帛門臣昂さんのレビュー一覧
投稿者:帛門臣昂

スーパーの裏でヤニ吸うふたり 1 (ビッグガンガンコミックス)
2022/11/30 21:53
場の制限
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
おじさんと若い女性、そして喫煙所という場に惑わされているが、これはつまり学生間の恋愛と同じで、「学校にいる間」「同じクラスである間」こういう微妙な関係というのが成立する。これも綱渡りで、この単行本内でも二人がもう会えなくなるのでは!?と焦って、本当の自分を明かそうとする場面がある。場の制限、それは「喫煙所で田山として」という制限であって、この制限無しでどう二人が関係を築くか、と至って本質は真正面のストーリー。めちゃくちゃ好き。

むらさきのスカートの女
2022/06/10 00:15
語り手の新鮮さ
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
久々に存命作家のもので良い小説を読んだ。芥川賞を受賞した本作は表紙からしてそそるものがあったが、優先順位は低かったため文庫化とともに購入した。今では後悔している。
本作における語り手は「むらさきのスカートの女」に偏執狂的に関わろうとしている。それゆえか、語り手は自らを主軸に据えた語りを殆どしない。語り手の主観が希薄だ。基本は希薄なのだが、時々ぐっと前に出てきて、自身に関することをいきなり言い始める。これは相当不気味だ。新鮮な感じがした。

滑走路 歌集
2021/07/05 21:41
あゝ、彼は分かっているんだなぁ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
他のレビューでも書いてあるだろうが、非正規雇用の人間が抱く様々な感情を見事に歌にされている。彼は分かっていたんだなぁ、と思う。
是非とも、歌壇で活躍されてほしかった。

自分を支える心の技法 新版
2021/04/28 02:37
怒りをどうコントロールするか
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
体癖論があるとのことでわ購入したものの、それ以前から目から鱗の情報満載。テーマとしては現代人と怒りの関係、あるいは向き合い方。怒りをコントロールするのは難しい。けれど、無理ではない。

『鬼滅の刃』吾峠呼世晴画集−幾星霜−
2021/03/14 18:13
祭りの後の煌びやかさ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
最終回を迎えて、すべての締めくくりとも言えるこの画集。美しい場面、美しい線、美しい世界が詰まっている。
値段は高いが、価値はそれ以上。

ポー詩集 対訳
2021/03/14 18:01
対訳ゆえにわかるポーの詩風
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
英語原文付きで、アメリカの代表的な詩を読むことができるのは、大変意義がある。
是非、音読してみよう。
ポーの詩風がわかるはず。

汚れつちまつた悲しみに… 中原中也詩集
2021/03/07 18:20
中也を知るには最適
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
私が最も好む詩人、中原中也の詩風を知るにはとてもよい構成だと思います。有名な詩が網羅され、この一冊を読めば中原中也を知るに容易い。
文豪ストレイドッグスの表紙もかっこいいので、本棚も華やぐでしょう。

さよなら絵梨 (ジャンプコミックス)
2022/08/15 03:57
注意深く読み、直感する
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この作品に関する考察などたくさん各メディアで散見されますが、表紙、作中で語られる設定などを注意深く読み取り、直感することがこの作品の最初の楽しみ方として最善かと思います。このストーリーのジャンルひとつ取っても、沢山の解釈に分かれるので面白いですよ。

飛ぶ孔雀
2022/08/15 03:45
大胆かつ綿密な構成
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
多くの登場人物、時間軸の往復、世界線の交差。それらの大胆かつ綿密な構成によって、この小説の幻想性はより一層引き立っている。故に、一読してこの小説の世界観は十分に理解できない。何度も何度も読んで、観客席より作品世界を眺めている頃に理解することができるだろう。

菊は雪
2022/06/01 04:05
挑戦的句集
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
文語定型を維持して一句を仕上げたり、定型からはみ出たり、口語、さらに方言までも駆使したり、現在の俳句に対してひとり挑戦し、俳句の可能性をグッと押し広げようとする句集。

Schoolgirl
2022/02/08 00:37
まったく新しい静かな狂気
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
残念ながら芥川賞を逃した表題作『School girl』と文學界新人賞受賞デビュー作『悪い音楽』いずれも静かな狂気を含んだ物語である。『悪い音楽』に関しては、湊かなえの学校を舞台にした作品を彷彿とさせる、教師と生徒が属性から外れた人間本来の歪さを表現しきり、『School girl』では親子の対照的な性格を利用して、これまた親子の属性から外れた人間の歪さを表現しきった。但し、『悪い音楽』と違って、親子の相違は柔らかに解消されるかもしれない雰囲気を醸している。

龍 伊月集 句集
2021/12/05 01:11
知られざる原点に名句の数々
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毒舌俳句添削のイメージで衆目を集めた夏井いつき先生は俳壇賞を受賞した俳人であり、当然その創作力は凄まじいものがある。是非、多くの人に先生の句そのものを触れてほしい。色褪せぬ名句の数々が収められている

サラダ記念日
2021/07/05 19:38
口語短歌の一つの完成形
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大きな破調や独特な語彙を多用することなく、かくも多くの完成された口語短歌を収めたこの歌集は、歌人にとっては必携の書、短歌愛読者にとっては愛読書に違いない。それが文庫本となっているのだから、買うしかない!

限りなく透明に近いブルー 新装版
2021/06/20 00:03
強烈
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
強烈な文章だった。
主人公と作者の名前が一緒だが、作者の体験がこの物語を構成しているのだとすれば、驚きを禁じ得ない。
相当な気力を持って臨まないと疲れるかもしれない。覚悟を。