とらこさんのレビュー一覧
投稿者:とらこ
ぼく、お月さまとはなしたよ
2020/12/23 14:47
静かに流れゆく愛
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クマくんがお月さまに話しかけるお話しです。
返ってきたのは「やまびこ」。だけど、そのやり取りが
何とも言えず絶妙にかみ合うのです。
これを単なる勘違いと呼べば、それまでですが
クマくんの純粋さが、物語を可笑しさではなく
静かなやり取りへと導きます。
最後の言葉は最高に美しいです。
プレゼントをなくしたというお月さまに
「いいんですよ、そんなこと。だってあなたが好きだから」
とお互いに語り合い、「お誕生日おめでとう」というのです。
「お誕生日おめでとう」が最後のセリフとなったことによって
直前の「あなたが好きだ」という愛情深い表現が、おめでとうという気持ちに
流れ込み、世界で一番豊かなお祝いの言葉になります。
絵のタッチ、夜の静けさ、最後のセリフ
どれもが静かに流れゆく美しさがある素敵な絵本です。
どちらかというと、大人向けかな。
すてきな三にんぐみ 改訂版
2020/12/11 11:53
すてきなことは忘れさられない
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はじめて読んだときは、こどもの居場所(児童養護施設的な?)をつくった話か~という
単純な感想でした。
でも、繰り返しよんでいくと、そんな結論ではないことに気づかされます。
金銀財宝を集めることが人生だった3人組。
そのお金は全部使い果たしてしまった(?)けれど
3人がなくなったあとも、すてきな3にんぐみがいたことを
いつまでもいつまでも覚えていてくれる人たちがいること。
それこそが、たからものなんだと気づくのです。
すてきなのは私がいなくなった後も
私のことを覚えていてくれる誰かがいてくれる人生を送れたこと。
私にもそんな人生があるといいなと思わせてくれる貴重な1冊です。
のせてのせて
2019/12/25 13:07
読んで楽しい
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保育園で借りて、好きになってしまい、買ってしまいました。
クルマ好きの息子にぴったり。特に、まこちゃんの車ですよ。のところを、息子の名前に言いかえて読んであげると、じっと聞いています。単に走るだけでなく、ストップ!で止まって、またビューンと行く、速さの強弱もいいです。そして、トンネル。真っ暗な絵1つで、トンネルの中のワクワク感、トンネルを抜けるまでの待ち遠しさ、トンネルを出たときの爽快感を感じることができます。
オニガシマラソン
2021/12/27 10:42
何度でも読める
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作者がトロルということで、あの「おしり探偵」さんが有名ですね。
息子が気に入って、何度も何度も借りてくるので
思い切って買ってあげました。
手元にもってからも、毎日のように読んでいるお気に入りの本です。
タイトルの通り、鬼ヶ島でマラソンをするのですが
出場しているのは妖怪とか伝説の生き物とかオニスゴイ選手ばかりです。
知らない選手もたくさんいて、興味深いところです。
勝敗の行方も気になりますが、マラソン中に一人一人の選手がどんどん
変化していく様は、本当に何度読んでも飽きません。
たとえば、毒キノコ選手は途中でドラゴンに食べられるのですが
ドラゴンは腹痛で棄権、うんこになった毒キノコが走っていく、とか。
メデューサが次々と石にしていく中で、自分も石になってしまったり。
ゾンビがどんどん増えていったり・・・。兎に角、一人一人物語をもって
丁寧に書き込まれているので、読むたびに新しい発見で
ワクワクが止まりません。
隠されている(?)おにぎり探しも、最後の1つが見つからなくて
大人総出で探しました。本当におすすめの一冊です。
キャベツくん
2021/12/27 10:19
どこからか風が吹いてくる
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内容はないんです。長さんの本はだいたいそうです。
物語性とか道理とか教えとか、そういうのを求めてはいけません。
ぶたやまさんとキャベツ君のやり取りが延々と続いていくのですが
単調ではないのは、背景が少しずつ進んでいっているところ。
それにより物理的な移動と時間の経過を感じることができます。
それと同時に物語の随所に風を感じる記載があり
この黄色な世界と時間を共有し、そこから流れてくる風やにおいさえも
現実に感じるような物語です。
普通の絵本は、私たちの世界から切り離されていますが
この絵本は、内容はありえないファンタジーなのに
私たちの現実と今まさにつながっているような感覚を与えてくる
不思議な不思議な絵本です。
ぼくのくれよん
2021/12/27 10:11
びゅーびゅーと自由
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ぼくのくれよんは、ぞうさんのクレヨンなのですが
ぞうさんのクレヨンで描かれる絵は
美しいとか上手とか面白いとか感動するとか
そういう絵ではありません。
びゅーびゅー描かれた大きな絵は
動物たちに大いなる勘違いをさせます。
そして、ちょっぴり怒られるんだけど
だけど、だけど、ぞうさんはもっともっと
びゅーびゅー、書いていたいのです。
びゅーびゅーという言葉が伝えてくれる自由さ
そういう子どもみたいな自由、いつかどこかであったよね。
もうなくしちゃったけど、もう手に入らないけれど
だけど、わたしもびゅーびゅー書きたくなるのです。
うちの子も、誰かの顔とか車とか動物とかじゃなくて
ただただクレヨンをもって「びゅーびゅー」って言いながら自由な絵を
日々書いています。あーうらやましい。
バムとケロのそらのたび
2021/12/27 10:02
バムケロマジック
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たまたま出会ったこの1冊ですが、息子はケラケラと大笑い。
1日3回、読んでくれの猛プッシュ中です。
玉ねぎで涙を流し、リンゴの虫食いにやられ
でも、息子のお気に入りは50年に1度しか噴火しないはずの
かぼちゃ火山が、今年ちょうど50年目で
どっかーん、と噴火してしまうところ。
おじいちゃんのアドバイスは全然意味がなかった
大冒険ですが、ワクワクとケラケラは止まりません。
でも、最後につかれて眠ったバムの鼻先を
そっとなでるおじいちゃんの手が何とも言えず
優しい気持ちにさせる一冊です。
ハリネズミのくるりん
2021/12/27 09:45
おかあさんはいつもみまもっています
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ことりの絵がかわいくて、同じ作者さんを探してたどり着いた絵本です。
恥ずかしがり屋なクルリンが一生懸命ごあいさつをしようと頑張る姿は
とてもかわいくて、恥ずかしくて挨拶できない息子と重ねて読んでいます。
何度も読んでいるうちに、子どもが木の陰に少しだけみえている
ハリネズミを発見して「これ、なあに?」と教えてくれました。
あっ!!おかあさんだ!!
森のみんなと挨拶できるか心配で、見守っていたんだね~
わかる~その気持ち!!
おかあさんが可愛すぎて、もだえます。
よるのようちえん
2021/12/20 10:34
ふっと素敵な夜の世界観
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よるのようちえんに現れる不思議な小人?妖精?さんの物語。
物語といっても、何かをするわけではないのです。
どういう存在かも分かりません。
ただそこに、たたずんでいるだけ。
幼稚園のあちこちに、そっとそっといる。
その言葉の響きと世界観がたまらなくいいのです。
何も起きない物語。でも、なんだか読み終わると穏やかな気持ちになります。
よるくま 2版
2021/12/15 13:40
現実との境目
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このよるくまシリーズは、起承転結の【転】の部分が楽しい作品で
そっとそっとよるくまとの世界にいざないながら
ある瞬間ふわっとファンタジックな夜の世界に変わっていきます。
キラキラと星の美しい世界
とにかくセリフがかわいい!のもよるくまシリーズの特徴です。
読んでいて、かわいい気持ちになれます。
現実とファンタジーの境目が分かりやすいように
ゴシック体と明朝体で文字がかき分けられているのも
丁寧で、何度読んでもあきない一冊です。
ジャッキーのじてんしゃりょこう
2021/03/02 10:19
絵がなくても心の中で美しい風景が見える
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一人ひとりのクマが個性豊かに描かれていて
思わず見入ってしまいます。
だけど、そんな本にも色だけのページがあります。
青のページと赤のページ
それは、うみとゆうやけ
たった1色の世界なのに、
くまたちと一緒に心の中に美しい風景が見えてくるから
不思議です。
想像をかきたててくれる素敵な絵本です。
オニのサラリーマン
2021/01/16 15:24
地獄行き決定!
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節分に向けて購入してみましたが、不思議な本です。
なんてことない物語。
なのに、ちょっとクスッと笑えるような鬼の
日常性が大阪弁と相まって
読み終わった時にカタルシスを感じる本です。
大阪人ではないけれど
ちょっと大阪弁に違和感を感じる部分もありますが。
(「かってきて」ではなく「こうてきて」にしてほしかったりする)
でも、「らくちんでえぇなあ」とか読んでいてかわいい大阪弁です。
もうすぐ3歳の息子も、今までこわかっただけの鬼に興味津々。
地獄の様子とかめちゃ食い入るように引き込まれてみています。
「悪いことしたら、かまゆで地獄だよ。悪いことしたことある?」と聞くと
「・・・うん」と一言。
なんと、人生の前半ですでに地獄行き決定の息子なのでした(笑)
スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし
2021/01/13 10:28
絵画のようなうつくしさ
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教科書で読んだことのあるスイミー
初めて絵本で読んでみると・・・
なんていう美しさ!!
今はやりの(?)ハンコ消しゴムのように
同じ模様がいくつも並んでいるんだけど
単調にならず、それでいて色彩がほんとに美しい。
孤独な海、暗い海、美しい海・・・
色んな海をこんな風に表現できる才能は圧巻です。
これはもう絵本なんてくくりではおさまりきらない芸術品です。
てぶくろ ウクライナ民話
2020/12/11 11:55
ぜったいにはいれない
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この物語はおじいさんが手袋を落としたところから始まります。
手袋が物語のスイッチの役割をしています。
そして、次々と動物たちがこの手袋の中に住もうとやってくるのです。
おおかみとかイノシシとか、ちょっと仲良くできそうにない人達も
一緒に暮らし始めます。
っていうか、そもそもそのサイズで入るのは無理じゃないですか?って思うのですが、
グイグイはいってきます。
信じられない。
そこがいいのです。
信じられないことが起っているのに、おじいさんが手袋を拾い上げると
もう誰もいないのです。
始まりが現実なのに、途中からだんだんと信じられないファンタジーになり
そして、手袋を拾い上げた瞬間にすべてが現実に戻る感覚がたまらなく好きで
何度でも読みたくなります。
しろいうさぎとくろいうさぎ
2020/12/07 11:00
つづいていく日常
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この絵本のすばらしさは、二匹のウサギが結婚して「めでたしめでたし」
と終わらないところにあります。
一般的な絵本は結婚して幸せになることがゴールのように描かれますが
この絵本は、二匹のウサギがうまとびしたり、どんぐり探しをしたり
そんなたわいもない日々の遊びが描かれた後
一緒にいたいという気持ちを確認しあい
そしてまた、たわいもない遊びを二匹でするのです。
そういう描写があるからこそ結婚というゴール(?)の向こうに続いていく
日常にこそ幸せがあると余韻に浸ることのできる深い深い一冊です。
私のお気に入り絵本ベスト3に入ります。
