ウリ坊のシマシマさんのレビュー一覧
投稿者:ウリ坊のシマシマ
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獣医師の森への訪問者たち
2019/09/22 17:35
動物にも人にも深く関わった著者のエッセイ
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集英社の「青春と読書」2016年10月号~2018年5月号に連載されたものに加筆訂正をほどこしたそうである。1960年代、北海道斜里郡小清水町の家畜診療所の獣医師となった著者が体験したことが書かれたエッセイ。
エッセイの舞台となるのは、オホーツク海近くに“倉庫”と名付けて著者が借りた家々。そこには多くの人々が訪れる。地元の農家・酪農家・漁師はもちろんのこと、北海道大学をはじめとする大学の教師や学生や院生、さらには編集者などなど。その人物像を様々な観点から描写し、人となりを浮き彫りにしている。酒を飲む話が多いのだが、人と人との触れ合いと交流から、環境保全、自然体験学校、映画、写真集などが生み出されていく。少なくない借金をしたりもしているが、どうにかなっていたようだ。野生動物の観察と撮影、負傷した野生動物の治療やリハビリと野生への復帰などについても触れられている。時に、今の常識ではあれっと思うこともあるものの、動物への愛情の深さを感じることばかりだ。
驚いたのは映画『キタキツネ物語』との関わり。映画撮影の裏側にも触れられていて楽しかった。農業や漁業に従事しながら自然環境保護や様々な文化活動をしている人々の姿も素晴らしい。
巻頭には、著者による北海道の動物たちの写真がカラーが8ページあるし、カバーの写真もファンタジック。148ページと306ページに引用された“生きること”と“借り”に関する永六輔氏の言葉が著者の生き方とリンクしているようだ。
書店と民主主義 言論のアリーナのために
2019/09/21 10:23
「信念」と「矜持」と「勇気」をもって、本と格闘する書店員
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全体としては、著者の「民主主義」や「中立」に対する考え方、さらには副題にもある「言論のアリーナのために」という考え方に賛成である。特に書店の「中立」に関しては、出版社に、一定の傾向があるように、書店にそういうものがあっても不思議ではないと私も思う。
出版の現状についても、いくつか細かい異論があるものの、著者が感じている出版業界全体の将来に対する不安にも、頷かされる。出版社も一営利企業である以上、利潤を追求するのは当然だが、著者が指摘するように、類似本や収益第一主義の本などばかり出していれば、長期的に見て、読者にそっぽを向かれるのは当然だろう。
ただ、著者が本書のような発言を繰り返している背景にあるのは、出版社以上にリアル書店が危機に瀕しているからなのだろう。そして、それは「民主主義」の危機とも繋がっている。現時点で多様な視点からの情報を発しているのは、出版(書籍)と言える。それを支える場としての書店で、奮闘する著者にエールを送りたい。
子ぶたのトリュフ
2019/09/21 10:20
子ブタはかわいい
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トリュフと名付けられた子ぶたが命をとりとめ、ジャスミンの家で飼われることになるまでがやはり面白い。後半の見どころは、そのトリュフが、ジャスミンが預かったものの行方不明になってしまったモルモットを、得意の嗅覚を生かして探し出すところ。
挿絵の子ぶたが可愛いことと、ジャスミンの動物への愛が素晴らしい。
綾峰音楽堂殺人事件
2019/09/22 17:29
メッセージには非常に共感できるのだが…
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帯にも「ミステリ」の文字があるけど、ミステリ的な感興は感じられない。
第一章で殺人事件が起き、第二章は、その殺人事件が起きるまで。第三章と終章が解決編にあたる。分量は、第二章が全体の約3分の2、第三章と終章を併せると、第一章と同じぐらいになる。
分量からも推測できるように、読みどころは第二章なのだが、ここでは事件が起きる前の話が書かれている。第一章を読んでから読むと、推測できることも多いし、人によっては犯人さえ思い浮かぶだろう。
ただ、ここに書かれていることで、もっとも強いメッセージを感じるのは、「文化」としての「音楽」が持つ意味についてだ。また、現代芸術(美術)については否定的な言辞があるが、安易な「客寄せ」としての作品に対するものだろうと推測できる。
ただ、メッセージには非常に共感できるのだが、作品そのものにも、探偵にも、語り手にも、強く惹きつけられるものがないのが残念だ。
空と湖水 夭折の画家三橋節子
2019/09/22 17:27
三橋節子の執念みたいなものが感じられず物足らない
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がんで利き腕である右手を手術で切断した後、左手で創作を続けたものの、35歳で亡くなった三橋節子の生涯を描いた「フィクション」。私は未読だが、伝記としては梅原猛氏の『『湖の伝説』―画家・三橋節子の愛と死―』がある。
三橋節子のことを知らない私にとっては、その作風などを知ることができたのはよかったが、全体に盛り上がりに欠ける。三橋節子の絵に対する執着心の強さも伝わってこない。
手足を切断しながら舞台に立った澤村田之助を描いた『花闇』、やはり30代で、がんで亡くなった中城ふみ子を描いた『冬の花火』に比すと物足らないというのが正直な感想である。
マウンドファーザー 1 (ビッグコミックス)
2019/09/21 10:27
まあまあ面白かったけど、日本の野球マンガファンには難しすぎる
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個人的には面白いと思ったけど、日本の野球ファンやマンガファンには、この内容は無理。ビジネスとしての野球にしても、戦略的・戦術的な話にしても、そこまで詰めて野球を見ている人は少ない。MLBのことだって、今のことは知っていても、歴史なんか知らないし、理解もしてない。インターネット上で散見する日本の野球ファンが言っているコメント、書いていること、もっともらしいけど、ほとんど底が浅い。
時代が早すぎたとは言わない。この作品に描かれたような形を理解できる野球ファンが多数派を占める可能性は、永久にないと思う。
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