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昏倒遊民さんのレビュー一覧

投稿者:昏倒遊民

6 件中 1 件~ 6 件を表示

誰が「橋下徹」をつくったか 大阪都構想とメディアの迷走

2020/04/30 19:12

メディアの問題点を内側からあぶり出す、今こそ読まれるべき一冊

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

大阪府知事として政界に進出して以来、橋下徹の発言はたびたび物議を醸してきが、とりわけ「批判したければ選挙に出てから言え」という趣旨の発言を再三にわたって聞かされた時には、これは常軌を逸しているな、と思った。橋下の論理に従うなら、世の中の圧倒的大多数の人々は政治を批判できなくなってしまうではないか。要は選挙で選ばれた政治家サマ(つまり橋下)に素人ごときが逆らうことは許さん、とあからさまに言い放ったわけで、論外としかようがない。
本来であればメディアが橋下を徹底的に批判し、責任を問うのが筋のはずだ。だが、他の政治家が相手なら単なる漢字の読み間違いのようなしょうもないことまで取り上げて非難するメディアが、橋下に対してはやたらと弱腰で、ろくに追及することもなかった。結局、橋下はその後も放言・暴言の限りを尽くし、2015年の通称「大阪都構想」住民投票否決を受けて自ら「政界引退」するまで、権力の座に居座り続けた。元々メディアに多くを期待していたわけではないが、それにしたってもう少し批判精神を持つべきだろう、とさすがに暗澹たる気持ちになってしまった。

メディアが橋下という権力者に対する監視機能を放棄したのは一体なぜなのか。本書は橋下とメディアとのいびつな関係を明らかにし、様々な角度からメディア迷走の要因を考察する。著者の分析結果は多岐にわたる。迎合、忖度、屈服、事なかれ主義…。全編を通して非常に興味深く拝読したが、状況の深刻さが伝わる内容だけに、本書で挙げられているような根深い問題の数々が即座に解決できるとも思えず、読後いっそう憂鬱になってしまった。中でも特に考えさせられたのが、テレビ局の社員には自分の能力で競争を勝ち抜いてきたという勝ち組意識の強い者が多く、社会的弱者の切り捨て、自己責任論、新自由主義的思想といった橋下的な考えとの共振性が高い、と在阪局のディレクターが述べるくだりだ(p.232)。もしそれが真実なら、橋下が政界を去っても、テレビと第二の橋下的な人物が手を携えて、再び私たちの前に登場しかねない、ということになってしまうのだから。

さて、このレビューを書いている2020年4月現在、橋下の後継者である大阪府知事・吉村洋文が、新型コロナウイルス対応で大阪のみならず全国的に評価され始めている。在阪局を中心にテレビ出演を繰り返して主張を発信し続ける吉村の姿に、あたかも応援団と化しているメディアやコメンテーターすら見受けられる。だが国家的危機において「強いリーダーシップ」を求める民意が強権的な独裁者を生む恐れがあることは、歴史の教訓が示すとおりだ。本書が発売されて四年半近く経つが、メディアの内情を理解するために、また日々の報道に私たちが流されないようするために、今こそ読むべき一冊である。

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目からウロコが落ちる奇跡の経済教室 基礎知識編

2021/12/17 19:02

まさに目からウロコが落ちる。看板に偽りなし。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書のポイントとして、以下の2つを挙げることができる。

1つ目は、「失われた30年」とも言われる日本経済の長期停滞は、政府の間違った経済政策が引き起こしたものであることを、この上なく平易かつ明快に説明してくれること。症状に対して処方箋が間違っている(どころか、むしろ完全に逆効果である)のだから、当然ながら状況が改善されるわけがない。

2つ目は、失敗した経済政策の元となった過てる貨幣観にかえて、MMT(現代貨幣理論)こそが正しい貨幣理論であることを解き明かしてくれること。いまだに疑いの目をもって見られることの多いMMTだが、「こうあるべき」「こうあってほしい」といった願望ではなく、もちろんイデオロギーでもなく、現実の制度や至極当たり前の事実(誰かの債務は他の誰かの資産、など)に基づいて導かれたものである。未読の方には是非ともご自身で本書を読み、ご自身の頭で判断してほしい。

個人的に目からウロコが落ちた一例を挙げると、民間の資産でもって国債をファイナンスしているのではない、という点。積極財政擁護派から「政府の負債は確かに大きいが、同じくらい民間の資産もあるから(まだ)大丈夫」といった説明がなされることがあるが、MMTによるとそれもまた誤りということになる。私も誤解していたが、本書によって正しく理解することができた。経済に対する見方、考え方が変わる、知的快感を得られる傑作である。

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聞き書野中広務回顧録

2021/12/20 19:08

人物を通して政治を語る。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

地方議員からキャリアをスタートし、官房長官や自民党幹事長まで昇りつめた政治家の回顧録。あくまで本人の語りに基づくもので、事実誤認や隠蔽などもあるのだろうが、それを考慮してもとても面白い。

読みどころはやはり人物評だろう。思い入れの強い人、敬愛する人、嫌いな人、突き放して語られる人など様々だが、政治が結局は生身の人間同士の営みであることを再認識した。個人的には、同じ派閥ながら距離のあった橋本龍太郎の思いがけぬ悲しい生い立ちを聞かされ、それ以来橋龍に惚れるようになった、というエピソードが心に染みた。

一方で政策についてはあまり語られないし、造詣の深さを感じることもない。たとえば消費税5%への増税に際して、当初反対だった野中が賛成に回ったときのエピソードなど、「そんな理由で増税していいの? マクロ経済への影響は考慮しないの?」と少々呆気にとられてしまった。

もっとも、それも地方出身の情の政治家・野中広務の個性を一層浮き彫りにするエピソードのひとつなのかもしれない。
強面なイメージが強かったが、根は人間味とユーモアに溢れる人だったのだろう。

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進化しすぎた脳 中高生と語る〈大脳生理学〉の最前線

2020/07/18 21:31

脳科学に詳しくない人にも、教育について考えたい人にもおすすめ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者は東大教授で、テーマは脳科学。
というと門外漢の私などは構えてしまいそうになるところだが、中高生向けの講義を書籍化したものということもあり、非常に読みやすい。脳科学に全く予備知識を持たない私でも、最後まで面白く読むことができた。また、私のような文系人間にも知的好奇心をかき立ててくれるという意味で、脳科学のみならず自然科学全体への優れた入門書でもあると感じた。

さて、本書の素晴らしい点は、脳に関する知的に高度な内容を誰にでもわかりやすく解説してくれることにあるのはもちろんだが、ただそれだけではない。著者と生徒との間で繰り広げられる真摯な対話に、否応なしに引き込まれるのだ。ああ、自分もこういう授業を受けたかった、と思わせられる(もちろん、生徒たちが優秀だからこそ成り立つのであって、私には真似できないかもしれないが…)。まさに理想の教育の実践例といっても過言ではないだろう。理系文系関係なく、教育について考えたい人にも是非読んでいただきたい一冊である。

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政界再編 離合集散の30年から何を学ぶか

2021/12/31 22:48

読みやすい政界再編史

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1955年以降の政治再編について、経緯をコンパクトにまとめたもの。大半が平成の政治改革以降の記述となっている。

もはや余程の政治マニアでもなければ、この30年間の政党の離合集散を逐一覚えている人はいないだろう(個人的には、本書を読了しても覚えるのは無理)。本書は複雑怪奇な政界再編史を時系列で読みやすく整理してくれており、手元にあると便利な一冊である。

また本書は政界再編史であると同時に、ある種の平成政治史としても成立している。つまり平成はそれだけ政界再編に明け暮れていたということだろう。それが国民にとって良いことなのかどうかは別だけれども。

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「カッコいい」とは何か

2021/12/31 22:22

カッコつけるのをやめてみては?

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

まずは「何がカッコいいのかなんて、人それぞれの主観に過ぎないよ」で片付けられてしまいそうなテーマに、敢えて挑んだ著者に敬意を表したい。ボリュームも新書版とはいえ500ページ近くと、かなりの力作である。

だが文章の構成に難があり、非常に読みづらい。また言いたいことが多過ぎるのか、衒学趣味が強過ぎるのか、色々詰め込み過ぎて骨子が何なのかよくわからない。個別には興味深いことも書かれているが、評論としてしっかりまとまっているとは思えなかった。

むしろ興味深いのは、内容がシモがかる第9章で、卑猥な表現のある文献を「引用するのが憚られる」と断りつつしっかり引用するあたり(p.395)など、平野先生のムッツリ性が遺憾なく発揮されており、断然文章に力がある。これぞ著者の真骨頂なのではないだろうか。

あまりカッコつけずに素の自分をさらしてくれたほうが、読者としては面白く読めそうだし、著者としても新境地を開けるし、良いことづくめなのではないだろうか。余計なお世話だろうが。

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