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ねむの木さんのレビュー一覧

投稿者:ねむの木

125 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

最高のハッピーエンディング

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

紙本読了

とにかく大好きなお話です。
登場人物がそれぞれとても魅力的なので、他愛ない会話を読むのが楽しいです。
“食べて寝て”という日常を、とても上手に描く作家さんですね。

上巻から時間をかけて心の距離を近づけてきた八潮とトキ。
“相手に触れたい”と思う気持ちが恋なのだ、と自覚するまでを、段階を追ってきちんと描いており、そこから一気に開花する八潮の色気と、心の成長が見所です。

“不老不死”についての問題にも一定の答えが出て、ラストは最高のハッピーエンドを迎えます。
最後まで読んだら、ぜひ再読を。
一読では見つからなかった答えを発見できると思います。

ラヴシーンはページ数をしっかり使って描かれています。表情がなんとも色っぽいです。
アングルの工夫で修正はほとんど無し。


ここからネタバレあります。



トキの存在は『100万回生きたねこ』著 佐野洋子 を思い起こさせます。

「(死ぬのは)嫌だな」と思った瞬間に凍りついてしまったトキの時間は、八潮と出逢うことで再び動きだした感じですね。
“死ぬのは嫌だ”より“八潮と同じ時間を生きたい”という気持ちが勝って、それが止まっていた時間を動かしたのだと思います。

八潮とトキは『100万回生きたねこ』の縞ねこと白ねこのように、愛する者同士、寄り添って生き、八潮が死ぬ時にトキも命を終えるのであろう予感がします。

ミツとトキの決定的な違いに“元々は人間”と“獣”という点があります。
ミツの八潮に対する思いは、恋愛感情というより動物的な愛情(あるいは執着)、忠誠心、独占欲だと感じました。
きっとこれからも八潮の守護として、寄り添って生きるのだと思います。

みんなが各々ちゃんと幸せになれて、最高の読後感を味わわせてもらえます。

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紙の本

会話のキャッチボールが楽しい

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

紙本読了

ストーリはもちろん、年中行事や風習、縁起物などの知識が満載で民俗学としても歳時記としても面白い作品です。

メインの登場人物は3人
一人歩きすると、なぜか山限定で迷子になる高校生の八潮。
山で迷わないよう、八潮を護ってきた山犬(狼)ミツ。
突然ふらっと八潮の家にやって来た、不老長寿のモノノケ(見た目20代後半?の男)トキ。

本格的(?)なBLは下巻までおあずけなので、上巻では八潮の無垢で無自覚な天然タラシぶりと、それに翻弄されるモノノケ達の様子を楽しみましょう。
普段は無表情の八潮がたまにみせる笑顔や照れ顔が萌えます。何より言葉のチョイスや会話のキャッチボールが本当に楽しいです。

そして下巻まで読んだ後に、できれば、改めて上巻からゆっくり読み返して頂きたいです。
そうすれば“あの時の台詞は、この時の会話の事だったのね”とか、
“ここはそういう意味があったんだ”
といった伏線を発見できると思います。
何度も読み返すことでいっそう理解が深まるスルメ作品です。

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紙の本

おとぎ話と思いきや…

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

死にかけた主人公の前に天使が舞い降りてきて…

え、ファンタジーですか?
でもはらだ先生だしなぁ。

などと考えていたら中盤から様相がガラッと変化します。
これは“この天使はなんぞや”を探るミステリーですね。
そして最後にささやかだけど、生きる上でとても重要な救いが主人公に用意されています。

これBLの枠に入れることで、読者層を狭めているような気がしてモッタイナイです。
入れなくても読者を選ぶ作品ではあるけども。

電子特典は、書き下ろしのネームです(※私が読んだものは)
これ結構重要なのではないでしょうか。
ラフ画に手書きの文字で幸紀の言葉が補足されることにより、一層温かな気持ちになれます。
なので、電子特典版をオススメします。

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電子書籍

単行本2巻の続きです

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

遂に手を出してしまった分冊版。
紙本+まとめて読む派なのですが今回は待てなかった…。
総頁36P

今回初めて3つのルールのいずれかを破った場合の、試情夫及び小鳥が受けるペナルティについて具体的に触れています。
そしてアポロは、フィーの専属から全ての小鳥達を相手にする試情夫デビュー。

各々が別々の相手と触れあうことで、互いに対する気持ちに何か答えが導き出されるのか?
また次巻が待ち遠しくなりました。

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紙の本

暗雲立ち込める2巻

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

紙本を購入
3巻への引きは強めで、先が気になります。

ネタバレあり

オーナーの美意識を体現する楽園シャングリラ。
その楽園を排除しようとする外部勢力やフィーを付け狙う謎の人物など、2巻では様々な問題が浮上してきます。

フィーの過去をオーナーは把握してないようですね。
父親のような愛でフィーを受け入れるおおらかさに二度惚れしつつも、一つ判断を誤ると一気に楽園崩壊に繋がりかねない状況下にあって、フィーの隠し事がどう影響してくるのか不安が募ります。

アポロとフィーの関係は小さく…しかし確実に変わってきました。
その変化の一つがキスです。

始まりは添い寝
そこで互いの過去を明かすうちに確実に距離が近づいてきました。
そして1巻では拒んだキスが自然な成り行きで交わされるのですが、それが“恋愛感情”なのかは未だハッキリしません。

たった一人から愛されその人だけを愛することを知らないフィーと、ただ一人だけを愛したいアポロ。
互いの心が重なりあった時、座裏屋さんの描く甘い世界がみられるのでしょうね。
私の中で座裏屋作品史上No.1の焦れったい二人ですが、能動的になった時のアポロを楽しみに次巻を待ちます。

今回もアングルで白抜きなど野暮な修正を排除していて、画力の高い作家さんって凄いなと感心します。画面構成上のストレス0です。

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紙の本

清宮さん最初とギャップありすぎです

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

3巻は思春期に性的趣向を自覚して以降、ゲイを隠して田舎で暮らす清宮の生き辛さをメインテーマに描いています。
想像以上に清宮の内面は、恋愛に対して本っ当に面倒な性格でした(牧野より酷いかも…)
1、2巻ではもっと格好良かった…よね?

これまでの腰乃作品は“同性愛”に優しい世界というか“あなたも私も同性愛者”な街(鮫島&笹原のコンビニが起点)に成り立つストーリーでしたが、本作は今までよりも現実に沿った設定に感じました。
だからこそ、清宮の悩みは切実で痛々しい。

それでも福くんや安則の助言も受けながら、お互いの弱さや相手に対する強い想いを伝え合い、やることもヤリ(ここはいつもの腰乃さんで、オノマトペが凄いwです)物語は大団円を迎えます。

書き下ろしは、吉武&守屋の訪問。
守屋は変わらずいい子です。
吉武は何だかかんだ言いつつも、牧野の事を大切にしてるよね。
(あと、牧野と守屋が幼馴染みのイメージはなかったな…)

補足
紙では、今回は白抜きです。
確認したら、1,2巻では描いてましたね。
作家さん自身の作風の変化なのか、出版社の基準が変わったのかは不明。
もしかしたら、電子書籍への対応かな…。
後から消す労力を省くためとか?
でも描いてなくても、腰乃さんの描写は秀逸です(残念ではありますけど)

そして次回からは福くん編がスタートするとのこと。これからも目が離せません。

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紙の本

シンプルな王道恋愛もの

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

表題作のみ
転校生で漫画家の歩と女形の哀之助の話
お互い恋愛対象は異性であり、友人として始まった関係が
一緒にいることで次第に変化していくストーリーは
ボーイミーツボーイの王道です。

まず何より絵が綺麗です。
大衆劇団の女形という設定上、和服での立ち姿を綺麗に描ける
ことは重要条件で、そこがクリアできているおかげで
歩が哀之助の舞台からインスピレーションを受けて作品を描いていることや
本人にモデルを依頼するという展開にもすんなり入っていくことができます。
また女形の哀之助が女性すぎないところも魅力ですね。
化粧をしていてるシーンでもちゃんと表情に彼自身の個性が描かれていて
そういった点でも絵が上手い作者だと思います。
といってもストーリー上漫画家や女形というのは
本人たちの個性の一つというだけで
“大衆劇団”モノというわけではないです。

2人で一緒に過ごす時間が増えるにしたがって変化していく自分の気持ちを
演劇の役にシンクロさせていくことで哀之助が理解していく流れがいいんです。
フォーカスを2人の関係のみに絞っているので、紆余曲折によるストレスを
感じることなく読み進められる作品になっています。

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電子書籍

電子書籍或る夜‐NightS‐<電子限定>

2021/07/30 14:37

ヨネダコウファンなら満足できる内容です

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本編38頁『Nights』後の唐島と間崎の話+『リプライ』初期設定ラフ画+『Nights』表紙ラフ画


とにかく間崎が色っぽくて素敵です。
いや、本っっっ当に素敵なんですよ。
ストーリーは二人が再会(今回は唐島が不法侵入)して“する”だけのお話なんですが、内容なんてどうでも良くなるぐらい、とにかく間崎の色香がすごい。
かなり短い作品ですが、ヨネダコウのBLが好きで長編を読み尽くし飢えている方なら読んでみても損はないと思います。

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電子書籍

“運命の番”に真っ向から取り組んだ作品

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

電子読了

オメガバース 社会人編
今回のメインテーマは
“運命の番”同士であることが、αとΩにとっての最善だといえるのか?
ということではないかと思います。

この巻を読む上で、重要な前提があります

巻頭『オメガバースの世界』を読むと
“番(つがい)”となったα、Ωはお互いにしか発情しなくなる とあるが、
本作では、
αは、番契約を結んでいない“運命の番”からなら、自身に別の“番”が居てもフェロモンを嗅ぎ取れる。
(Ωに“番”がいる場合には、他のαはフェロモンを嗅ぎ取ることができない)


中学時代の経緯から、互いの関係を自覚する前に“運命の番”を永遠に喪った大我。
自分だけのαを希求し、αの元を渡り歩く倫。

“運命の番”ではないが幼馴染み ゆかへの初恋を実らせた薫。
中学時代の経緯から否応なく薫の番となった ゆか。
二組のストーリーが絡まります。


ここからネタばれありです



“運命の番”同士ならば大我とゆか、薫と倫であったはずの二組。

出会えるのは奇跡、のはずの“運命の番”が、近場で発生しすぎるとは思うが、登場人物を最低限に絞ったことでテーマが散漫にならず良かったと思います。

“運命の番”同士ではなくとも、ゆかに献身的な愛を注ぎ、ゆかの気持ちを第一に考える薫と、その大きな愛に包まれて、徐々に共に幸せになりたいと願い始める ゆか。
本作では、二人の距離が縮まっていく過程を丁寧に描いています。

一方、愛情を感じながらも互いが“運命の番”ではないことに拘るあまり、精神的に傷つけ合いながら一緒に暮らす大我と倫。
2巻の主軸は、この二人の関係に置かれています。

後半、倫が“運命の番”にこだわる原因が、大我自身による刷り込みにあったと判明する場面。
一枚絵で描かれた、倫を抱きしめながら、初めて涙を溢す大我の表情が強く印象に残ります。

そしてクライマックスの薫と大我が対峙する場面は必読です。
倫の幸せのため“運命の番”にこだわる大我に薫が放つ言葉こそが、2巻のテーマに対する完璧な答えとなります。

本作は“運命の番”を常にロマンチックな出来事として扱う違和感を顕在化した意欲作であり、それに「否や」を突きつける明快な回答をもたらした素晴らしい作品だと思います。

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電子書籍

喪われる男性性の哀しみを描く

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

電子読了

オメガバース。
全3巻。
各巻でメインテーマを定めてプロットを構築しているので、単独でも読み応えがあります。

第1巻は、第二の性発露と受容の苦しみがメインです。

オメガバースの設定を考える時
いっそ第二の性が判別できる年齢まで、男女の区分なく育てれば子供たちは傷つけ合わずに済むのではないか、と思う。

男女の区別しかなかった少年期を経て、中学生にして突きつけられる第二の性αβΩ。
自分は男だと信じて生きてきた ゆか にとってそれは、思春期の不安定な時期に自尊心も夢も破壊される残酷な宣告。

最初から、外見上の造作も“産む性”を与えられた女性とは異なり、男性の造りを持ちながら“産む性”も同時に与えられるΩという存在。
その自己認識と身体の造りの矛盾に苦しむ ゆかの姿を作者は残酷に描いていく。
また平行して、タイプの異なるα二人の姿も描いていく。

自己認識の崩壊、帰属社会からの疎外、友情の喪失など、蹂躙される精神と身体
Ωの厳しい現状を描く本作は、オメガバースの入門書にふさわしい作品だと思います。

書き下ろしの短編は2巻以降の内容に関わります。購読にあたっては、分冊ではなく本作をオススメします。


ここからネタばれありです。



Ωのゆかと、薫と大我二人のαの話

多くの作品で眉目秀麗に描かれがちなαに比べて、一見薫は色々と地味な存在です。
しかし幼少期から第三の性の本質を見抜く姿を描くことで、薫のαとしての知性や早熟さを際立たせています。

対する大我には、人目を引く華やかさや強さそれによって形成された傲慢と唯我独尊の考え方など、一般にもイメージしやすいα像を与えています。

書き下ろしが暗示する ゆかの“運命の番”は大我。
しかし本編で、第二の性が判明する前に不安に駆られた ゆかが無意識に求めたのは疎遠になっていた薫。

同じ時を過ごす中で醸成された信頼と親愛の情と“運命の番”が引き出す動物的本能と情動の対比。
この場面に、作者の“運命の番”に対する考え方が象徴されているように思います。
そして続く2巻では、ここがメインテーマとなります。

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紙の本

紙の本滅法矢鱈と弱気にキス 1

2021/01/28 04:47

腰乃さん初のオメガバース

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

紙本読了

高校生の横須賀恋治αと研修医の源静香Ωの話。

腰乃作品は元々台詞が多いのですが『僕は頼り方が~』から、ロジックでテーマを突き詰めるスタイルに変わってきたように思います。
そして連載中の本作でも、いずれはオメガバース(運命の番?)について、恋治や静香くんから言葉を駆使したロジックが熱く展開されそうです。

とはいえ重くなりがちなオメガバース世界であろうとも、そこは腰乃さんの世界。
二人の暮らす社会に、傲慢なαも卑屈なΩもいなければ、イヤミなβもいません。
学生モブ達はわちゃわちゃ、メインはもだもだしていて、会話から手書き文字まで読むのが楽しいです。

恋治は思春期の男の子らしい無神経な発言は多々あるけれど、言葉選びが下手なだけで、性根は真っ当で真面目です。

静香くんは男性体型なのに病気の子供をいたわる場面やヒート時には表情や仕草、腰のラインが不思議と女性的に見えて、男女性を併せ持つΩ感を上手いこと見せるなぁ、と感心します。

「可愛い女の子と恋愛したい」と思ってきた恋治と、“運命の番”を探し求めてきた静香の恋の行方が楽しみな作品です。

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電子書籍

とにかく面白いを追求した作品です

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

感動とか、胸に刺さったとかではなく、本当に純粋に面白い作品です。
過去のえぐいトラウマだとか、左遷だとかいくらでも重たい内容にしようと思えばできる要素が満載なのに、ここまで笑える作品にできるなんて驚きです。
しかも村人、道祖神、果てはカラスまで、すべてを笑いに変えるなんて、はらださんに脱帽。

各自の名前に注目すれば、それぞれの性質まで分かる親切設定です。
内容はあらすじのままなので、そこを作家さんがどのように描いているのかを、頭を空っぽにして読むのが正しい楽しみ方だと思います。
まさかこんなに読み返す作品になるとは思いませんでした。
ただただ面白い。

修正は電子が白抜き 特典は粕谷の小芝居でした。
紙本の修正は斜線(?)修正です。QPAは大概これですね。
描いてあるほうが、この作品は面白く見えます。
これぐらいの描写なら電子で白抜きにしなくてもいいのになぁ、と思ったり…。

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電子書籍

電子書籍どうしても触れたくない

2020/06/16 19:35

名作

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

キラキラした絵柄だけが好き!とにかくBLは受け付けない!という方以外には薦められる一冊だと思います。
描写がマイルドなので、ストーリーに集中しやすいです。
外川さんのおおらかな優しさと嶋くんの繊細な可愛らしさ、せつなさにページを捲る手が止まりません。
一度目は一気に、二度目は言葉に込められた意味、伏線に注意しながらじっくりと読むことをオススメします。
再読で「こういう意味だったのか!」と気づく瞬間があるかもしれません。
ちょっと分かりにくい場面があるので“誰がこの言葉を言ったのか”をしっかり辿るためにも、何度も読み返して欲しい作品です。

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紙の本

芯がブレない人の強さを描く

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

表題作のみ
クラスメイトで陰キャというか得体がしれない雰囲気をもつ百瀬と
クラスでも派手なグループに属する八代の話。
生活圏から離れた渋谷の街で女装した八代を見かけた百瀬。
そこから始まるちぐはぐな二人の恋愛譚。

本作は綺麗な女装男子が女の子扱いでチヤホヤされる物語ではありません。
女性に装うことの奥深くにある八代の願望を描いたストーリーです。
ちなみにその後の2人のお話は同出版社の
『STAY GOLD』1巻に載っています。

以下ネタバレに抵触する部分があります


多分百瀬は“女装した可愛い八代が好き”なわけではない。
化粧せずウイッグを装着していなくても、女子高の制服を身に着けた八代を可愛いと言う百瀬。
連れているのが女装男子だと他人に知られても
「百億倍かわいい」と豪語する百瀬。
口下手すぎてなかなか相手に伝わらないけれど、
結局のところ“どんな八代も好き”なのではないかと。
そして八代の特異な個性を否定しない百瀬の
他人からの視線にも全く揺るがない姿勢は格好いい。
(あ、百瀬の持つ雰囲気はなんだかキモチワルイですケド…)

片やクラスでは一番派手なグループに属しつつも格別目立つわけではなく
そこそこ女の子にもモテる八代は他人の視線に敏感なタイプ。
あえて知り合いのいない渋谷で女装をするのは
己の自己顕示欲を満たすと同時に友人から排除されないための保身でもあるわけで
そこを脅かす可能性のある百瀬は得体がしれないぶん相当怖かったことは想像に難くない。

八代の中には
女装は好きだが“女性”になりたいわけではない
けれど“性的には女性のように扱われたい”
という矛盾した願望がある。
それは“普通の高校生”でいるためには捨てなくてはいけない願望だが
お気に入りのワンピースや大切な女装道具のように
どうしても捨ることのできないもの。
だからこそ自身の女装願望も性的矛盾も受け入れ、
世間の異質なものへの攻撃にさらされても揺らぐことのない
“ぶれない芯”を持っている百瀬と恋に落ちるのは必然だったと思う。

“揺るがない”真の強さに惹きつけられて
読み始めには気持ち悪かった百瀬が
ラストに至るころには頼りがいのある素敵な男の子に見えてきたりする…かも。
独特のストーリー展開と登場人物が魅力的な話でした。

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紙の本

紙の本一度きりの大泉の話

2022/07/26 04:26

切実な思いから書かれたエッセイ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書を読了した今、私は二度と“24年組”や“大泉サロン”という言葉を使うことはないだろう

本書は萩尾望都さんの半生を綴ったエッセイである
同時代、同環境について語った本は他にもあり
そのどれが真実なのかなんてことは他人には藪の中なわけで
本書でもって当時の背景をどうこう検証する手段とするような著作ではないと思う

「ずっと語ってこなかったことを、一度だけ語る」
その決断をしなくてはならなくなった経緯(外圧)
いつ、どこで生まれたのか分からないけれど
私程度でも知っている有名なカテゴリー
“花の24年組”
“大泉サロン”
という言葉やそのカテゴリーに含まれる人選などが
萩尾さんの同意なく一人歩きしていったこと
そこに組み込まれることをきっちりお断りしていること
「この件について二度とお話することはありません」という
萩尾先生の決意表明
それが執筆の目的だったのではと推察する
苦しい記憶に向き合い、本書にまとめて下さったことを周囲が重く受け止めて
二度とこの件で煩わせることのないよう願う

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