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mituさんのレビュー一覧

投稿者:mitu

196 件中 1 件~ 15 件を表示

電子書籍

独学大全を手にした人も。 スルーしてしまった人も。 この本の存在すら知らない人にも。 独学という大きな大きな世界への入り口となる、スマホで見られる手軽で重厚な道しるべ。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本屋に平積みされていたベストセラー「独学大全」。

700ページ以上に及び、「鈍器本」と自虐的に語る分厚さ。

その厚さにたじろいだので、Audibleの「聞く読書」で取り組んだのが何度かの緊急事態宣言中のこと。

そのガイドブックが、kindle unlimited(定額読み放題サービス)に登場したので読んでみた。

聞き慣れた「無知くんと親父さんの対話」から、講義は再開する。

無知くん「鈍器本とかいう本が分厚すぎて、手が出ません」

親父さん「始めてもいない! いいか、大抵の本は何百ページあるが、すべてのページが一斉に襲いかかってくるわけじゃない」

「心配せずとも、書物はお前の実力に適ったものしか与えてくれない」

「書物は待ってくれる(Books can wait)。今は読めるところだけ読み、幾多の学びを重ねた後に、必要ならまた戻ってくれば良いだけの話だ」


二人の対話に始まり、何をどう学べば良いか、具体論が示される。

そして、読者からの質問に懇切丁寧に答えていく。

無知くんと親父さんの対話が、読者と著者による対話と類比するようで心地よい。

否、自分が著者に直接問いかけている感覚になってくる。

独学大全を手にした人も。

躊躇してスルーしてしまった人も。

この本の存在すら知らない人にも。

「真理がわれらを自由にする」(国立国会図書館の目録ホールカウンター上の言葉)

「『なぜ学ぶのか?』と問われたら、『自由になるため』と答えよう。この付録は、1年にわたって知識を巡るささやかな旅を導くためのガイドである」(1学び方を学ぶ)

独学という大きな大きな世界への入り口となる、手軽で重厚な道しるべだ。

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電子書籍

電子書籍感じるオープンダイアローグ

2021/08/15 09:37

対話があれば、何かが変わる。 確実に前に進むことができる。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

新聞のコラムで紹介されていたので、手に取った。

心療内科に通院していた時のことを思い出しながら、読み進めた。

まず、病院の門をくぐるのに時間がかかった。
心療内科に行くこと自体に、敗北感があったからだ。
ここに、決めつけがあった。

そこで、とても良いカウンセラーさんに出会った。

対話を続ける中で、病気と向かい合い続けた。

ただ主治医は、私の目を見ない人だった。
悩みを訴えかけても応えてくれず、薬を出すだけの人だった。

症状が悪化し、休職して、リワークプログラムに通うことになった。

そこで重視されていたのは、対話とコミュニケーションだった。

対話をしてくれるドクター。

優秀で心温かなスタッフの方々。

そして、寛解と復職を目指す老若男女のたくさんの仲間に出会った。

1年弱の休職後に復職。
今では、通院もしなくなった。

当時の仲間たちとの交流は続いている。

以下は本書で学んだ事柄だ。

「人類の歴史を動かしたのは、いつも対話だった。
 人は対話をやめたときに戦争を始めてしまう」

「対話の場は、全員が対等で初めて成り立つ」

「ただ話すだけで、それまで存在していた困難や誤解の多くは解消した。
 なぜなら、かれらは話していないだけだったからだ」

○著者がオープンダイアローグのトレーニングを受けた、フィンランドのケロプタス病院の「7つの原則」

・すぐに助ける。
・本人に関わりのある人たちを招く
・柔軟かつ機動的に
・責務/責任
・心理的な連続性/積み重ね
・不確実性な状況の中に留まる/すぐに答えに飛びつかない
・対話主義


「精神症状、幻覚や妄想などの状態にある人たちの多くが、こころに深い傷を抱えている」

「そんなときは、他の誰かに話を聞いてもらえたらと思う。それだけで、私たちはきっと生きていける。オープンダイアローグは、そのためにある」

「対話を何度も行うことができれば、お互いのことをだんだん理解するようになる」

「オープンダイアローグの目的地とは、自然に対話が起こることなのだ」


他人なれどもかたらひぬれば命にも替るぞかし。

人のために火をともせば我が前あきらかなるがごとし。

対話があれば、何かが変わる。

確実に前に進むことができる。

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電子書籍

飽きても、辞めても、かまわない。 また、始めれば良い。 人間は学びによってのみその宿命から逃れられる。

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「卒業してしまえば、諸君は私が授業で教えたことなど忘れてしまうだろう。でもそれでいいのだ。学んだ忘れてしまって、その後に残る何か。それが教育なんだ」

書店で平積みになっているベストセラーを、Amazon Audibleの「聞く読書」で学んだ。

聞きながら、冒頭の学生時代の恩師の言葉を思い出した。

自分には特技も取り柄もない。

本屋に行っては語学書やベストセラー、新書をあさり、買ってきては挫折して書棚の飾りとなる。

そんなことをずっと繰り返してきた気がする。

それは「学ぶことを諦めたくない」からだろう。

本書は、覆面ブロガーである著者が様々な具体例を持って「学び」について後押ししてくれる。

各章の冒頭では「無知くんと親父さんの対話」。

身も蓋もない二人の対話の中から、今何を具体的にするかの道しるべが示される。

独学者は一人だ。
だが、孤独ではない。

実際に会うことができない人を師と定めて学ぶ「私淑」。

偉大な先人たちの肩に乗って眺める景色。

図書館、インターネットといった誰でも無料で、もしくは安価で利用できる資源。

そして、自分自身を振り返るセルフモニタリング。

飽きても、辞めても、かまわない。

また、始めれば良いのだ。

人間は学びによってのみその宿命から逃れられるのだと、著者は力説する。

それは、自分にできることを挑戦してみたくなる意欲をくれる。

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紙の本

読書好きでも、そうでねなくても。 簡単に読めて深く応用できる、老若男女に向けられた究極のガイドブック。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「本を読まなくても、ネットでいいじゃん」

「読書時間ゼロ」の大学生が過半数を超えたという調査結果に、著者は愕然としたという。

そして、力を込めて語る。
ネットで読むことと読書との重大な違いは「向かい方」なのだと。

ネットで文章を読むとき、人はただの「消費者」。何も身についていかない。

逃げ出さずに最後まで人の話を聞くように一切の本を読めば、それは「体験」として残る。

自分一人の体験には限界があるが、読書を通して実際の体験を積むように、人生観、人間観を深め、想像力を豊かにし、人格を大きくしていけるのだ。

コミュニケーション能力は文字で磨かれる。

センスには限りがあるが、知性は万人に開かれている。

一流の人の「認識力」を身につける。

一冊の本から、連綿と続く「精神文化」につながる。

本を読んだら、人に語る。語る相手がいなければネットのレビューを読んでもいい。玉石混交でもそれにツッコミを入れながら。

その本のポップを書く。
好きな文章を3つ選ぶ。

声に出して読んでみる。

1テーマで5冊読めば「Aランク」の知識が身につく。

ベストセラーでブームに乗る。

本屋で「出会い頭」に会った本で知識を広げる。

偉大な人の器に触れる。

勝ち負けよりも「生き方」「人生の価値」を問い深める。

不朽の名著に難しくても挑戦していく。

読書好きでも、そうでねなくても。
簡単に読めて深く応用できる、老若男女に向けられた究極のガイドブック。

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電子書籍

電子書籍ペルソナ 脳に潜む闇

2021/10/04 09:37

学びと対話こそ、闇のような世界を照らす光だ。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「わたしのペルソナ(他者に対峙するときに現れる自己の外的側面)は、わたしがそう演じている役である、といったら言い過ぎだと感じられるだろうか?」(「はじめに」より)

脳科学者の著者が、自身の内面を、そしてこれまでの人生で感じてきた喜怒哀楽を時間を遡る形で記した。

多くの著書で、様々なテレビ番組で、脳科学の知見から、的確で鋭いコメントを穏やかに紡ぎ出す笑顔の奥底にあったものが、読みやすい言葉で語られている。

時代遅れの男性原理の象徴のアカデミズムでの奮闘。

テレビ番組での大きな気づき。
テレビは、トレーニングステーションだった。

脳における「正義」のトリック。

必要なのは「マイルドヤンキー」のコミュニケーション能力。

正確さを目指す日本人、アレンジを誇るフランス人。

「誰かほかの人を介するのではなく、本を介して直接、私の頭の中と皆さんの頭の中をつなぐことができればと思っている。これなら、本が存在し続ける限り、私と皆さんとはいつでも会えるのと同じことだ」

「一隅を照らす、という言葉がある。こうして書いている一文字一文字が、闇のような世界の中で、誰かの足元を照らすことができればいいなと思っている」

中国の文豪魯迅は語った。
「生きていく途中で、血の一滴一滴をたらして、他の人を育てるのは、自分が痩せ衰えるのが自覚されても、楽しいことである」

本書を読み通したときに、この言葉が頭を駆け巡った。

偉大な知性との対話。
苦闘する英知との語らい。

「学びに年齢は関係ない。いつでも思い立ったときに始めればいいのだ。勉強したいと思ったときが適齢期、だと私は思う」

そして、読書を通して学びを通して自分自身を見つめ直す。

他人なれどもかたらひぬれば命にも替るぞかし。

学びと対話こそ、闇のような世界を照らす光だ。

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紙の本

紙の本あおい

2021/10/02 08:06

作者の情熱と誠実さがまぶしく心地よい、西加奈子のデビュー作。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

直木賞作家 西加奈子のデビュー作。

彼女はその授賞式でこう語った。

「とにかくプロレスからはむちゃくちゃ勇気をいただいてます!」

猪木、藤波、長州、闘魂三銃士。

新日本プロレスファンという彼女は、その後の低迷期にも会場に足を運んでいた。

全盛期に比べ寂しくなった東京ドーム。

そこでは棚橋弘至が奮闘していた。

「チャラい」と言われ、ベビーフェイスなのにブーイングを浴び続けた彼の活躍により、リングに熱とファンが戻ってくる。

彼女は、その姿に自身を重ね合わせるのだという。

『太宰で終わった』
『最近の作家なんか読めへん』

こんな悪口を目の前で言われても、彼女は小説を書き続けた。


27歳・スナック勤務の「あたし」は、友達の雪ちゃんから恋人を奪ってしまう。

「『悪いのはあたしです。』
 そういう言い訳をしては、開き直ってひどいことをする、あたしは本当にずるい人間だった。
 そのときだって、雪ちゃんは何も悪くない、悪いのはあたし。そう思う自分に、また吐きそうになるくらい嫌気がさして、同時に、『あなたが悪い』と思った男の子はカザマ君が初めてだということに気付いた」

スナックのママ。

そのお客さんの森さん。

お店近くの書店員のみいちゃん。

傍目から見れば「変わった人」。

でも、みんな自分に誠実でありたいと願っているだけだ。

物語から見えてくる、作者の情熱と誠実さがまぶしく、心地よい。


他に、友達の葬式に参列した仲間たちが初めて知るかれのニックネームの由来「サムのこと」。

明日大阪を出て東京に向かう「うち」。恋人と過ごす最後の夜のラーメン屋「空心町深夜2時」の2短編が収録。

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電子書籍

人間の善性、無限の可能性を引き出す哲学。 読む前と読む後で、物事への取り組み、考え方を大きく、そして深く、強くしていける渾身の書。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ネガティブ・ケイパビリティ(負の能力もしくは陰性能力)とは、『どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」をさします。
 あるいは、『性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力』を意味します」

「私自身、この能力を知って以来、生きるすべも、精神科医という職業生活も、作家としての制作行為も、ずいぶん楽になりました。いわば、ふんばる力がついたのです。それほどこの能力は底力を持っています」

(「はじめに」より)

精神科医であり、作家である著者が、その根底の哲学を縦横無尽に語り尽くす。

すぐに結論を求められる社会。

白か黒かを決めたがる安易な態度。

問題の解決ばかりに目を向けて、その奥底にある真実に向き合うことのできない薄っぺらさ。

未知のウィルスとの闘いに右往左往する2021年。

先の見えない闘いの中で、誰かを攻撃することで憂さを晴らす浅はかな態度。

そういう現代だからこそ、不確かな状況に耐えうる力。

相手の苦しみに簡単な答えを出すのではなく、寄り添い、同苦し、共感していく姿勢。

人間の善性、無限の可能性を引き出す哲学。

読む前と読む後で、物事への取り組み、考え方を大きく、そして深く、強くしていける渾身の書。

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電子書籍

電子書籍三体II 黒暗森林(下)

2021/08/11 07:54

面壁者は、新しい世界で答えのない戦いに挑んでいく。圧倒的なスケールと、その奥底に流れる人間への洞察の素晴らしさ。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

地球は三体文明により侵略の危機的状況にあることが判明。

人類は、人類文明最後の希望となる「面壁者」(ウオールフェイサー)を立てて立ち向かうことを決断する。

4人の面壁者の唯一の生き残りの「宇宙社会学者」羅輯(ルオ・ジー)は、将来の三体文明の襲来に備えた冬眠(コールド・スリープ)から200年ぶりに目覚める。

すべてが変わってしまった世界の中でも、三体の脅威は残っていた。

そして、盟友の警察官・史強(シー・チアン)とともに、新しい世界で答えのない戦いに挑んでいく。

14億人近くの民を抱え、4000年の歴史を誇る、大陸の隣人の国の超大作。

圧倒的なスケールと、膨大な情報量と、想像の上の上を行く展開の数々。

その根底にある人間への洞察が素晴らしい。

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紙の本

紙の本タモリ論

2021/07/25 06:54

批判されることを覚悟で愛するものを語り抜いた著者の覚悟に感動。 渾身の一書。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「笑いについて知るものは賢者だが、笑いについて語るものは馬鹿だ」

「タモリとお笑いへの思いを一冊にまとめる。そのためなら、僕は喜んで、馬鹿になろうと思います」
(「はじめに」より)

ここまで言い切る著者があえて、タモリについて、お笑いについて語る一書。

よくぞここまで書き抜いた。

著者の当事者に対する距離感と、愛の深さから生まれる論考の数々に目からウロコが落ちまくる。

昭和から平成を駆け抜けた究極の長寿番組「笑っていいとも!」の真骨頂について。

「私も、あなたの数多くの作品のひとつです」--恩師・赤塚不二夫の葬儀での伝説の弔辞。

「世界のキタノ」ビートたけしの原点は、無名の青年時代の師匠・深見千三郎。
プロレスラーに例えれば「華麗なる盗人」(古舘伊知郎)と呼ばれたハルク・ホーガンだ。
憧れを自分の中に取り込み、昇華させていったから。

「さんまさんはよく言っていた。俺はひとを笑わせるために生きてきた」ーーどんなに悲しみ背負っていても笑いを作り続けた明石家さんまは、プロレスラーでいえば武藤敬司。
それは、どんなに強くても総合格闘技には行かなかった。

著者はこの本を読み感動した女性から告白され、結婚にまで至ったという(エッセイ集「大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた」より)。

まさに、人生の節目に「いいとも」があり、「タモリ」がいた。

だが、その人生を節目をたぐり寄せたのは著者自身の力だ。

「人間のすることで、他の動物にはできないことがふたつあります。それは、笑うことと、祈ることです」(「おわりに」より)

批判されることを覚悟で、愛するものを語り抜いた、著者の覚悟が素晴らしい。

渾身の一書。

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紙の本

紙の本雨のなまえ

2022/01/18 10:33

心の奥底に眠っている自分でも気づかない感情に気づかされる5つの短編。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「午後から雨になるみたいですね」
こんな世間話の文底には、「雨なのか、嫌だなぁ」「降らなきゃ良いのに」「傘用意するのがめんどくさい」といったネガティブな感情がある。

雨は降るとめんどくさい。
だが、雨が降らない日が続くとそれはそれで困る。

その雨をモチーフにした短編集。

「雨のなまえ」
妊娠中の妻がいるのに浮気をしている主人公悠太郎。
同級生で資産家の娘・ちさとにとっては待望の妊娠。
母子家庭の悠太郎は、母親の男が変わるたびに引越しをする不安定な少年時代を過ごした。
悠太郎が一生分の給料を出しても買えない様な高級マンションを、娘の妊娠と同時に買い与える義父母。

「記録的短時間大雨情報」
痴呆が始まったと思われる義母との同居がはじまる。夫はまったくの無関心。一人息子の教育費のためにパートに出た先で出会ってしまった大学生。
自分の名前ではなく「作哉くんのお母さん」となってしまう日常。
その中で澱のようにたまっていく抑え切れない感情。

「雷放電」
「一人の人間に割り当てられた幸せの量があるとして、自分はもうそれを使い果たしてしてしまったのではないかと思う」
「こんなに美しい女が自分の妻になるなんて夢みたいだ。おれは毎日、何度でもそう思う」

「ゆきひら」
中学校教師の臼井には、中学時代の同級生ユキとの悔やんでも悔やみきれない過去があった。妻の戸紀子にはそれは話していない。それは戸紀子のなかの秘密を確かめるのが怖かったから。そして教師の仕事にのめりこむことで、そこから逃げていたのだ。

「あたたかい雨の降水過程」
「おまえの言葉は刃物みたいに人を傷つける」別居している夫から言われた繭子。シングルマザーとして必死に働き子育てに奮闘するが、思うように行かない毎日が続く。
「仕事と子育てだけしていたかった。そうしたくて、夫と離れた」のに。


心の奥底に眠っている自分でも気づかない感情に気づかされる5つの短編。

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紙の本

紙の本藝人春秋 2下 死ぬのは奴らだ

2022/01/17 10:41

どんな相手にも著者は懐に飛び込んでいく。 本人ですら気づいていない素晴らしさ、面白さ、その奥底に潜む真実に迫っていく。 そして圧巻のエピローグ。 人間賛歌とレジリエンスの勝利の大力作ここに。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

石原慎太郎、井筒和幸、やしきたかじん。
個性が強く、面倒くさそうで、近寄りがたい有名人。

猪瀬直樹、みのもんた、徳田虎雄。
かつては一世を風靡しながら、スキャンダルで世間のバッシングを浴び表舞台から消えているかつての有名人。

寺門ジモン、武井壮、劇団ひとり。
とりわけ傑出した個性眩い芸能人たち。

どんな相手にも、著者は懐に飛び込んでいく。
本人ですら気づいていない素晴らしさ、面白さ、そしてその奥底に潜む真実に迫っていく。

読み進めていくうちに大きな疑問が発生する。

この強さはどこから来るのだろうか。
その答えは、著書の最終盤にあった。

この連載の最中、著者は心の病と戦っていた。
原稿を書き、仕事をこなし、闘病を続けた。
そして、寛解を勝ち取った。

私も分かる。うつ病を経験したものにしか分からない苦しみが。
例えて言うなら、生命力が全く無いのに、ゴールの無いマラソンを走らされている感覚だ。
寛解を勝ち取った者でしか見えない世界があるのだ。

「うつは必ず治る病気です」
「うつになったら元の自分には戻れないが、新しい自分になれる」
「うつになったということは時代の先駆者。後から続く後輩たちの道を切り開いていく使命がある」

この本を読みきった時、脳裏によみがえったのは、私がお世話になったカウンセラーさんの言葉だ。

そして著者は語る。
「ボクにとっては思春期の夏の闇を経て、ビートたけしの弟子になった時点で、そこはスタートであり、ゴールなんですよ。もう夢が叶っている」

人生に勝利すること。幸せになること。これは、誓いを立てた瞬間に決まっている。

師匠ありてこその弟子。
弟子ありてこその師匠。

人間賛歌とレジリエンスの勝利の大力作ここに。

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紙の本

師を持つことの出来る人は幸せだ。 奇跡が幾重にも軌跡を描く渾身の書。

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師を持つことの出来る人は幸せだ。
師と共に人生を歩めること以上の幸福があるだろうか。

著者で漫才師浅草キッドの水道橋博士。
岡山の自宅で引き籠っていた高校時代。
深夜のラジオで、彼が師匠と決める人物に出会ってしまう。

その人こそ、足立区が生んだ天才漫才師、世界の巨匠、ビートたけしだった。

大学を4日で中退して入門した弟子は、浅草のストリップ劇場フランス座での住み込み修行を命じられる。

地獄の修行から這い上がり、一流の芸人となっていくのは、かつて師が歩んだ道でもあった。

スケールの大きい行動力。
圧倒的な読書量。
「藝人」としての矜持。

笑いのためには出し惜しみをしない。

境遇がどうあれ常にフルスイング。

惜しみない努力が、美しい「星座」を作り上げる。

「よく『たけしさんはなんで役に立たない弟子を置いているの?』って聞かれるけどさー。俺がずっと頂にいるのは、実は役立たずの役のアイツらに支えられているんだよ」

場所を越え、時間を超え、縦横無尽に語り尽くされる、美しくもくだらない、笑いという素晴らしき世界。

そして、イラストは幻の漫画家・江口寿史。

奇跡が幾重にも軌跡を描く渾身の書。

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紙の本

紙の本アリと猪木のものがたり

2022/01/15 08:20

時間と空間を超えた壮大なロマンのものがたり。

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「プロレスとは他に比類のなきジャンルである」

「私、プロレスの味方です」で作家デビューした著者。

プロレスを語ることを大きな文化にしていった先駆者だった。

「そして、私は過激なプロレスの味方です」

その熱は、プロレス実況の古舘伊知郎に。
そして、週刊プロレスなどを通して大きなうねりとなった。

その著者がやり残したことがあるという。

2016年に逝去したボクシング世界ヘビー級チャンピオン モハメド・アリ。

アリは現役のチャンピオンだった1976年に、日本でプロレスラーのアントニオ猪木と対戦している。

その試合が、ゴールデンタイムで再放送された。

「その両者の奇跡的実現とも言える試合が“世紀の凡戦”と酷評されたことに対して、それを迎え撃つ“言葉の弾丸”の持ち合わせがないゆえに撫でるようにしか触れることができず泣き寝入りを決め込んだのは、アリとイノキの両者に対する不誠実でもあり、作家としての時を紡ぐ中での、痛恨の極みと言える忘れ物であったのである」(「まえがき」より)

世紀のスーパースターの二人に、自身の体験と情念を絡ませながら、その深さに肉薄していく。

「アリもそうだし私もそうですが、二人にしかわからない感じというのがあるんでしょうね。まあ、人間というか、アントニオ猪木というよりもモハメド・アリというより、そういうものを飛び越した超越したみたいなものの力の作用というものはね、まあ具体的に何だと言われてもちょっと答えようがないんですね。
 だから、アリにしかわからない、私にしかわからないものがある。言葉では表現できないんですよね」(アントニオ猪木)

アリと猪木の唯一無二の関係。

著者と猪木の友情。

アリにあこがれ続けた著者の熱き思い。

著者にしか綴れなかった、時間と空間を超えた壮大なロマンのものがたり。

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紙の本

棚橋弘至と中邑真輔。 頭脳明晰な二人の青年の、奇跡のような物語。

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1972年3月6日。アントニオ猪木により創立された新日本プロレス。

金曜夜8時のプロレス中継に、昭和のファンは熱狂した。

東京ドームに初進出。ビッグマッチの連続に、平成のファンは魅了された。

1998年4月4日。創立者猪木が引退。

総合格闘技の大ブームに、異種格闘技の源流たる猪木の存在と影響力が、団体の存続を危うくしてしまう結果を招いてしまう。

新日本プロレスにとって、21世紀は「暗黒の時代」となっていた。

立ち見が出るほどの客で溢れたドーム興行に空席が目立ち、招待券が出回る。
相次ぐ選手・スタッフの離脱。
スキャンダルばかりで、熱の失われた会場。

その危機的状況の中、二人の青年が新日本プロレスの門を叩く。

100年に一人の逸材 棚橋弘至。

キング・オブ・ストロングスタイル 中邑真輔。

頭脳明晰で誰よりもプロレスを愛する二人は全く違う思想を貫き、どん底まで落ちた団体の奇跡のV字回復の旗手となっていく。

創業者に振り回されて右往左往させられるのではない。

自分たちのやり方で新しいプロレスを作っていく。

そして、今では世界中のファンが彼らに熱狂している。

今のプロレスなんて見る気がしないよ、という昔ながらのファンにこそ読んでほしい一書。

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紙の本

紙の本前田日明が語るUWF全史 下

2022/01/13 10:26

「選ばれし者の恍惚と不安、二つ我にあり」 28年の時を経て格闘王が辿り着いたUWFの真実。 恩讐を乗り越えた先に見える新たな地平の風景が素晴らしい。

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「選ばれし者の恍惚と不安、二つ我にあり」(1988年5月12日、新生UWF旗揚げ戦、後楽園ホール)

新日本プロレスを追われるように去った前田日明が再興した新生UWFは、瞬く間に日本中の若者たちを熱狂させる一大ブームとなる。前田は時代の寵児となった。

東京ドームに6万人を集め、選手の陣容も整い、WOWOWの独占中継も決まった。
いよいよこれからという時に、空中分解してしまう。

「オレはUWFというものに対して一生分の純心を尽くしましたよ」

前田自身、当時の事は振り返りたくても出来なかったという。
裏切っていった人間たちが詫びてきても許せなかったとも語る。

「いつまでも怨みを引きずって生きていたら、あのころの純粋に人間を信じて生きてきた、正しかった自分に対して恥ずかしいような気がするんです」

過去と向き合い、恩讐を乗り越え、新たな地平に進み出した格闘王。

俺たちの日明兄さんは、誠実に、人間臭く、今日も成長し続ける。

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