市民市さんのレビュー一覧
投稿者:市民市
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東西冷戦史 1 二つに分断された世界
2020/01/25 23:59
初学者のテキストに
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時事問題関連の著作の話題性の故か、そちらが山崎氏の本業と思われている方も多そうですが、今刊は戦史・紛争史研究者たる山崎氏の本領発揮といったところでしょうか。
ベルリン封鎖や朝鮮戦争、インドシナ〜ベトナム戦争の流れなどは、それぞれ個別のキーワード群は目にしていても、それらがどう連関して事態が推移していったのかを捉えきれている人は少数でしょう。
近現代史に多いそうした「名前しか知らない」実質未知部にサクッと触れられるので、期待よりも読後の満足感が上回るように感じます。
敗戦後の日本は冷戦構造下「外国≒アメリカ」のシンプルな(画一的な)世界認識価値観に基づき、わき目も振らず(何も考えず)自動車など工業生産を主とした経済活動に専念し、朝鮮戦争特需や世界的な成長傾向に助けられ、それなりの復興を遂げました。
そのベース、時代背景である冷戦構造というものがどのような経緯で形成されたものなのかを知らず、通り一遍の「資本主義と共産主義の対立」という耳なれたフレーズに括るだけでは理解不能なところが多く、そうした態度では今後の正しい状況判断の妨げともなりかねないとの認識を新たにしました。
映画や書籍などでベトナム戦争にはある若干の予備知識や断片的なイメージを持っていましたが、例えば「テト攻勢」がどのような意味でアメリカにダメージを与え、なぜ北ベトナム側に全く予想し得なかった戦略的効果をもたらしたのかといったことなどは、正直知りませんてした。
全編にわたって簡潔にまとめてあり、とても分かりやすいです。
初学者のための入門テキストとして、非常によいと思います。
シリーズものらしいので続刊にも期待しています。
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