ナツメグコさんのレビュー一覧
投稿者:ナツメグコ
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三つ編み
2019/05/08 20:23
状況を切り開く力
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母から、社会から、ずっと「受け入れよ」と教育されてきた。そして、それに従って生きてきた。それが長女として、女として、正しきこと、善きことと信じて。・・・だが、半世紀をすぎた今、自分が後悔の海に沈んでいることを認めざるを得ない。苦しい、つらい、恨みがましい気持ちでいっぱいの自分が、情けなくてたまらなかった。
『三つ編み』の中の、インドの不可触民女性が置かれた過酷さ、カナダのシングルマザーが直面する闘病と孤独、けれどそこで「諦めず、あらがう」強烈な意思に接して、自分の甘さに気づかされた。
シチリアの女性の前向きな強さは、愛し合う男性や父親の声の後押しがあってこそ生まれたものではある。素敵な愛の場面にうっとりとし、父親との魂の繋がりを羨ましく思った。が、それでも、シチリア女性本人の「未知の世界にふみだす」決断なしには、新しい生き方は生まれ得なかった。
これまで「受け入れること、守ること」によって生きてきたが、これからは必要な時には「拒むこと、NOと言うこと」から未来を切り開いていこう、と決意した。
本書に登場する若い女性3人に教えられた。
満天のゴール
2019/04/12 19:38
生き延びること、生き抜くこと
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生きるのが苦しくなった時、人はふと死を求めてしまうことがある。でも、本当は誰だって「よりよく生きたい」「幸せにこの命をまっとうしたい」と願っているのだ。
主人公は、不倫したあげくに自分と我が子を捨てようとする夫から逃れて帰郷した女性。母の死に際して医療不信を抱き、資格を取得した看護職から離れていた。生活のために看護師となった彼女は、僻地の高齢者医療に携わり、そこでいろいろな人たちとの出会いと再会を通して、最後まで生き抜くことの尊さを知る。
作中で、生き延びるために深い悲しみを抱えたまま大人になった人物が登場し、昨今の児童虐待報道と重なって胸が痛む。
けれど、結末には救いと希望が提示されている。
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