あゆさんのレビュー一覧
投稿者:あゆ
悪魔と呼ばれた男
2021/02/10 03:32
エスパー
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
神永作品の醍醐味 超能力者の刑事が犯人を追い詰める術が何とも面白い そこはかとない物哀しさは本作品にも健在 刑事も殺人犯も、暗い闇を抱えている。事件の展開も登場人物達の人生も読み進めるうちにハマってしまう。最後にどんでん返しで幕引きとなるが、クリスティーの推理小説のような上質感がある。続編が待ち遠しいです
追憶の烏
2024/04/25 05:26
金鳥の死
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
山内の将来の道を模索するために金鳥の命を受けて人間界に降りる事になった雪哉。人間界の様々な事に驚きながらも楽しむ姿に読んでいても微笑ましく楽しくなる。こういうところが作者の力量だと後から気付く。そんな時に突然 金鳥の惨殺が起こる。山内に呼び戻される雪哉は、犯人を見つける任務を遂行する。犯人の滝本の今までが綴られていく。久しぶりの烏シリーズ。登場人物や独特の背景の難しさから、購入を迷ったけれど、初巻から丁寧に物語の世界観を書いてくれていた作者のおかげで、読み出すとすぐに思い出して没頭してしまった。さすが阿部智里先生
海神の娘 1
2023/08/09 02:02
海の神
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
不思議な不思議な神様と巫女の話。海蛇の海神様が自分の鱗から生まれでる娘を、それぞれの人生を送らせて、死んで海に還らせる。その魂が海神様の花となり、やがて又 鱗になる。娘の人生によって花の出来は変わる。過酷な人生だからと言って素晴らしい花となるとは決まらない。幸せだと思える人生だからと言って、満たされたものとは限らない。人それぞれ。深い深いお話でした
烏百花 蛍の章
2020/09/15 16:41
それぞれの恋愛
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
八咫烏シリーズの副本短編集の体を成す。主に雪哉の若宮との出逢いや友情を温めてゆく過程の些細な日常 澄尾の真緒の薄へ対する気持ちの流れ 若宮がまだまだ好ましい親しみやすい時の姿等が短編で書かれている。良くある副本のような軽いものではなく、この短編集によって、本編では迫力満点で進められる話の中の小さな事柄や登場人物達の人となりを醸し出す素晴らしい短編集となっていて、これを読む事で、また一層 八咫烏シリーズに深く深く没頭出来るように思う。作者の物語への丁寧な引率を心から感謝してしまう。物語が長編化し、若宮達の成長で親しみ感が少なくなってきていたので、この本を読むと、第一巻を読んだ時の真実味と親近感が存分に味わえる
童の神
2020/06/27 16:38
大和の国の鬼
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
読み終えた時に、沸き起こった哀しさと温もりを、他の読者にも分けてあげたい。読み始めた時、難しいのか、男性向けなのか、私には合わない本かもしれないという、つかみ所のない感覚に襲われた。読み進めると、全てが変わった。酒呑童子、茨木童子、虎熊童子、土蜘蛛、安倍晴明。それらが全て実在する人達だったと初めて知った。そして各々が今日 何故鬼や神などと呼ばれるようになったかも紐解かれる。とても とても男性的な文章ながら、奈良の山々の緑濃い風景が目の前に移り変わるかのような描写と共に、深みにはまる物語でした。続編を楽しみにしてます。
紅霞後宮物語 第0幕4 星降る夜に見た未来
2019/12/12 07:50
二人の歴史
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
小玉と文林の軌跡は、普通のカップルと違って、サバサバした気持ちの中で育んだ恋?過ちのように起こった蜜事?男らしい思いやり?読んでいても、こんなカップルが居るのだと恋愛小説としても楽しかった。女としては勉強にもなった。相手への思いやりの持ち方 相手との距離の保ち方を学んだ。ずっと知りたかった二人の気持ちの歴史と過去が本編で書かれていて、とても満足!また皇后になるまでの小玉の姿が書かれていて、何だか等身大の人のように思え、サッパリした責任感大きい抜きん出た小玉像だったのが、隣に居る友達のような馴染みある人間像で書かれていて、より理解が深まった。
悪魔を殺した男
2023/01/22 20:26
闇の闇
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
犯人捜しの最高潮作品。五重、六重に絡み合い、犯人側も主人公の阿久津側も策の裏に策を巡らしてラストシーンを華やかに飾る。犯人側の人々の異常さは読んでいても心が穢れるようなイヤな気分に何度も休憩してしまう。阿久津の感知能力に掛かれば即解決に至ってしまうところを、神永先生は私たちを翻弄するかのように阿久津を犯人達に近付けることなく天海や永瀬達、登場人物の密かな感情や秘密や行動で結末に運び込む。そして阿久津や大黒が実は生きてい、今後は本当の権力や組織に縛られない特別な捜査機関を作っていくのだろうと思わせるラスト。是非とも、その後の話を読みたい。追筆で大黒と阿久津の馴れ初めショート文章も気持ちが爽やかになる。どうか その後の阿久津達の活躍ぶりを発表してください
花菱夫妻の退魔帖 1
2023/01/16 08:26
霊能者
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
面白い物語が始まった。主人公の鈴子は霊が見える。しかし作者は霊能者とは表現していない。そういうところが他の幽霊話とは違う。その鈴子の婚約者が秘密めいた花菱孝冬。鈴子は脅迫めいた言葉で婚約を渋々受け入れる。孝冬にも霊が見えるようだ。それどころか霊が憑いてるようだ。それぞれが霊を追いかける理由が物悲しい。少しづつお互いを思いやる流れになっていくが、鈴子の恨む犯人が孝冬の兄ではないかと思わせるところで続く。ああ早く次刊を読みたい。さすが、白川先生。侯爵や貴族。神道や仏道の歴史や流れを作中に散りばめて、とても勉強になります。深い作品ですが楽しく読めました
心霊探偵八雲Short Stories
2022/05/10 23:23
場外編
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面白い!今までの話のスピンオフストーリー集のような本書は、軽く笑える雰囲気もあるのに、なかなかの読み応え感が味わえます。半田くんの推理、という話は、八雲の映画研究同好会部屋のお隣のクラブの半田くんが、日々 八雲達の会話や物音から推理する日常生活。確かに、八雲達の学校生活を他の学生は、不思議に思うだろうと笑えてきた。その他、過去のシリーズの番外編。楽しめます!
発現
2021/08/28 16:15
戦争の傷
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物語は精神錯乱者の話のように始まり、次第に霊能力者だったのか?と思い始める。そして読み終えたときに残る想いは、戦争の理不尽さ。戦争はしてはならない。と言う、まるで従来そこら辺に有り触れるプロパガンダのような気持ちを抱く自分に失笑した。読み終えて、楽しくなる物ではないのに、この満足感に脱帽した。阿部先生の文章力の強さに、またしてものめり込む。私にとって良い小説とは、主人公や登場人物と一緒に、その場面を見、感じ、賛同し、拒絶出来る小説なのだと改めて思い知った。楽しくて、さらりと読める小説よりも、文章力の有る先生方の作品こそが、お金と時間を費やす価値が有るのだと思える作品でした
てんげんつう
2021/07/07 14:56
若旦那大活躍
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
祖母のおぎんには、毎回助けられてきた体の弱い若旦那。今回 初めて 祖母おぎんを助けるために大活躍する。おぎんを慕い敬う仁吉の事も助ける。今までになく、心躍る話が多数。とてもとても楽しめる。早く次も読みたい
京都くれなゐ荘奇譚 1 呪われよと恋は言う
2021/06/19 15:29
蠧師
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面白い!後宮の烏と同じく、少し陰のある全体像に、善と悪に分けられない人間くさい登場人物達が、呪術師として活躍する物語が、とにかく面白い。主人公の澪は純粋な心の持ち主だけど、周りの人たちの情を気付かずに一人で自分の運命に立ち向かおうとする。何回も生まれ変わって、同じ蠧師と愛ゆえの呪いを繰り返す。とても面白い。
神様の御用人 10
2021/04/11 10:22
最終話
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終わってしまうのが本当に悲しい。神と人の繋がりを浅葉先生の女性らしい優しい言葉で綴られてきたのが、9刊からのスケールの大きさに、どう締めくくるのか、読者としてもハラハラしてました。
今回読み終えて、アテルイの首塚を訪問してみた。清水寺も行ってみた。今までの訪問とは数段違った味わいでした。情報を持ち、視点を変えると毎年見ていた風景が違って見えた。神様の名前からして難しい「神々の物語」を、分かり易く語ってくれた本書が最終話となってしまうのは悲しい。神々の気持ちや歴史を擬人化して書かれてあるのだから、本当の神様は、もっと違うのだろう。神様の事情や考えなど、人が理解する事など無理だからこそ、本書の良さがあると思う。今後 続編は出来ないのか、祈る気持ちで待っていたいです。
宮廷神官物語 12
2021/04/05 08:04
主従の在り方
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
今回は櫻嵐と曹鉄のむすめ翆嵐のお話し 錫石って皇后の父親の腹立つこと腹立つこと!どうにかしてくれ!と久しぶりに頭に血が登ったけど、最後には天青が期待通りの愛と厳しさで成敗してくれる。人としても成長した天青の素晴らしさに何故か寂しさも感じるけど、今までの天青のハラハラする無垢な清廉さは翆嵐達 次の代の子供達がワクワク感満載で体現してくれている。最後には天青の慧眼児の存在がまだ健在なのか、失われたのかも書かれている。もっと天青の活躍が見たい!