あゆさんのレビュー一覧
投稿者:あゆ
紙の本悪魔と呼ばれた男
2021/02/10 03:32
エスパー
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
神永作品の醍醐味 超能力者の刑事が犯人を追い詰める術が何とも面白い そこはかとない物哀しさは本作品にも健在 刑事も殺人犯も、暗い闇を抱えている。事件の展開も登場人物達の人生も読み進めるうちにハマってしまう。最後にどんでん返しで幕引きとなるが、クリスティーの推理小説のような上質感がある。続編が待ち遠しいです
紙の本烏百花 蛍の章
2020/09/15 16:41
それぞれの恋愛
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
八咫烏シリーズの副本短編集の体を成す。主に雪哉の若宮との出逢いや友情を温めてゆく過程の些細な日常 澄尾の真緒の薄へ対する気持ちの流れ 若宮がまだまだ好ましい親しみやすい時の姿等が短編で書かれている。良くある副本のような軽いものではなく、この短編集によって、本編では迫力満点で進められる話の中の小さな事柄や登場人物達の人となりを醸し出す素晴らしい短編集となっていて、これを読む事で、また一層 八咫烏シリーズに深く深く没頭出来るように思う。作者の物語への丁寧な引率を心から感謝してしまう。物語が長編化し、若宮達の成長で親しみ感が少なくなってきていたので、この本を読むと、第一巻を読んだ時の真実味と親近感が存分に味わえる
紙の本童の神
2020/06/27 16:38
大和の国の鬼
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
読み終えた時に、沸き起こった哀しさと温もりを、他の読者にも分けてあげたい。読み始めた時、難しいのか、男性向けなのか、私には合わない本かもしれないという、つかみ所のない感覚に襲われた。読み進めると、全てが変わった。酒呑童子、茨木童子、虎熊童子、土蜘蛛、安倍晴明。それらが全て実在する人達だったと初めて知った。そして各々が今日 何故鬼や神などと呼ばれるようになったかも紐解かれる。とても とても男性的な文章ながら、奈良の山々の緑濃い風景が目の前に移り変わるかのような描写と共に、深みにはまる物語でした。続編を楽しみにしてます。
2019/12/12 07:50
二人の歴史
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
小玉と文林の軌跡は、普通のカップルと違って、サバサバした気持ちの中で育んだ恋?過ちのように起こった蜜事?男らしい思いやり?読んでいても、こんなカップルが居るのだと恋愛小説としても楽しかった。女としては勉強にもなった。相手への思いやりの持ち方 相手との距離の保ち方を学んだ。ずっと知りたかった二人の気持ちの歴史と過去が本編で書かれていて、とても満足!また皇后になるまでの小玉の姿が書かれていて、何だか等身大の人のように思え、サッパリした責任感大きい抜きん出た小玉像だったのが、隣に居る友達のような馴染みある人間像で書かれていて、より理解が深まった。
紙の本花菱夫妻の退魔帖 1
2023/01/16 08:26
霊能者
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
面白い物語が始まった。主人公の鈴子は霊が見える。しかし作者は霊能者とは表現していない。そういうところが他の幽霊話とは違う。その鈴子の婚約者が秘密めいた花菱孝冬。鈴子は脅迫めいた言葉で婚約を渋々受け入れる。孝冬にも霊が見えるようだ。それどころか霊が憑いてるようだ。それぞれが霊を追いかける理由が物悲しい。少しづつお互いを思いやる流れになっていくが、鈴子の恨む犯人が孝冬の兄ではないかと思わせるところで続く。ああ早く次刊を読みたい。さすが、白川先生。侯爵や貴族。神道や仏道の歴史や流れを作中に散りばめて、とても勉強になります。深い作品ですが楽しく読めました
2022/05/10 23:23
場外編
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
面白い!今までの話のスピンオフストーリー集のような本書は、軽く笑える雰囲気もあるのに、なかなかの読み応え感が味わえます。半田くんの推理、という話は、八雲の映画研究同好会部屋のお隣のクラブの半田くんが、日々 八雲達の会話や物音から推理する日常生活。確かに、八雲達の学校生活を他の学生は、不思議に思うだろうと笑えてきた。その他、過去のシリーズの番外編。楽しめます!
紙の本発現
2021/08/28 16:15
戦争の傷
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
物語は精神錯乱者の話のように始まり、次第に霊能力者だったのか?と思い始める。そして読み終えたときに残る想いは、戦争の理不尽さ。戦争はしてはならない。と言う、まるで従来そこら辺に有り触れるプロパガンダのような気持ちを抱く自分に失笑した。読み終えて、楽しくなる物ではないのに、この満足感に脱帽した。阿部先生の文章力の強さに、またしてものめり込む。私にとって良い小説とは、主人公や登場人物と一緒に、その場面を見、感じ、賛同し、拒絶出来る小説なのだと改めて思い知った。楽しくて、さらりと読める小説よりも、文章力の有る先生方の作品こそが、お金と時間を費やす価値が有るのだと思える作品でした
紙の本てんげんつう
2021/07/07 14:56
若旦那大活躍
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祖母のおぎんには、毎回助けられてきた体の弱い若旦那。今回 初めて 祖母おぎんを助けるために大活躍する。おぎんを慕い敬う仁吉の事も助ける。今までになく、心躍る話が多数。とてもとても楽しめる。早く次も読みたい
2021/06/19 15:29
蠧師
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面白い!後宮の烏と同じく、少し陰のある全体像に、善と悪に分けられない人間くさい登場人物達が、呪術師として活躍する物語が、とにかく面白い。主人公の澪は純粋な心の持ち主だけど、周りの人たちの情を気付かずに一人で自分の運命に立ち向かおうとする。何回も生まれ変わって、同じ蠧師と愛ゆえの呪いを繰り返す。とても面白い。
紙の本宮廷神官物語 12
2021/04/05 08:04
主従の在り方
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今回は櫻嵐と曹鉄のむすめ翆嵐のお話し 錫石って皇后の父親の腹立つこと腹立つこと!どうにかしてくれ!と久しぶりに頭に血が登ったけど、最後には天青が期待通りの愛と厳しさで成敗してくれる。人としても成長した天青の素晴らしさに何故か寂しさも感じるけど、今までの天青のハラハラする無垢な清廉さは翆嵐達 次の代の子供達がワクワク感満載で体現してくれている。最後には天青の慧眼児の存在がまだ健在なのか、失われたのかも書かれている。もっと天青の活躍が見たい!
紙の本神様の御用人 9
2021/03/25 16:45
人間の最後
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今回は深い意味ある話に、度肝を抜かれた。神々が人を滅ぼし、再生する。昔からモーゼの物語のように私達人間の大テーマに挑む。黄金が消滅しそうになり、良彦一人で立ち向かう神々とのやり取りは、人生論としても深い。早く続きが読みたい
紙の本むすびつき
2021/01/29 15:00
付喪神と主人
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カワイイ付喪神達が若旦那を巡って活躍する。若旦那の前々世が語られる物語。若旦那が亡くなり、生まれ変わったという物語。若旦那の前世の行動を今世で追う物語。全ての物語に生まれ変わりがテーマになっていて、心に染みる。今回も外すことなく可愛さ有り、可笑しさ有り、悲しさ有りの付喪神達。若旦那の少し頼りなげな優しさと実は付喪神達を守り通す男らしさが心地よい。
紙の本白き面に、囚わるる
2020/11/05 17:12
晴明と十二神将の初期
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十二神将を式神として下したばかりの晴明が、その神気の強さ故に十二神将達と近づけないままに繋がり方をもさくしていく 大切に想う若菜姫を巻き込み、同僚を伴いながらも妖退治を行い、十二神将達と歩んでゆく 少年陰陽師安倍晴明の書簡からファンにはお馴染みの、名とは最も強く重い呪であるという題目も変わらずに引っ提げての本編 裏切ることの無い深い神秘性を秘めた本書は必見です
紙の本宮廷神官物語 11
2020/07/05 07:18
鶏冠と天青の新たな関係
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素晴らしい!今回も人の情 優しさ 悲しみとを惜しみなく溢れさせてくれる作品です。鶏冠の弱さ 過去 人に甘える事も出来た頃の姿まで明かされ、今や敵対していた苑遊との心通わせた過去を苑遊の視点で描かれている。裏切り者の苑遊!という私の気持ちも、変わった。苑遊の過去と寂しさを読むうちに、同情と応援したくなるような気持ちになった。榎田作品ならではの魔法が、惜しみなく散りばめられた本作品最高の章だと思う。師範になった天青と少し人間らしくなった鶏冠のこの後は、さすがに、もうこれ以上の面白さは無いだろうなと思う。
紙の本とるとだす
2020/01/06 10:22
若だんなの活躍ぶり
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待ってました!しゃばけシリーズの最新文庫版。今回ばかりは若だんなが、長崎屋の跡取りらしい姿勢と働きぶりを存分に味わえる作品でした。文庫版は中々出なくて、待ち続けること長期間。しかし 長編小説に有りがちな繰り返しや、ただ文字数を埋めたような驚きも無い作品では無い畠中作品!やはり待ってて良かった。刊行数だけが多い、人気のシリーズ作品が増えている中、毎回
新しさと驚きを与えてくれる本作品を心から楽しみにしています。