mituさんのレビュー一覧
投稿者:mitu
電子書籍ねじまき鳥クロニクル―第2部 予言する鳥編―(新潮文庫)
2023/12/06 10:52
読みながら、聞きながら、自分の気づかなかったもの、見ないようにしていたものと向き合う感じがしてくる。 これこそ小説の大きな効能だ。 もう一つの1984年の物語は続いていく。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
Audibleで聞く読書。
個性的な登場人物たちを語り分ける俳優・藤木直人に魅了されながら。
亨の妻・久美子がでていった。
間宮中尉から再び手紙が届く。
亨は家の近くの井戸に潜っていった。
昼間の井戸。
久美子との出会いを思い出す。
越えられない見えない壁のような感覚がよみがえる。
夜の井戸。
久美子との新婚生活を思い出す。
そして、苦い体験も思い起こされる。
亨は、学生時代のガールフレンドを妊娠・堕胎させていた。
結婚後に、久美子とは避妊をしていた。
だが思いもかけず妊娠をしていた。
久美子は一人で堕胎をした。
亨はそれを出張先の札幌で知った。
その札幌で入った二軒目のバーで、ロウソクのパフォーマンスをする男に出会う。
この男の存在は店員も知らなかった。
閉じ込められた井戸に、加納クレタがやってきた。
彼女にも予知能力のようなものがある。
ノモンハンでの中尉の話と重なる。
間宮中尉との、手紙のやり取り。
井戸への思い。
失われた人生の意味を知りたい、と中尉は語った。
読みながら、聞きながら、自分の気づかなかったもの、見ないようにしていたものと向き合う感じがしてくる。
これこそ小説の大きな効能だ。
もう一つの1984年の物語は続いていく。
紙の本オネスティ
2023/11/22 13:48
スタイリッシュに見えて人間臭い石田衣良ワールド。その奥にあるのはやはり誠実さ。
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二人の幼馴染みが、幼い日の約束を、大人になるまで果たす物語。その先に待っているものは・・・。スタイリッシュに見えて人間臭い石田衣良ワールド。その奥にあるのはやはり誠実さ。その誠実な生き方に触れたくて石田作品を愛読してます。
紙の本すべてがFになる The perfect insider
2023/11/21 10:01
「すべてがFになる」の意味、表紙のブロックの絵など全てが見事すぎる。
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斬新さ、トキメキ。随分前に友人に薦められていたのだが、やっと読めた。 犀川&萌絵シリーズの第一作。「すべてがFになる」の意味、表紙のブロックの絵など全てが見事すぎる。
2023/11/20 11:22
「決して嘘はつかない」「腹一杯のプロレス人生」。 今を生き続けたミスタープロレスの波乱万丈の人生。
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2015年11月15日に引退したプロレスラー天龍源一郎の自伝。
少年時代から引退直前までを余すことなく語っている。
「決して嘘はつかない」「腹一杯のプロレス人生」。
今を生き続けたミスタープロレスの波乱万丈の人生。たくさんの夢と感動をありがとう!
紙の本葡萄と郷愁
2023/11/19 17:20
二人の感情の変化、葛藤、人々との繋がりを巧みに描く宮本輝の世界。
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舞台は東京とハンガリー・ブダペスト。 外交官の試験に通ってロンドンで研修を受けている先輩からの結婚を申し込まれている純子。 アメリカ富豪の未亡人から養女にならないかと誘われているアーギ。 1985年10月17日。二人はそれぞれの決断を前に悩む。 そこに、彼女たちの「縁」ある人々が関わり、大きな影響を与えていく。しかし、決断するのは本人。 二人の感情の変化、葛藤、人々との繋がりを巧みに描く宮本輝の世界。
電子書籍スクラップ・アンド・ビルド
2023/11/17 09:49
介護、老い、第二新卒・・・様々なキーワードが、日常のなかで覆い被さってくる。 綺麗事でない現実のなかで、一気に読まされた。
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介護、老い、第二新卒・・・様々なキーワードが、日常のなかで覆い被さってくる。
綺麗事でない現実のなかで、一気に読まされた。
バラエティの出演などで「又吉じゃない方受賞者」として、個性的な一面のみ取り上げられることも多い筆者だが、現実を書き出し、えぐられる感じがした。
電子書籍火花
2023/11/16 10:09
花火で始まる物語は、鈍く響きあう火花が確かに見えた。
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お世辞にも売れてるとは言えない漫才師と、彼が師匠と仰ぐ神谷さんの物語。
花火で始まる物語は、鈍く響きあう火花が確かに見えた。
売れる芸人だけが芸人ではない。ちょっと売れる、全く売れない、そして、志半ばで舞台を去る者たち。
彼らと同じ時代を生きてきた作者は、彼等の火花を切り取って一つの作品にしたのではないか。
2023/11/15 09:52
自分の気づかなかったもの、見ないようにしていたものと向き合う感じがしてくる。もう一つの1984年の物語は続いていく。
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Audibleで聞く読書。
個性的な登場人物たちを語り分ける俳優・藤木直人に魅了されながら。
亨の妻・久美子がでていった。
間宮中尉から再び手紙が届く。
亨は家の近くの井戸に潜っていった。
昼間の井戸。
久美子との出会いを思い出す。
越えられない見えない壁のような感覚がよみがえる。
夜の井戸。
久美子との新婚生活を思い出す。
そして、苦い体験も思い起こされる。
亨は、学生時代のガールフレンドを妊娠・堕胎させていた。
結婚後に、久美子とは避妊をしていた。
だが思いもかけず妊娠をしていた。
久美子は一人で堕胎をした。
亨はそれを出張先の札幌で知った。
その札幌で入った二軒目のバーで、ロウソクのパフォーマンスをする男に出会う。
この男の存在は店員も知らなかった。
閉じ込められた井戸に、加納クレタがやってきた。
彼女にも予知能力のようなものがある。
ノモンハンでの中尉の話と重なる。
間宮中尉との、手紙のやり取り。
井戸への思い。
失われた人生の意味を知りたい、と中尉は語った。
読みながら、聞きながら、自分の気づかなかったもの、見ないようにしていたものと向き合う感じがしてくる。
これこそ小説の大きな効能だ。
もう一つの1984年の物語は続いていく。
電子書籍ねじまき鳥クロニクル―第1部 泥棒かささぎ編―(新潮文庫)
2023/11/14 10:51
戦争とは、人間を、過去・現在・未来へと苦しめ続ける悪魔の所業なのだと、刻み付けられる。
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Audibleで聞く読書。
主人公の岡田亨は、法律事務所を退職し、妻の久美子と世田谷の一軒家で暮らしている。
この家は、親戚の好意で安く借りることができている。
単調な日々の中で、摩訶不思議な出会いが続く。
素性の知れない女からの奇妙な電話。
加納マルタ・クレタ姉妹との出会い。
妻の悲しい生い立ち。
彼女の兄・綿谷ノボルを通じた、作者の現代の社会への洞察。
そして、かつて良く夫婦で訪ねた霊媒師の本田さんの死。
その本田さんから、亨あてに形見が残されたとの連絡が入る。
電話の主は、戦時中に彼とノモンハンで日本軍の一員だった間宮という人物だった。
巧みな描写と、老若男女、そして時代を越えた多くの人物を語り分ける朗読の藤木直人の技量にも魅了される。
しかし、それを上回るほどに聞き続けることが困難な描写が続く。
Audibleで聞く読書。
主人公の岡田亨は、法律事務所を退職し、妻の久美子と世田谷の一軒家で暮らしている。
この家は、親戚の好意で安く借りることができている。
単調な日々の中で、摩訶不思議な出会いが続く。
素性の知れない女からの奇妙な電話。
加納マルタ・クレタ姉妹との出会い。
妻の悲しい生い立ち。
彼女の兄・綿谷ノボルを通じた、作者の現代の社会への洞察。
そして、かつて良く夫婦で訪ねた霊媒師の本田さんの死。
その本田さんから、亨あてに形見が残されたとの連絡が入る。
電話の主は、戦時中に彼とノモンハンで日本軍の一員だった間宮という人物だった。
巧みな描写と、老若男女、そして時代を越えた多くの人物を語り分ける朗読の藤木直人の技量にも魅了される。
しかし、それを上回るほどに聞き続けることが困難な描写が続く。
戦争とは、人間を、過去・現在・未来へと苦しめ続ける悪魔の所業なのだと、刻み付けられる。
戦争ほど、残酷なものはない。
戦争ほど、悲惨なものはない。
だが、その戦争は今でも続いている。
その戦争に抗う力も、人間の中に宿っているはずだ。
戦争ほど、残酷なものはない。
戦争ほど、悲惨なものはない。
だが、その戦争は今でも続いている。
その戦争に抗う力も、人間の中に宿っているはずだ。
紙の本借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ
2023/11/13 10:23
軽妙な語り口で、大切なことを教えてくれる一書。 心こそ大切なれ。
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Audibleにて聞く読書。
友人たちと参加している読書グループにて、度々取り上げらえていたので、興味を持った。
人間は、時に運命に翻弄される。
宿命に泣かされる。
そして自分を責める。
感謝の心。
自分を愛する姿勢。
そして、必ずその宿命を乗り越えて見せるという決意。
軽妙な語り口で、大切なことを教えてくれる一書。
心こそ大切なれ。
人は、幸せになるために生まれてきたのだから。
紙の本職業としての小説家
2023/11/12 09:49
一人一人と直接会うことは少ないにしても、表面的なことでなく、無意識のもっと奥の深いところで繋がっているとの話に多いに感銘。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
世界50の言語に翻訳されている村上作品。
だが、意外なことに国内での批判にさらされる事が多いと筆者は語る。
そして、何より大事なのは読者なのだと。
一人一人と直接会うことは少ないにしても、表面的なことでなく、無意識のもっと奥の深いところで繋がっているとの話に多いに感銘。
読書の真髄がここに。
電子書籍職業としての小説家(新潮文庫)
2023/11/12 09:49
読書の真髄がここに。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
世界50の言語に翻訳されている村上作品。
だが、意外なことに国内での批判にさらされる事が多いと筆者は語る。
そして、何より大事なのは読者なのだと。
一人一人と直接会うことは少ないにしても、表面的なことでなく、無意識のもっと奥の深いところで繋がっているとの話に多いに感銘。
読書の真髄がここに。
2023/11/11 10:26
主人公・断雄が常に感じる葛藤が、強烈な作者からの「平和の尊さ」へのメッセージだと感じた。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
あえて言うなら、徹底した軍事小説を描くことによって起こる読者の違和感。主人公・断雄が常に感じる葛藤が、強烈な作者からの「平和の尊さ」へのメッセージだと感じた。
2023/11/10 10:54
父のある行動により、近衛四家から没落した逆島家の次男・断雄が、自身が想像もしない運命に巻き込まれていく。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
近未来、少数の資本を奪い合う列強の高度植民地支配が横行する世界。
最優秀の生徒たちが「進駐官」養成のために集められ、徹底した教育がなされる。
父のある行動により、近衛四家から没落した逆島(さかしま)家の次男・断雄(たつお)が、自身が想像もしない運命に巻き込まれていく。
電子書籍世界と私のAtоZ
2023/11/09 10:22
人生の本質を見つめ、より自分らしく生きたいと願う強い心。 人間として最も大事なことを優先事項としていることに、感銘を覚えた。
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「Z世代が起こす優しい革命に、私も参加したい」
新聞広告に掲載されていた、経済思想家の斎藤幸平氏の推薦文を見て購入した。
Z世代とは、1990年代後半から2010年頃までに生まれた世代。
デジタルネイティブで、社会的不平等、人種差別、ジェンダー、環境問題に対して関心が高く、変革への意識が強いとされる。
戦争。
パンデミック。
地球沸騰化。
バラ色の未来だったはずの21世紀は、先行きの見えない混沌の中にある。
この世界を作ったのは、今地球にいる我々なのだ。
この世界をどうにかしたいと強く願っているZ世代について、当事者の強い実感を持って書かれている。
アメリカではメンタルヘルスがZ世代に甚大な影響を及ぼし、非常に重要なテーマとして取り扱われているのだという。
10年ほど前に、心の病と闘っていたころ、カウンセラーに言われたことを思い出した。
「鬱は、必ず治る病気です」
「病気になる前の自分には戻れないが、新しい自分になれる」
「この病気にかかったということは、あなたは時代の先駆者。後から続く後輩たちの道を切り開いていることになるんですよ」
メンタルヘルスについて率先して学び、セルフケアを大事にする。
自分を大切にし、相手を尊重する。
推し。
SNS。
信仰。
ライブ体験。
「インスタ映え」より「自分ウケ」。
買い物は投票。
人生の本質を見つめ、より自分らしく生きたいと願う強い心。
人間として最も大事なことを優先事項としていることに、感銘を覚えた。
学び続け、何ができるか考え続けたい。
そして、できることを等身大で続けていきたいと強く思わされた、力強い一書。