Cat loverさんのレビュー一覧
投稿者:Cat lover
| 4 件中 1 件~ 4 件を表示 |
2019/04/13 08:17
すべてのビジネスマンにとって、手に取って損はない一冊、お勧めです。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
次世代自動車産業」に続いて、本書を購入しました。
本書は、
・Eコマースの「アマゾン×アリババ」、
・スマートフォンの「アップル×ファーウェイ」、
・SNSの「フェイスブック×テンセント」、
・検索の「グーグル×バイドゥ」
という分類で、米国と中国を代表するメガテック企業を比較・分析しています。
また、「孫氏の兵法」の五事(道・天・地・将・法)について、
・道=グランドデザイン(ミッション・ビジョン・バリューなど)、
・天=タイミング(天の時)、
・地=地の利、
・将=リーダーシップ、
・法=マネジメント
として、独自に、現代経営学の視点でアレンジ。この「5ファクターメソッド」を比較・分析にあたっての手法にしています。
経営戦略を専門とする著者は、米中メガテック企業の最新情報を網羅しながら、それを「5ファクターメソッド」を使って読み解いていきます。特に、「アマゾン×アリババ」なら”経済圏の戦い”、「フェイスブック×バイドゥ」なら”目的としてのSNS、手段としてのSNS”といった、筆者ならではの斬新かつユニークな視点で論がすすむ点は、米中メガテック企業について自分が既に知っている事実にも深みを与えてくれます。また、これら米中メガテック企業の商品やサービスを毎日利用するにあたって、新鮮な意味付けもしてくれます。
筆者の根底には、昨今の米中関係(米中摩擦)を、「先駆者利益を確保する米国」と「それを模倣し事業展開した中国」という短期的な構図から離れて、「貿易×テクノロジー覇権×安全保障」の戦いの構図で長期的に見ていく必要があろうという本質的な問題意識があります。そして、筆者は、GAFA×BATHの分析を通して、プラットフォーマーの覇権争い、先駆者利益を創造する存在となった中国勢の動向、産業・社会・テクノロジー・企業のあるべき未来、そしてGAFA×BATHの分析を踏まえた、日本や日本企業の活路を読者に示していきます。
筆者はミッション・マネジメント&リーダーシップも専門とするだけあって、「5ファクター」のうちでも特に「道」と「将」の重要性を説いています。ミッション・ビジョン・バリューなどの「道」とリーダーシップの「将」です。各メガテック企業やその経営者が大切にしている使命感や価値観を、筆者がいかに重要視しているかが伝わってきます。
以前に筆者のセミナーに参加したとき、筆者は「人物が登場しない本って面白くないでしょ!?」とおっしゃってました。確かに、前著では、経営者にもフォーカスがされていました。本書でも、
・アマゾンのベゾス、
・アリババのジャック・マー、
・アップルのジョブスやクック、
・ファーウェイのレン・ジンフェイ、
・フェイスブックのザッカーバーグ、
・テンセントのポニー・マー、
・グーグルのペイジやピチャイ、
・バイドゥのロビン・リー、
の「将」が興味深く解説されてて、間違いなく読み応えがあるはずです。
もう一つ新鮮だったのが「ROAマップ」による8社分析です。一見難しそうな財務分析を平易な言葉で説明しながら、各社の特徴が解説されています。この「ROAマップ」の解説は、各米中メガテック企業の戦略や方向性を定量的かつ定性的に反映している点で目からうろこ。「ROAマップ」を眺めながら、筆者の分析・解説と並行して、読者自身がいろいろと各社の戦略や方向性について思案してみるのも面白いと思います。
最新の企業動向や戦略を知るツールとして、自社の事業や自分の仕事へ向き合う時の“ものさし”として、そして日本の活路へ思いをめぐらす時のヒントとして絶好の一冊。
2019/04/19 20:54
「アマゾン銀行」という衝撃的なフレーズ。冷静に分析・洞察された次世代金融シナリオ。総勢13の次世代金融プレーヤーについての解説。金融はもはや特別でも例外でもない! 著者の『次世代』シリーズ最新版!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
金融からキャリアをスタートし、「ストラテジー&マーケティング」と「リーダーシップ&ミッションマネジメント」を専門とする著者ならではの本書。金融ディスラプターや既存メガバンクを、金融を出自にもつ者の視点から本格的かつ冷静に考察しています。
登場するプレーヤーは・・・
・アマゾン(米国)
・アリババ/アントフィナンシャル(中国)
・テンセント(中国)
・楽天(日本)
・LINE(日本)
・ヤフーソフトバンク連合(日本)
・SBI(日本)
・ゴールドマンサックス(米国)
・JPモルガンチェース(米国)
・MUFG(日本)
・みずほFG(日本)
・SMBC(日本)
・DBS(シンガポール)
金融ディスラプターと既存金融機関の総勢13社。次世代金融産業のランドスケープを広く見渡せる、まさに圧巻です。
序章の「鈴木さんの2025年4月の近未来ストーリー」。「1人ひとりの個性や強み、その人のライフスタイルやワークスタイル、そして信頼という本来最も重要な価値が評価される、新たな金融システム」の一端が東京の四ツ谷を舞台に描かれています。金融産業とは重厚で厳格なもの、ビジネスに変革の波が押し寄せるなかでも金融だけは特別、そんな発想は吹き飛んでしまいます。
お金が価値をはかる尺度であったり、交換・決済機能を持つ限り、金融は厳格なものという思想は変わらないと思っています。しかし、著者は、そのような思想が、不便、時間がかかる、わかりにくいなどの「当たり前だったこと」になっていたとします。そして、カスタマーエクスペリエンスの視点から、便利、時間がかからない、わかりやすい、楽しいなど「新しい当たり前」が次世代金融産業を生き抜くカギとなるとします。
「当たり前だったこと」の変革を迫られるのは既存金融機関。「新しい当たり前」を次世代金融産業に取り込むのがメガテック企業。この両者の戦いを、次世代金融産業を巡る戦いの構図として最初に挙げている点は明快。
「顧客接点やカスタマーエクスペリエンス、顧客との継続的で良好な関係性」は、著者が次世代金融産業を分析・考察するにあたっての最も重要なレンズとなっています。次世代金融産業ではこれを巡る戦いが繰り広げられる。だからこそ、次世代金融産業では「すべての産業の秩序と領域を定義し直す戦い」によって、「金融そのもの」の創造的破壊や破壊的創造を通して、「覇権を握るのは大手金融機関でもテクノロジー企業でもない可能性すらあるかもしれない」としています。
この次世代金融産業の「戦いの構図」のもと、著者が投げかける問題意識のなかで最も納得したのが、「金融はもはや「Duplicate(擬似的に創造)」できる」こと。そう!金融はテクノロジーを使ってもはや擬似的に創造できる。だから、金融は特別でも例外でもない。既存のメガバンクでさえ、金融ディスラプターとのし烈な競争にさらされるのです。
著者は、本書の結びで、序章の「鈴木さん」が利用した金融サービスを「新たな社会における、新たな価値や価値観を表象する、新たな金融システム」として、それを「金融4・0」と呼びます。「金融4・0」では、各プレーヤーには「新たな金融ビジネスにおいてどのような存在となるのか」というグランドデザインが求められる。「金融4・0」の社会は、人が本当に持っている「信頼」が重視され、それが本当に評価される。「金融4・0」では、新たな金融テクノロジーは人が本来大切にしてきた価値や価値観で生きることができるようにすることを支援するために使われるべき。これら主張は、著者のキャリアや専門を総動員した日本への鼓舞にも思えます。
経営戦略4.0図鑑
2020/04/14 08:45
キープレーヤー15社、重要なビジネスモデル、中核を担うテクノロジー、「戦略の見方」、マーケティング手法・・・。豊富なコンテンツを取りそろえた”経営戦略の図鑑”!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本書は、最近テレビ東京のワールドビジネスサテライトのコメンテーターとしてもお見かけした、立教大学ビジネススクール 田中教授の最新作です。
著者の専門は「企業戦略&マーケティング戦略」と「リーダーシップ&ミッションマネジメント」の2つの領域です。著者はこれまでも多くの著書を刊行してきています。前者の領域では、アメリカのGAFAや中国のBATH、次世代自動車産業や次世代金融産業など。後者では、『「ミッション」は武器になる』や『ミッションの経営学』、共著『あしたの履歴書』などです。
わたし自身著者の作品はすべて手に取ってきましたが、今回の『経営戦略4.0図鑑』はこれまでの著書とは少し趣きがちがいます。本書を一言でいうなら、著者の専門家としての視点から編纂された、まさに“経営戦略の図鑑”です。そして、そこで貫かれているキーワードが「戦略4.0」。コトラーの『マーケティング4.0』にも基づいて、世界のトップ企業が採っている戦略をそのように定義しています。
本書は3部構成です。パート1では、「戦略4.0」を読み解くための3つの視点 ~キープレーヤー企業、最重要ビジネスモデル、中核を担うテクノロジー~ が提示されています。パート2では、「戦略4.0」の全体構造を理解するために、具体的に、6つの「戦略の見方」と2つのマーケティング分析の手法が紹介されています。そして圧巻のパート3では、パート1&2をおさえた上で、世界トップ企業の戦略を概観・分析し、そこから各社の強さの秘密や次の一手を一つひとつ丁寧に読み解いています。
その世界トップ企業とは、
【アメリカのGAFA】
・グーグル
・アップル
・フェイスブック
・アマゾン
【中国のBATH】
・バイドゥ
・アリババ
・テンセント
・ファーウェイ)
【日本企業】
・トヨタ
・ソフトバンクグループ
・ソニー
・楽天
・ファーストリテイリング
【米国企業】
・ネットフリックス
・マイクロソフト
の15社です。各社の変遷、事業・収益構造、市場や競争環境、そして戦略が概観・分析されていて、「図鑑」のコンテンツとしてまとめられています。これさえ押さえれば、いま世界の最前線で何が起こっているのかを一望することができます。
また、パート3には、
・ユーザー・エクスペリエンス
・カスタマー・エクスペリエンス
・スマートシティ
・キャッシュレス化
・イメージセンサー、認証技術
・デジタルトランスフォーメーション
・戦略4.0企業の「金融事業」
という、各社の戦略を読み解くのに便利な「キーワード解説」も添えられています。
そして本書は、『「戦略4.0」のゆくえ』と題して、戦略4.0企業や日本企業全体の未来予想図についての著者による展望で結ばれています。そこで目を引くのが、「個人のプライバシー」や「プライバシー規制」、「サステナビリティ」、「ステークホルダー資本主義」といった、最近社会で特に注目を集めている概念についての解説です。著者は、これらの概念が「これからの戦略4.0を見通す上で、欠かせない視点となる」と締めくくっています。
本書は、「図鑑」であるだけに、ビジュアルにうったえかける図表、わかりやすい文章、色分けされたパート構成も特徴。300ページを超える「大作」でありながら、読者にとっての読みやすさ、親しみやすさにも最大限配慮されていることがわかります。その意味でも、すべてのビジネスマンにとってのビジネスの教科書として、就活生にとっては「いまビジネス社会では何が起きているのか」を知るための入門書として、おおいに役立つ一冊です。お勧めです!
なぜ女はメルカリに、男はヤフオクに惹かれるのか? アマゾンに勝つ!日本企業のすごいマーケティング
2019/08/31 12:44
身近にある題材で「すごいマーケティング」を鋭く解説!ビジネスマンはもちろん、就活をひかえた学生にも、さらなる成長戦略を描きたい経営層にも間違いなく役に立つ一冊。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
著書がでれば必ず読ませていただく田中道昭教授、そしてテレビにもよく出演されるあの「草食系男子」のトレンド評論家 牛窪恵氏の共著。
この異色のコンビが、私たちの周りに身近にある題材を使ってマーケティングを楽しく解説していきます。一見すると難解そうな事例を身近な感じでまとめていて、まるで著者二人の授業をライブで受けているような、そんな感覚で読み進めることができます。
各章の前半のリサーチ編を担当する牛窪氏はさすがトレンド評論家だけあって、リアル感を軽快に醸し出しながらマーケティングの題材となる事象を鋭く抽出しています。受けて、各章の後半のマーケティング分析編を担当する田中教授は、牛窪氏のフィールドワークに学術的な重みを加えつつ、それを理論的ながらわかりやすく解説していきます。
1章→メルカリとヤフオクを題材に、STPとシェアリングエコノミーを解説
2章→LINEを題材に、キャズム理論、「類似化」戦略、「差別化」戦略、「ゾーンマネジメント」を解説
3章→スタディサプリを題材に、4Pと4C、顧客価値、プラットフォーム戦略を解説
4章→オイシックスを題材に、カスタマーエクスペリエンスやカスタマージャーニーを解説
5章→エアクロゼットを題材に、サブスクリプションやエクスペリエンスデザインを解説
6章→エバラ「プチっと鍋」を題材に、世代論、コーホート分析、ライフコース、「モラトリアムおじさん」を解説
最終章では、田中教授が、6章までに解説した理論などを使ってアマゾンのマーケティングを総括しつつ、アマゾンゴーとアマゾンブックスなど最新事情を紹介しています。
多くのマーケティング用語がとびかいますがリアルなリサーチに基づいた解説であり、す~っと入っていくことができます。「ライブ授業」と上述しましたが、新感覚なマーケティングの教科書といった感じでもあります。
平易な文章で書かれていることから、一見するとマーケティングの入門書のようにも思えます。一方で、この著書は、バリバリの経営層にも必ず突き刺さるはず。事業経営をするなかで、自社のマーケティングの基本をもう一度見つめ直す契機として絶好の一冊です。自社のSTPは?どうやってキャズムを超えるのか?将来のビジネスモデルは、プラットフォーム戦略は?自社はカスタマージャーニーにそっているのか?アマゾンはなぜすべてを破壊しようとするのか?・・・などなど。事業環境が目まぐるしく変化するなか、経営者がこれからの経営戦略について考察、策定、実行する有用なツールであることは間違いないです。
これから就活をむかえる大学生にとっても、この著書は、みずからの教養を深めつつ、自分が就職先候補に挙げる企業や組織のマーケティング戦略を分析・洞察するツールを提供してくれます。まさしく、ジネスマンはもちろん、就活をひかえた学生にも、さらなる成長戦略を描きたい経営層にも間違いなく役に立つ一冊です!
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