古本虫がさまようさんのレビュー一覧
投稿者:古本虫がさまよう
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原爆 私たちは何も知らなかった
2019/05/21 06:58
「原爆」のみならず「真珠湾」にしても、「私たち日本人は何も知らなかった」といえそうだ。有馬さんの本を読み、そう感得するのがベターであろう
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有馬哲夫氏の『原爆 私たちは何も知らなかった』 (新潮新書)を読んだ。
(こんな内容)→私たち日本人は、「アメリカが原爆を作り、日本を降伏に追い込むためやむを得ず使った」と聞かされてきた。しかし、これは完全な虚構である。原爆は、アメリカ、イギリス、カナダの共同開発だ。しかも使う必要がなかったにもかかわらず、戦後の国際政治を牛耳ろうとする大統領らの野望のために使われた。その後の核拡散も彼らの無知と愚行が原因なのだ―公文書研究の第一人者が膨大な資料をもとに示す、驚愕の真実。
原爆に関しては、ヒトラーが先に開発したら大変だということで、アメリカ側が開発。場合によってはナチスドイツに使うことも視野に置いていたけど、ドイツは原爆開発完成前に降伏したので使いたくとも使えない。日本はポツダム宣言も黙殺して抵抗を続けている。ならば仕方ない…。ペリリュー島、硫黄島、沖縄のように上陸戦となれば、アメリカ側に多大な死傷者が出る。日本側にも出るだろう…。原爆投下で日本側の戦意を喪失させ、降伏を早めることになれば、より多くの被害者をお互い出さずにすむ。だから、アメリカはやむをえず原爆を落とした……。その結果、日本は降伏した、不幸中の幸いであった---といった解釈が「定説」だったかと。
ヒトラードイツは完成前に降伏したのだから、使いたくても使えない、日本人に対して使ったのは民族差別ではなく、降伏しない日本がいけない…と。
そういった「定説」に対する的確な反論の書として読むことが可能な一冊。
ともあれ、それと同時に、原爆を投下したくてたまらないトルーマン大統領以下の多くの米政権関係者たちは、日本が降伏寸前で、降伏しようといろいろと情報発信していたのを無視して、天皇制度の保障もしないような強硬姿勢を貫き、日本がギブアップしないように奸計・手練手管を使った…。
ポツダム宣言からも天皇制度保障の条文をカットして提案し、期待通り「黙殺」されて、さぁ、ならば投下してやろう、自業自得だからな、真珠湾の仕返しだ----といったところが、太平洋戦争の「始まり」と「終わり」の真相といったところのようだ…ということを近年痛感するようになってきた。ロバート・スティネットの『真珠湾の真実』 (文藝春秋)を読んだのは、もう10年以上昔だけど‥。
「情報戦略」の上で、完敗だったといえようか。そもそも、停戦交渉をソ連を相手にやろうだなんて、マヌケにもほどがある……。
「原爆」のみならず「真珠湾」にしても、「私たち日本人は何も知らなかった」といえそうだ。有馬さんの本を読み、そう感得するのがベターであろう。
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