spica.hrさんのレビュー一覧
投稿者:spica.hr
| 2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
3月のライオン 15 March comes in like a lion (YOUNG ANIMAL COMICS)
2020/01/04 02:01
戦いは終わらない
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
年末になると、「3月のライオン」を読み返したくなる。特に、2巻のchapter.24話。年内最後の対局で、人の理不尽さを目の当たりすると同時に、自分の内に潜む弱さや生きる事への執着を叫ぶあのシーンが記憶に残っている。それから、沢山の人々とのやり取りを通じて、零君はゆっくりと成長して行く。支えてくれる存在や共に闘うライバルの存在を通して、零君は自分が独りではない事を知る。けれど、人の温かさを知った後に待ち受けるのは、どうしようもない怖さだ。文中にある『でも、これを食べてしまったら泥水でも雑草でも必死でかき集めてた頃には戻れなくて』と言う台詞はまさに彼の中の葛藤を体現している。私は、自分に対してどこか他人事で投げ遣りだった彼が、15巻にして、それでも人との触れ合いを手放したくないと心から思った事に、ゆっくりと、でも、確実に成長しているのだと嬉しくなった。彼だけではなく、みんなそうなのではないかと思う。一気にぐいっと成長する事なんて殆どなくて、みんな進んでいるのか下がっているのかすら分からない日々をそれでも懸命に生きて行くしかないのだと思う。そして、零君が放った迷いを受けてからの、『そのおにぎりは絶対に手放すな』は名言だ。先生の言葉は、何かの折に思い出す事が多く、今回の台詞もいつか思い出すのだろうな。随所に、「もしかして最終巻!?」と思われる程の哀愁感が漂っていたので読みながら不安になったが、16巻も出ると言うのでまた待ちたいと思う。新キャラ野火止君もなかなか良い味を出しているので、今後が楽しみだ。
騙し絵の牙
2020/01/29 23:13
自分は何のために編集者になったのか
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
大泉洋をあてがきに使用したと言う事で単行本が出た当初から気になっていたものの、なかなか読む機会がなく文庫化されやっと読了。いつも小説を読む時には、人物を知り合いや芸能人にあてはめて読む事が多いのですんなりと速水さん=大泉洋イメージで読み進められました。内容は、出版業界での派閥争いに翻弄されると言うストーリーだったので、社会人の私はとても共感しながら読み進められました。中でも、「会社は人と言うピースでできていることを忘れてはならない」と言う言葉はまさに!と思い、電車の中で読んでたにも関わらず頷いてしまいました。出版業界が厳しいことは私が学生の頃から叫ばれていましたし、電子化の波も仕方ない事なのだと思います。特に、小説はどんどん淘汰されていて、私の周りでも小説を読んでいると「偉いね」と謎の尊敬を集めます。けれど、小説もかつては今の漫画やゲーム等と同じように一番の娯楽でした。その時代に戻る事はもうないのかも知れない。それでも、どうか価値のある作品を世の中に届ける為に作家さんや編集者の方々には頑張って欲しい。やっぱり活字でしか、この紙媒体でしか味わえない感動は必ずあるから。そして、これは読者側への警鐘も多分にある作品だなと。どれだけ作家がいいものを出しても受け取る読者の感覚が貧相なら価値がなくなってしまうことを肝に銘じていきたいと思いました。ラスト、タイトルの意味が分かった時に、速水さんの作品に傾ける情熱だけは嘘ではなくて良かったなと思いました。私にはとても真似できませんが、あんな辞め方したら最高だな〜。
| 2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
