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ハマさんさんのレビュー一覧

投稿者:ハマさん

27 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本笑う死体

2020/10/07 09:24

これは傑作です

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

いや、面白いです。
私的には今年度のNo.1です。
本作はシリーズ第2作だそうで、第1作を読んでないんで、なんでこの主人公がここまで警察組織の中で忌避され「堕落刑事」の烙印を押されているのかわかりませんが、その設定がこれまでの警察小説にはないものです。
組織のはみだしというだけでなく、能力があるの何故か評価されないというのでもなく、本質的に悪に染まってはいないようでありながら、やることはえぐい。そこにそこはかとないイロニーがあります。ベースにポエジックな哀愁が漂っている文体は、なんとなくアメリカ的ではない英国的な暗さを感じさせます。
第1作もさっそく買いに行きたいと思ってます。絶対にお勧め。今年の「このミス」で何位に入るか楽しみが増えました。
★★★★★読まずに死ねるか です。

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電子書籍

電子書籍葬られた勲章(下)

2020/08/18 14:03

私的には本年度ここまでの最高作

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私的には本年度ここまでの最高傑作です。いやぁ、面白かった。まさに『巻を措く能わず』です。
ジャック・リーチャーものです。トム・クルーズで2作ほど映画になりましたが、このシリーズは24作もあるらしい。原作のファンの方なら賛成してくれると思うけど、トム・クルーズは原作のジャック・リーチャーとちょっとイメージが違うんです。
24作のうち日本語に翻訳されているのは、そのうち半分ぐらい。(だれか早く翻訳してくれ)。
翻訳されているものの中にはいまいちのもありますが、これは、巻頭からぐんぐん読ませます。真夜中のニューヨークの地下鉄の中で、偶然乗り合わせた不審な女性客にリーチャーが声をかけるところから始まるんですが、小気味が良いほどテンポがいいんです。そして、意図せず(でもないか?)リーチャーがこの事件に引き込まれていくと、その奥には、・・・です。
リーチャーは宿無しでアメリカ各地をさまよっていていろんなところで事件と遭遇するのがこのシリーズのパターンで、ふと木枯し紋次郎みたいと思ったりしました。(年がわかるね)リーチャーは『あっしにはかかわりのねぇことでござんす』とはいわないし、どっちかというと割と積極的にかかわったりするんですが、宿無しの放浪者でめちゃくて強いというところが似てたりします。リーチャーは頭もめちゃくちゃいいです。)
でも、このシリーズ語り口が一人称になったり、三人称でやったりするのはなぜなんでしょうね?ちなみに本作は一人称です。

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電子書籍

電子書籍探偵になんて向いてない

2021/07/11 19:38

不覚にも

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

不覚にも、泣いてしまいました。
そんなに期待して開けた本ではないのに、
時間潰しによも始めたのに、
心地よい読後感です。余韻の残るエンディングです。思わぬ収穫でした。
星五つ★★★★★ 『一食抜いても読むべし』です。

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紙の本

『ああ、おもしろかったよ』

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本を読むことは昔から好きだった。両親ともに本を読む家庭で育ったことも影響していると思うが、小さいころから本を読んでいると褒められたんで、次男の狡さで本好きになったと思う。世界文学全集なんか買ってもらって中学時代からドストエフスキーやトルストイ、カフカを読んだ。きっと十分な理解なんかできてやしなかったに違いないが、周りの友達とはちょっと違うぞと思ってた。やなガキだったんだ。
「趣味は読書」というのはあるときから止めた。人に聞かれれば、「読書は趣味でなく生活の一部。飯を食ったり、ふろに入ったり、糞することと同じで生きていく上で必要なもの」と嘯いた。やな野郎だ。
「なんのために、読書をするのか?」
本書の著者も「楽しいから」と答えているし、自分もそう思う。
「読書が自分の血肉になっているか?」と問われれば、なってはいるだろうけど、必要な内臓器官や、筋肉になったかどうかは正直わからない。無駄な脂肪かもしれない。もっというなら、やな爺になりつつあるのは読書のせいかもしれない。
だけど、身近に本がなければ不安になる。ちょっと外出するにも前は文庫本1冊は持ったし、ちょと旅行や泊りの出張に行くとなれば、3~4冊は持った。いまは、iPadで電子書籍。紙の本もみんな切り離してスキャナーで電子化しiPadに取り込んだ。いわゆる「自炊」というやつ。そのために、富士通のスキャナとPLSUの裁断機まで買った。(あほやね)。どこに行くのもiPadを持っていく。トイレにももってはいる。
本の読み方なんか人に教わるものやないと思ってたし、今もそう思いけど、本書は押し付けがましく本の読み方をレクチャーしたりしない。著者は季節に例えれば、秋・冬の読書として「読書は楽しければいい」と断言する。こういった語り方が気持ちいい。
私も若いころ司馬遼太郎や山本周五郎や藤沢周平を読んで、とっても面白いから、これは年を取ってから読もうと思った。今読むのはもったいないと。親父やおふくろがすきだった推理小説(松本清張など)なんか読むのは時間の無駄だと思った。
65になった今、一番好きなのはマイクル・コナリーであり、川瀬七緒と若竹七海の新作を待ち望んでいたりする。堕落したなと少し思っていたが、本書を読んで改めて面白ければいいんだと納得した。(R・D・ウィングフィールドの「フロスト」シリーズを「お勧め」にして頂いてるのはとっても嬉しかったです。)
だけど、まだ著者より少し若くかつ現役である分、そうとばかりはいっておれない。ちくま新書の世界哲学史は7まで買った。いつか読むつもりで。楠木健の経営論も読むつもりで持っている。井上達夫の「憲法の涙」が面白かったので、「立憲主義という企て」も買った(これは読まないかも?)。年取った分だけ昔と違ってちょっと金銭的の余裕が出来て本が買えるようになったのと、電子化したことで場所を取らなくなったんで、やたら本を買ってしまう。嫁は読みもせんのにというが、「本は積読だけでエキスがしみだして身につくんだ」とゆうてる。(iPadから沁みだしたりせんやろ)
世の中には恐ろしいほどの読書家がいるのであり、私の読書など質・量ともにそういう人に比べれたらはるかに及ばないのはよくわかっており、けっして自分を変な意味で「本を読む人」と誇ってはいけないことは分かっていたつもりだが、本書を読んで改めて自覚させていただきました。
さいごに勢古浩爾にお伝えできるなら、読後の感想『ああ、おもしろかったよ』とお伝えしたい。

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紙の本

紙の本流人道中記 下

2020/06/10 17:38

手堅くまとまった「旅もの」 ★4つ(読むべし)です

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

若い江戸町奉行所与力見習いが訳ありの流人を江戸から津軽の三厩まで約1か月かけて護送する旅物語。旅の途中の宿場宿場で起こるイベントを通して、若者が成長していく姿を描くゆうなら『旅もの』。切腹を拒否して流罪となった変な流人はもと大身の旗本。この流人にまつわる不思議さも旅の途中で徐々に明かされていく。まじめで堅物の若者のこの流人に対する見方が、最初の破廉恥罪のうえ切腹を拒否する卑怯者との見方から、旅の途中に起こる様々なイベントを投資て徐々に変わっていく。よくあるパターンといえば、よくあるパターン。映画『幸福の黄色いハンカチ』の武田鉄矢と高倉健ですな。(ちょっと違うか)
若者が成長する物語は読んでいて楽しいし、変な流人の正体を明かす縦軸と宿場ごとの幾つかのイベントの横軸で飽きさせない作者の手腕はさすが手馴れており、飽きさせない。読むに従い、話に入っていけるし、最後の別れの場面は泣かせる。浅田次郎さんさすが。
でも、ちょっと、宿場のイベントでも納得できない話もあるし、なにより、縦軸の流人の破廉恥罪の謎が良く考えれば、納得できない。途中で出会った流人の知り合いが「よくぞ生きてくだされました」と言うが、この流人が切腹を拒否してまで生きることにこだわった理由がいまいち弱いように私は思いました。「法」と「礼」に関係するのかもしれないし、若者が成長するかぎはここだとおもうのですがねぇ?
それでも、最後まで一気に読ませ、ちょっと泣かせる著書はさすがです。★4つにしました。

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電子書籍

電子書籍賞金稼ぎスリーサム!

2020/08/20 15:40

なんでこういう設定をしたがるのだろう?

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最近出たこのシリーズの第2作『二重拘束のアリア』が面白かったので、続けて読みました。
こちらも読ませます。
主人公の家庭の母親の病気は要らない設定だと思うんだけど、なんで、こういう設定をしたがるのだろう?

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電子書籍

面白いです

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この人の『法医昆虫学捜査官シリーズ』が好きなんで、読みました。面白いです。事件解決の中心人物の3人がワザとらしくてというか、不自然な設定なんで、途中でやめようかなと感じましたが、読み進むうちに気にならなくなります。
法医昆虫学者もまあレアなというか現実味に乏しい設定ですが。
これが、シリーズの2作目と走りませんでした。第1作も買ってしまいました。

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電子書籍

電子書籍汚名(下)

2020/08/18 13:41

おなじみのハリー・ボッシュです

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おなじみのマイクル・コナリーです。ハリー・ボッシュシリーズの23(?)作目。ここんとこ、数作はちょっとレベルダウン感がありましたが、本作は久しぶりに快調です。
悪に対決する姿勢は強烈に強いけれど、人間関係には欠陥がある(としか思えねぇ)ボッシュの面目躍如です。この個性で今回もトラブルを抱え窮地に追い込まれかねない状況の中で、殺人事件の解決を進めます。映画化を意識するようなアクションも入ります。腹違いの弟ミッキー・ハラー弁護士も登場します。
今年は『このミス』に選ばれるかな?

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紙の本

紙の本桜ほうさら 下

2020/07/24 11:46

いやぁ おもしろいですねぇ

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いやぁ、宮部みゆきさんおもしろいですねぇ。一気読みしてしましました。じょうずですねぇ。感心します。
どこがいいんでしょうねぇ?
ストーリーはすこし無理があるようなところもある感じがするんです。それでも、大きな違和感なく物語に引き込ませます。「語り」がいいのかな? テンポかな?
主人公の造形もいいですね。「ほうさら」という語感にピッタリの主人公ですね。
「大感動涙止まらず」という読後感ではないですが、ほのぼのとした読後感に浸らせていただきました。
一食抜いても読む価値はあると思います。★★★★

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電子書籍

電子書籍地検のS

2020/07/08 10:42

思わぬもうけものでした

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神戸を思わせる架空の町「湊川」地検を舞台とした短編5編。それぞれの短編の主人公は司法担当新聞記者、検察事務官、女性弁護士、女性検事、地検総務課員と異なるが、真の主人公は湊川地検の「シロヌシ(白い主)」と呼ばれる、「爬虫類を彷彿させる目」と「抑揚のない声」を持つ湊川地検総務課長。5つの短編を通じこの「シロヌシ=S」の真実の姿が明かされていく。
地検が舞台なのでそれぞれの話で事件が絡むが、主となるのは謎解きではなく、人間模様。ナカナカ読ませます。
「正しくないとされる行動が、実は人間として正し」かったらどうするのかをそれぞれの主人公は問われ、それについて葛藤する姿が描かれています。
女性検事が主人公となる「血」が私には一番グッときました。
思わぬめっけものでした。この作者伊兼源太郎は本作の次に「巨悪」という作品を書いていますが、意外なことに私以前に購入していたのです。ずっと長く「積読」状態でした。本作を読んでから、著者のほかの作品も読んでみようかなと思って調べて気づきました。そもそも、なんで本作を購入したのかがブクログ非公開読書メモにも記載がなくわからないのです。
★4つ(一食抜いても読むべし)です。

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電子書籍

電子書籍孔子暗黒伝

2020/05/29 09:44

子、怪力乱神を語らず

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諸星大二郎好きです。こう見えても私は「怪力乱心を語らず」、鉄腕アトムで育った「科学の子」を自任しております。ただし、マンガは大好きですが手塚治虫さんは好みません。貸本漫画、駄菓子屋文化一掃の先兵のような気がするのよね、手塚先生は。絵も変に綺麗過ぎるし。で、閑話休題して、超能力や怪奇現象の類は信じませんが、水木しげる先生は大好きです。で、諸星大二郎も大好きです。
hontoの電子書籍でこれ売ってましたので、買って読みました。もちろん紙ベースの本作はかなり以前に購入して何度か読んでいます。何度呼んでも何回じゃなくて難解ですなぁ。しかし、何か惹かれるのはなんだろう。これが、少年ジャンプに連載されていたとは信じられません。子供向き漫画雑誌にこれを連載させた編集者には敬意を表するというより、「あんたなんか勘違いしてるんじゃない」と申し上げたい。

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電子書籍

電子書籍MAO 4

2020/05/29 09:40

高橋留美子は天才か?7

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高橋留美子さんは天才だと思います。
でも、わたしは「らんま」や「うる星やつら」の高橋留美子のほうが好きだな。「犬夜叉」はおもしろかったけど、本作も「犬夜叉」系の長編になるんだろうな。まだ、いまいち盛り上がりに欠ける気がするなぁ
つづき、楽しみにしてます。

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紙の本

誠に、歴史は奥深い

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

百田尚樹の日本国紀なんかどうせネトウヨの戯言を集めた本だと思い読む気もしなかったけど、本書は「学び直しの契機に適している」と書評にありましたので、読んでみましたところ、大変面白く、参考になりました。
なんと私の日本史の知識は百田尚樹と同じく60年代の学校教育でできており、そこから今の教科書に書かれている常識とは大きな変化があることを知らされました。
歴史書は好きで、読んでいるつもりでしたが、一度体系的に勉強し直す必要があると痛感させられました。
また、私の知識は、Wikipediaが信頼できるものだとは思っていないけど結構Wikipediaに頼っているとこもあり、これも考え直す必要があると思い知らされました。
まことに、学問は奥深く、かつ、地道な作業の積み重ねの上に成り立っているのではあります。
百田さん反省しなさい。私も反省します。

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紙の本

誠に歴史は奥深い

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

百田尚樹の日本国紀なんかどうせネトウヨの戯言を集めた本だと思い読む気もしなかったけど、本書は「学び直しの契機に適している」と書評にありましたので、読んでみましたところ、大変面白く、参考になりました。
なんと私の日本史の知識は百田尚樹と同じく60年代の学校教育でできており、そこから今の教科書に書かれている常識とは大きな変化があることを知らされました。
歴史書は好きで、読んでいるつもりでしたが、一度体系的に勉強し直す必要があると痛感させられました。
また、私の知識は、Wikipediaが信頼できるものだとは思っていないけど結構Wikipediaに頼っているとこもあり、これも考え直す必要があると思い知らされました。
まことに、学問は奥深く、かつ、地道な作業の積み重ねの上に成り立っているのではあります。
百田さん反省しなさい。私も反省します。

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電子書籍

電子書籍静かなる太陽

2020/05/18 21:04

「目利きが選ぶ3冊」★五つ ですが

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私は本を選ぶときに新聞等の書評を参考にしています。特に、土曜日の朝日新聞の書評を楽しみにしています。購読紙は日本経済新聞なので、日経新聞の書評欄も参考にさせて頂いております。日経では木曜日の夕刊に目利きが選ぶ3冊というコーナーがあって3人の選者が3冊ずつ本を紹介されております。この本はこのコーナーに2020年5月7日に紹介されており、選者は文芸評論家の縄田一男さんです。縄田先生の評価によると本作は星五つ=傑作であり、「作品をこれ以上はない、という傑作に仕上げた。見事。」と評されております。
どうも私は以前から縄田先生はちょっと評価が甘いんじゃないかと思っとりまして、同じ日にSF&ファンタジー評論家の小谷真理さんが貴志祐介の「罪人の選択」を取り上げて星4つと評価されているんで両方買って読み比べようと思ったわけです。それでまず、本作を読みました。
読みだしてまず思いました。これって、「北京の55日」やんか! 「時は一千九百年 55日の北京城」 って 年が知れるね。あわてて、書評を見直したら「扱われているのは映画「北京の55日」でも知られる義和団の乱である。」って縄田先生もちゃんと書いたはりました。ついでに調べたら、主人公の柴五郎は実在の人物でした。ネットって便利ね。っていうか、知らない私がおバカか。
会津藩出身の柴五郎は薩長=明治新政府に国を亡ばされ、辛酸をなめた経験を忘れることが出来ず、しかしながら、その薩長が跋扈する日本帝国陸軍で日本政府のために働くといくう葛藤を経ながら、孤立した北京城で約60日もの間他国軍と協力して篭城戦を戦い、柴は実質的な司令官として活躍。ロンドンタイムスの記者から「籠城中の外国人の中で、日本人ほど男らしく奮闘し、その任務を全うした国民はいない。日本兵の輝かしい武勇と戦術が、北京籠城を持ちこたえさせたのだ」と社説でたたえられ(日本人えらい!)、柴はイギリスのビクトリア女王をはじめ各国政府から勲章を授与されたとwikiに書いてあるぞ。
縄田先生は、「作者の筆致は柴五郎を過剰なヒーローとして描くことなく、一個の悩める人間として活写。」と評しているが、確かに、淡々と物語は進んでいくのだが、一個の悩める人間として「活写」されているとは思えないぞ。柴は薩摩の西郷隆盛や大久保利通の死に対し「一片の同情もわかず、両雄非業の最期を遂げたるを当然の帰結なり」と言って喜んだらしいし、太平洋戦争で日本の敗戦が決まった時に自決を図った(なんとこの時85歳)ような激しさを秘めた人間だったようだけど、この本の柴からは内面のそんな激情はうかがえないぞ。「あんたの読み方が足りないだけや」と突っ込まれそうやけど。
映画「北京の55日」が上映された映画館(日本の)では、日本軍が出てきたときには拍手が起こったそうでが、そんな感動もない。(因みにこの映画で柴五郎を演じたのは若き日の伊丹十三さんですぞ。)淡々と描かれる筆致には感心するけど、極めて困難な状況に追いやれれた複雑な出自を持つ人間の葛藤や、日本人(会津人)としての苦悩も描き切ってはいないと私は思ってしまったのです。私の評価は星三つです。まあ、柴五郎という世界に評価された日本人を教えてくれたという点を考慮して星三つ半です。では、この後、貴志祐介さんを読みます。

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