫才を取り入れる取組には、人それぞれに感想や想いはあるだろうが、同じ教育の末端実践現場にいる身からすれば、あっぱれな実践である。その経緯は本書に詳しいが、本書を単に学校で子どもたちに漫才をさせた実践の記録と勘違いしないでもらいたいと思う。田畑先生は、漫才学習、教育漫才と銘打って17〜18頁にもあるように学習ツールと捉え、教育効果を見据えている。それで学校を変えようという熱い想いを抱いた本気の大改革なのだ。そして、漫才の総本山でもある吉本興業はじめ学校外部の多方面と綿密な連携を取り、保護者をも巻き込んで実践化しているのである。

実は、学校現場を預かる身として、新たな取組を導入展開する時の大きな壁は、実は自校の教職員なのである。良くも悪くも教職員はコンサバティヴである。その壁を乗り越えるべく理念を説き、その教育効果と実践化の手順を丁寧に説明し、その見通しと実現の絵を描き、教職員を同じベクトルに向かわせた手腕は学ぶべきものが多いはずだ。その技、術も本書に詳しいとさらに嬉しかった。素晴らしい実践の書なのだが、それを含め星一つマイナスの理由は3つ。2つ目は些細なことだが、その先生たちが頑張っている様子、特に70頁挿入されている写真の縦横のアスペクト比がアンバランス(頁スペースの関係で、きっと縦に引っ張ってしまったのだろうか)なのがせっかくの画像なのに残念。そして3つ目は、全巻2段組圧巻の実践書なのだが、少し冗長気味で全体的にもう少しコンパクトでよかったかも知れない。同じような内容の繰り返しを削って、その代わりに先の教職員をどうその気にさせたかの実践の挿入が読みたかった。

なにはともあれ、漫才教育は吉本の学校に任せるとして、教育漫才という戦略的手法で学校を変え、子どもを変えた田畑校長先生の実践は、学校を変えるのは今までのあたり前ではなく、大胆な発想と念密な戦略・戦術であること証明するこれからの時代の教育イノベーションである。多くの人に一読を勧めたいと思った。

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