ぽんたろうさんのレビュー一覧
投稿者:ぽんたろう
の
2020/01/08 23:57
贈り物にしたい本
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「の」でつながる一文が、最初のページから最後までゆったりとしたリズムで続きます。絵を楽しみながら、ゆっくりと、一言一言かみしめながら読み進められる一文です。
文に添えられている絵なのか、絵に添えられている一文の一部か。
絵だけ追うのも楽しい絵本。
一枚の絵をじっと見入る楽しみもある絵。
絵一枚ごとに、一つのお話が作れそう。
楽しかったり、嬉しかったり、懐かしんだり、考え込んだり、明日のことに思いを馳せたり、友だちのことを思ったり、昔のことを思い出したり、冒険に出たり。
空想好きさんにお勧め。物語を作り出すことが好きな人にもおすすめ。
そして…なにより、誰か大切な人、大好きな人への贈り物におすすめです。
本屋さんで待ちあわせ
2019/03/30 22:00
そうだったのか 東海道四谷怪談
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本屋さんで待ち合わせ。私もします。
でも、どのコーナーで待ち合わせするかは、悩みどころです。自分の手の内を見せたくないこともあるので。秘密主義ではなく、心の中をさらけ出してしまうようでちょっと怖いのです。なので、本屋さんで待ち合わせるときは、お店の前ということにしています。
さて、この本。書評集なので、文庫本1ページに満たない文章も数多くあります。文字数が少ないので、え、もう終わり、とあっけにとられることの連続です。この文庫本版のために追記されているものもあって、その追記がけっこう長かったりしてお得感もあります。
私にとっての一番の収穫は、東海道四谷怪談についてのエッセイ。三浦しをんさんが文楽好きなことは、「仏果を得ず」の小説と河出書房新社の日本文学全集に収められている「菅原伝授手習鑑」の訳を担当されていることからもわかるのですが、こういう風に語ってくださると、江戸時代の作品をいろいろ読んでみたくなります。
神去なあなあ日常と夜話は、このあたりのお話を取材から生まれたのかな?と想像できる本の紹介もあって、三浦しをん作品とその他の本との関係を想像するのも楽しいです。
村上春樹とイラストレーター 佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸
2020/01/26 21:12
装丁は命、と言った作家の言葉を思い出す
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佐々木マキさん、和田誠さん、安西水丸さん、そして、大橋歩さん。
村上春樹作品を手に取ると、もれなく付いてくる素敵なイラスト。
こんな素敵なイラスト、装丁を文章に添えてもらえるなんて、ものすごく羨ましい。
こんな素敵な挿絵がついたら、平凡な文章だって100万倍は素敵に感じるに決まっているじゃないですか。いや、それは、違うのかな。村上春樹さんの文章が大好きな人たちだから、相乗効果で読者を楽しませてくれる作品になったのだろうな。
人との出会いって偶然よりも必然なのかな、ということを感じずにはいられない、そんなエピソードの数々です。
「あの時代だからこんな出会いが生まれて作品として我々の前に届けられた」という時代の必然も感じますが、そんな必然には、ちょっと嫉妬も感じるけれど、後から追いかける年代が羨ましがっても仕方がないので、ひたすら楽しませてもらいましょう。
イラストを描いたときの技術的なことも含めた裏話のお蔭で、本はちゃんと手元に置いておかなきゃと思いました。
打ちのめされるようなすごい本
2019/03/24 23:22
とてつもない読書量に脱帽
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ブラウン管の中で、コメンテーター席に座っている姿は何度か見たことがあるけれど、発言しているところは記憶になく、あらゆるニュースを見聞きするにつけ、今だったらどんなコメントを発しているのだろうか、と考えずにはいられない方です。
いろいろなところに寄せられてた書評をまとめたものですが、お仕事だからというだけでなく、ただ普通にしていても、おそらく多かったであろうその読書量の凄さはただ唖然。読むスピードも尋常でなければできないであろう分量です。
また、その文章は、書評を読むだけで、その本をどっぷりと読んだ気持ちになれるほどに充足感を味わえるのもので、わざわざどの本を手に取らなくてもよいのではないかと思うほどの鋭さのある書評ばかりだと思います。
人が、一生涯に読める本の数など限られているので、勧め上手の方からのおすすめ本情報は貴重。なので、この本そのものがとても貴重な存在です。
ただ、病を自覚されてからの病に打ち勝つためにあれこれと手を出し試された履歴がわかる書評部分は、悲しく感じるばかりでした。生きることへのこだわりと、病を克服しようとする執念は異常なまでに強く感じました。読み手によっては衝撃的になることも考えられる部分です。
風と行く者 守り人外伝
2019/03/12 21:20
エピソードで物語りが増幅
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本編の登場人物たちのエピソード。過去であったり、その後の話であったり。守り人の世界の人たちのエピソードは読めば読むほど本編の世界が膨らんでくるので、もっともっとと期待してしまいます。
エピソードを読むと、本編をまた読みたくなってしまう、そんな魔法にかかってしまうのです。
守り人シリーズのことを思うたび、青少年期、思春期と呼ばれる頃に読みたかったな、と今正にそんな年齢の人たちにちょっと嫉妬したりします。この物語を夢の中まで引きずってしまうくらいに感受性の高い頃に読んでいたら、もっと違った視点を持って世の中を見ることができるようになっていたように思うのです。大人な友人たちは、ファンタジーはちょっと難しい…と言うけれど、緻密に描かれている世界の中に身を置いて、自分も生きてみたいと思う、それだけ魅力のある妙に現実味のある物語だと感じています。
おじいちゃんとパン
2019/03/10 23:18
おいしい食パンの食べ方 ~ おじいちゃまと僕
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祖父母と同居経験がない私には、とてもリアルな疑似体験絵本。おじいちゃまと僕の関係。おじいちゃまが食べている食パンは、いつもとても美味しそう。思わず羨まし気に眺めてしなう僕がいます。
心の底から美味しそうで食べたいな、と眺めることもあれば、なんとなく、おじいちゃまが食べているものは、美味しそうだし、構ってほしいからいつもの場所へ行ってしまうことも。僕が成長するのと同様、おじいちゃまも少しずつ年齢を重ねている変化もわかります。
それにしても、このおじいちゃま、かなりのおしゃれさんです。
「司馬遼太郎」で学ぶ日本史
2020/02/11 21:16
どの本を読むから迷ったら、まず、この本!
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発売当初、書評欄で紹介されてから気になっていた本で、書店でいったい何回手に取っては棚に戻すを繰り返したことか。
日本史を題材にした小説を読みたいと思い、司馬遼太郎作品は、「竜馬が行く!」のほかは挫折の連続。小説の途中で、司馬氏の説明、独演が挟み込まれるのに抵抗有り。本当に魅力的な作品を知りたくて、尚且つ、司馬歴史観満載の日本史をひも解く作品として読むならば、という心構えを教えてくれる本として手にとった。
結果、読みたい本として挙がってきたのは、「花神」「峠」。
こうやって誰かに解説を加えてもらうと興味が勢いづいて、本を読もうという気持ちが倍増するから不思議。
NORDIC TALES BASED ON THE STORIES OF TOVE JANSSON,SELMA LAGERLÖF,and H.C.ANDERSEN
2020/01/20 22:28
大好きな物語に挿絵を添えるとすれば…
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誰にも好きな物語があるだろう。
そんな物語に自ら挿絵を添えられるとしたら、どんな素敵なことだろう。
あるいは、その物語を、絵で表現して誰かに伝えるとしたら、しかも、たった一枚の絵で。そんな風に表現するだろう。
いく晩も、朝な夕なに考えて、描いては迷って、また描きなおすのだろうか。
それとも、繰り返し繰り返し、文字を全部覚えてしまうくらい読んで、そしてまた、読んで。音に出してみたり、静かに文字を追ってみたり、あるいは誰かに読んでもらったりしながら空想し、思い描いて、描くのだろうか。いや、もしかすると、一回読んだときにパッとひらめいたことをそのまま描き出すのかもしれない。
そんな絵が16枚。並んでいます。その絵の元となったテキストも添えられています。そのまた、元になった本は、別のところにあるので、本屋さんとか図書館などで探し出して読むという楽しみもあります。
読んだことがある文章、知っている物語に添えられている絵を見ると、へえ、こんな風に感じるんだ、なんてお友だちの感想を見せてもらったような気分にもなります。
デンマークのアンデルセン、スウェーデンのラーゲルレーヴ、そして、フィンランドのヤンソンの作品から、選ばれた物語がアンソロジーのように集まっている画集です。
外は夏
2019/08/15 23:08
悲しい、哀しい、かなしい
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人は、日々の暮らしの中で、どれだけ頻繁に悲しみを感じているのだろう。ずっと悲しみが続くことはないだろうし、哀しみの中にも、ふっと笑ったり、ほっと気が抜けたりしているはずだ。でも、こうして小説で読むと、大きな悲しみに遭遇すると、もしくは、哀しみが近づくのを感じると、もしかすると、人というのは、微笑むことも、驚くことも忘れてしまうのでないかと思ってしまう。
こんな風に、哀しいという感情を巧く表現することができるのであれば、喜怒哀楽の「哀」ももっと上手に感じることができて、その分、「怒」という感情のほとばしりを穏やかにできたり、「喜」や「楽」という感情の大切さ、愛おしさも気づくことが出来るようになるのではないかな。そんなことに気づかせてくれた短編小説集。
精霊の木
2019/06/06 23:07
物語の種 ここにあり!?
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上橋奈緒子さんの作家デビュー30周年記念と大々的に謡われての新潮社からの文庫化。偕成社版も入手していたものの、ちょっともったいなくて読んでいなかったのだが、持ち歩きしやすい文庫版となってあっという間に読み終わってしまった。通勤途中に読んでいて、うっかりあちらの世界に引き込まれ、予定していた駅よりも早く降りてしまったり、熱中しすぎて乗り越してしまったりで、物語パワー凄しでした。
ご本人のあとがきによれば、30周年を記念した文庫化にあたり読み直し、気恥ずかしかったというようなことをお書きになっているけれど、その気持ちも十分に理解できる一方で、やはり上橋さんの創造する世界にすんなり入り込みました。
小学校の卒業式で校長先生が祝辞として卒業生となる私たちに語りかけてくださった「経験したことがないからわからないではなく、経験しなくても理解できる、予測が立てられる、相手の気持ちを感じたり、物事を見通す力をつけてください。」という言葉に呼応するような感覚を覚えました。
フィクションを読む楽しみだけでなく、大切さをも感じる素敵な作品です。
いくつもの「あとがき」を読むことができるのも再版を重ねているからこそだな、と思います。
ユーラシア動物紀行
2019/06/02 19:47
動物地理学っておもしろい
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研究で通っていた土地の様子も紹介されているので、そういう意味では旅エッセイ。
動物地理学という長年の研究の成果が紹介されているという点では、この分野の入門書。
絶滅した動物たちを残された剥製標本で現代の技術をくしして新しいことがわかってくるという見方をすれば、技術が進むことの意義や、過去を振り返り研究することの重要性を知ることができます。
生物が何故移動するのか。地球環境の変化をどう受け入れてきたのか。その結果として、種が変化してきたのだな、ということがよくわかります。
おとぎの国の郵便切手
2019/03/31 22:24
とりかえばや切手小噺!?
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安野光雅さんの絵は、絶対に切手向き。あの緻密な、緻密故の素敵な雰囲気が切手だからこそ生かされる、と思うのです。
こんな絵本を作ってしまうところからすると、安野さんは、かなりの切手好きなのではないかと推察します。自分の国の切手が自由にデザインできたら、楽しいことこの上ありません。季節や手紙の内容、目的に合わせたデザインの切手を使ってお便りを出すことができたら、こんなに素敵なことはありませんから。
「おとぎの王国」の王様の切手発行の夢を実現すべく手を変え品を変え切手図案を持ってくるペンタ君。大臣にも王様にも、納得してもらえるデザインができずにかなり苦労している模様。切手の図案の元となるものがすべてどこかで聞いたことがあるお話、というちょっと駄洒落、ナンセンス含みの展開です。
ごはんのおとも
2019/03/17 00:01
こんなご近所付き合いがしたい
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たまごかけごはんの表紙の絵に惹かれて書店で一気読み。1回目はそのまま自宅へ駆け込み、たまごかけごはんで夕食に。
本の中で紹介されているご飯のおともレシピも真似したくなるものばかりですが、それ以上に素敵なのがあのお店に通うご近所さんたち。こんな風にお付き合いできるご近所さんがいると嬉しいです。
告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実
2019/03/10 23:10
文字に、書籍にしてくれてありがとう
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この本は、NHKスペシャルの取材をもとにしたものだと言います。再放送もあったそうですが、私は残念ながらこの放送を見ていませんでした。だからこそ、このように書籍化してくださったことに感謝しています。
PKO活動に日本が取り組むことになったとき、現地に出向く人とその家族の感情のことを考えると何とも言えないものがありました。ただ、日本という国、国家という単位として、ようやく国際貢献に目が向くようになったのかとちょっとほっとしたところもありました。ただし、いつの世もそうですが、国の方針を決める人たちが最前線に立つことはなく、現場のことを把握しないままに、机上の理想論を振りかざして方針を決め、準備が進められることに、常にやるせなさを感じます。
紛争が起こっていた場所・国を、落ち着いた状態にするためには、第三者の冷静な目と判断を必要とする場合はあるでしょう。利害関係が生じてしまう人間社会では、紛争・戦争が起こってしまうことは避けること、止めることができない残念な性(さが)です。だからこそ、落ち着いた、健全な社会にする手助けをするために出向く人たちには、いざというときのための自営装備が必要なのだと思います。身を守るための装備だけでなく、精神的な支えも含めて。そして、報道に携わっている人たちは、こういう事実を精査し、公にし続けてほしいと思います。
ねぇ、しってる?
2019/03/04 23:07
子ども時代を追体験または、疑似体験
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誰もが通過しているはずの子ども時代。でも、あの頃のことをしっかりと記憶していることはあまりない。幼年期のあやふやな記憶を補ってくれているのはこういう絵本のように思います。それゆえに、兄弟もいないのに、あるある、そうそう…と共感できたりしてしまうのは、どういうことなのでしょう。
実際に、こんな小さな子どもがいて、しかも、第2子を待っているお母さんがこんなにゆとりをもって「お兄ちゃん」に接することができるのだろうかと思います。どこか、お母さんの先輩が、小さな子どもと必死になって生きている今の新米お母さんたちに、そして、もうすぐ「お兄ちゃん」になってしまう「僕たち」に大丈夫だよ、とエールを送っている絵本のように感じます。
いせひでこさんの絵がとても素敵で、そんなに頑張らないで、少し立ち止まってゆっくりしたら…と語りかけているように見えてなりません。
外の風の音を聞きながら、絵本を一緒に眺めたり読んだりするひと時があるといいな。
