うしさんのレビュー一覧
投稿者:うし
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ダダ・シュルレアリスムの時代
2019/08/12 21:53
ツァラの営為の一端がわかるが……
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大変勉強になったが、フーゴ・バルの扱いについて若干の疑問があった。
塚原先生は、Ballの音響詩を「全く無意味な音の連続」と形容し、「「意味」を読み取ろうとするひとはいないだろう」と予測するが、これは誤りではないのか。 バルの『時代からの逃走』の邦訳解説に、例えばKarawaneにおいて、jolifantoはelefantを連想させるなど、「連想作用の諸契機に誘われて、主題のイメージが呼び覚まされる(S.251)」とあるように、「全く無意味」ではなく、イメージを喚起する効果がある。
更に、氏が主題とする「言語破壊」という面でも、バルが一見して「全く無意味」な言葉を用いたのか、もう少し考察した方が良かったのではないか。以下、『時代からの逃走』からバルの言葉を紹介する。
「大切なのは、観念連合です。そしてそれがあらかじめ少しばかり中断されることです。私は、他人が考え出した言葉を使いたくありません。言葉はみんな他人が作り出したものです。私は、言葉の不法行為をやりたいのです。」S.241
「一つの詩は、できるだけ言葉なしで、言語を用いずに、やり遂げるべき好機なのです。
私は、言葉が言葉であり始める、そういう場所で、言葉を持ちたいのです。」S.242
『ダダ・シュルレアリスムの時代』だからか、シュルレアリスムからやや離れている、非フランス系のダダイストの記述が浅くなるのは、仕方ないのかもしれないが、素人目に見て余りにも不当に思えた。
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