3πさんのレビュー一覧
投稿者:3π
紙の本愛されなくても別に
2021/03/31 19:29
現代社会の様々な問題点をテーマに据えつつ、女性キャラクター同士の安心感のある関係を描く
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数ページ読むだけで死にたくなって最高。堀口の言動を読みながら「自分はこんなやつじゃない」と、自分との違いを必死に見出だそうとしてしまう。
ジェンダー規範、虐待、毒親、性暴力、ネオリベラリズム社会、恋愛せよというプレッシャーなどへの違和感・抵抗……が、主なテーマだと思う。武田綾乃らしく、男性は基本的に無力化されるというか重要登場人物にはならず、シスターフッド的な物語にもなっている。ので、多分百合作品として読むこともできると思う。
紙の本女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話 3
2021/03/31 19:15
濡れ場が単なるポルノでなく、物語として重要
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砂糖吐くマジで。作者様ご本人も言ってるけど濡れ場が大事なこの作品、読んでて幸せな気分になる……。あとリバ最高。
あとがきでクリエイターとしての矜持というか野望が見えてよかった。その通りの作品になっていると思います。出版社編集者側の考えも聞きたい。
2021/03/31 18:56
イングランドと日本の、政治思想から見た女性差別の歴史
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西洋、特にイングランドがキリスト教を基盤にして女性差別が作られてきた歴史を追ったのが第1部で、古くは聖書、アリストテレス、アウグスティヌスから、宗教改革を経て、フィルマー、ロックなどの政治思想・法制度が外観された。その中でホッブズは、その他の政治思想の女性差別から切り離されたような思想を構築していたのが特徴。
第2部は主に江戸時代以降の日本。儒教の影響で日本の女性差別が準備されたという俗説を、徳川が政権としては儒教を用いなかったことを示して否定し、また明治以降西洋の法理が持ち込まれたことで女性差別的な構造が作られたという単純な見方も退ける。日英では家族、そして国家のあり方が異なり、日本の「家」の慣習は根強く、家制度に無理矢理組み込もうとした西洋の家父長制は、選挙権、産業構造の変化などを通して徐々にしか浸透しなかったが、大戦後には女性差別の構造が確立された。
大雑把にはこういう内容だったと理解しました。
個人的には政治思想・法制度の勉強をあまりしてないからか細かい論理はわかりづらいと思うところもけっこうあったけど、読み終えてみると、かなり綺麗に現在の話にまで繋がったなと思います。
紙の本継母の連れ子が元カノだった 6 あのとき言えなかった六つのこと
2021/03/31 19:22
青春ラブコメとしてはかなり面白い
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シリアスパートがあまり好みじゃないのでちょっと微妙な部分が多かったな。ただ逆に言うと、青春モノが好きな人には特に響く巻かもしれない。
結女がとても可愛い……し、水斗も最高……前半、特に大学でのエピソードが素晴らしかった。
2021/03/31 20:46
赤松ワールドが緻密
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金叉の技、よくあんなに色々思い付くな。
キンちゃん先生そこそこかっこいい。vsラスプーチナはなんかアッサリ終わったな……。アリスベルで先に出てきたパンスペルミアの砦とか政府のゴタゴタとか面白いし遠山の縁者出てきたの燃えるけど、赤松ワールド広すぎん?
2021/03/31 20:33
作者が2巻のあとがきで書きたいと言っていたものがしっかり描かれていた
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面白かった。まず最も惹かれたのは当然序盤の性描写チックな場面だが……ライトノベルでこの筆致でこの描写ができるのかとけっこう本気で驚いた。2巻のあとがきから書きたいって言ってたけど、なるほどこうなるのか……。
異性愛男性向けのライトノベルにおいて、例えば帯などの宣伝文句で「ちょっぴりエッチ」などと謳われている作品は殆どただの「ラッキースケベ」であり、女性側から見ればエロいわけでもなく普通に性暴力であるものが多い中、女性の性的主体性を軽視していない描き方がなされていて、そこが素晴らしかった。
あと過去シリーズの主人公張ってただけあって千代田先生がとてもよい。ラノベでも寺山修司とか坂口安吾が引かれるくらいはまああるけどその流れでロマンティック・ラブ・イデオロギーなんて単語が出ると思わなかったし、それについての所見も深く納得できる。
2021/03/31 20:23
表題作が一番長いです
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表題作「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」。「めちゃくちゃ繊細なヘテロの男の子が出てくる」と勧められたのでそういう期待をして読んだ。確かにそうだったけれど、でも彼は私ではなかった。題の通り七森はやさしい。それは多分、生来の気質として。高校の同級生たちとも紙一重のように感じてはいるようだけど、でもやっぱり本質的に違うように見える。私が求めていたのは、やさしくなくて、もっと暴力的で差別的な主人公が、それでもやさしくあろうとする物語だったと思う。
「たのしいことに水と気づく」。とても辛くなりながら読んでたが、なんか最後唐突に安易な救いが降ってきた。ここまでしんどかったのは何だったんだろうってなった。
「バスタオルの映像」。つらい。
前2編ではぬいぐるみや水に一方的にしゃべっていたけど、この話では相互に一方的であったりした。と思う。多分。これはこれで辛いというか一層質が悪いかもしれない。
「だいじょうぶのあいさつ」。一番つれぇ……って一瞬なるけど本質的には前3編と同じなのかもしれない……お兄ちゃんもやさしいんだろうな……と思ってたら本格的に意味わからんくなった。何これ? 1冊通して「想像力はやさしさになるが毒にもなる」と言っている気がするけど、私にはもうわからん。
2021/03/31 20:13
副題の通り
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副題の通り、男の子が男性として社会化されていく様子を追い、改善のための取り組みを紹介する。読みやすいのに事例・データがとっても豊富。本棚に欲しい。
私(男性)は、割と男性をとにかく悪者として考えて、杉田俊介さんや多賀太さんなどが警鐘を鳴らす「過剰な自己批判」みたいなことをしがちなんだけど、そんな私が読んでも「男にもまだ希望あるじゃん」と思うような、明るい本だった印象。
今まで読んだのが偶々そうだっただけかもしれないけど、この本を含め英語圏の本って日本のよりもインターセクショナリティへの目配りが行き届いてる気がする。人種を始めセクシュアリティ、障害、階級など。
2021/03/31 19:40
性にまつわる問題、特にトランスジェンダーに関することがよくまとまった本
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良い本だったと思う。特にトランスイシューについてはやはりわかりやすい。差別との戦い方のひとつとして「本を勧める」というのを聞いたことがあるけど、この本はそれに相応しいなと思った。
紙の本カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています 3
2021/03/31 19:38
真由と悠太のかけあいが軽妙で良い
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ほぼ全ての文が句点を打つ度に改行してるのが悪い意味でラノベっぽいなとか思ってたんだけど、1巻から3巻までの構成はけっこう綺麗だしキャラクターもちゃんと作られてそう。
真由好き。悠太との掛け合い絶妙にうまいよな……。彩華との関係は元々好きだけど今回最後の匂わせで更に好きなやつに近づいた。礼奈は、うーん……作中での位置づけとしてはとても好きなキャラだけど普通に人間性を見たらちょっと……現実にいたら絶対仲良くしたくない。
2021/03/31 19:31
アリアの34巻だなぁ……
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ラプンツェルのキャラデザと能力好き。こぶいちさんの絵、ちょっとずつ変わってきてる? 最近の方が好み。
ラストはかなり衝撃的な引きだったな。なんか知らん艦とキャラ出てきたし、役者揃ったし。徐々にNのことがわかってきて燃える。
このシリーズ面白さのひとつは現実の出来事とややリンクしてるところだけど、ついにトランプが大統領にとかの話が出てきて笑った。確かブレグジットが騒がれた数ヵ月後くらいにイギリスのEU離脱説が作中で出てきたしジーサードのシンパが共和党とか言ってたからあるかなーと思ってたけど。
さて、33,34巻では雪花の性別が代表だが、このシリーズはつくづく多くの人に安心して読めるようにしようって気持ちが全然ないな。無人島でのネモの話から、描くテーマがかなり多岐に渡るこの作品が遂に差別をテーマにするのかと期待したけど、まあステレオタイプマシマシ描写は改善されないし、構造的差別への視線もロクに書かれない。性に関しては主人公が2010年の日本人ってことで好意的に見れば見逃してやれるけどさ、色んなところが、もう少し慎重に書けるんじゃないのと思ってしまう。作中でキンジが偏見を見直すことも間々あるけど表面的だし。それ以上求めるのは酷か?
2021/03/31 19:19
人に薦めたい
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これめちゃくちゃ良い漫画なのでは……。1,2巻でも思ったけど、ここまでちゃんとした教育を、押し付けがましくもなくコミカルに描けている作品ってそうないんじゃないかしら。教える側の辻先生がただ教える側なんじゃなくて、しっかりストーリーを持ったキャラクターであるのも良い。
あと生徒たち良い子すぎる……現実はこんなユートピアじゃないよとも思ったけど感動した。
このシリーズ、バックラッシャーと戦う時の「本を勧める」戦法として、或いは普通に啓蒙の方法として布教したさもある。
ところで、もしかしてこれ3巻で完結ですか……? やだ……。
紙の本青春のジョーカー
2021/03/31 19:01
男子中学生がホモソーシャリティの中で苦闘する話
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面白かった。普段ラノベばかり読んでるけど、からたまに一般文芸に手を伸ばすと、文章の精緻さとか比喩の巧さみたいなものに感心させられた。
男子中学生がホモソーシャリティの中でもがく話。男性の序列に苦しんで、解放されたような気になって、そんなことなくて、そして最後にちょっとした答えを得た、かもしれない。
もう少し卑近な言葉で言えば、中学生的なカーストと非モテ意識に苦しんだりする話、って感じ。
武田砂鉄さんの解説も読んだけど、よく考えたら私はそんな体験はしてないんだよな。なのにめちゃくちゃ共感するし死にたくなる。ホモソーシャリティとかamatonormativityの強さを感じる。文学の言葉でそれらが描かれた作品だった。
紙の本美少女と距離を置く方法 2 ぼっちとクールと恋敵、キスとヤキモチと修学旅行
2021/03/31 18:51
丁寧なラブコメ、2巻
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ネタバレあり
面白かった。パラセーリングのシーンを始め、三人娘の出会い、恋人岬、モブの凱旋と、作者様が筆に力を入れたんだろうなって場面はだいたい好き。
紗矢野さんはまあ明らかに負けヒロインだったわけだけど、当て馬ヒロインが大事なのは振られた後だからね。後日談ではじゅうぶん魅力的だったと思う。続刊での活躍に期待。
皆言ってるけど、恭弥マジでいいやつだな……これからも廉と恋バナしてね。
そして目玉はエピローグ! 最高! 待ってました! 理華可愛い! 最高! 可愛い! 最高! なろうで読んだ時もこのシーンめっちゃ好きだった。
今巻でいうと恋人岬を下りた直後、「簡単に永遠の愛を結びたくない」って言うシーンと、エピローグで廉が「ちゃんと話してほしい」って言うシーンが個人的に超重要場面。ゆっくり自分たちのペースで、言葉にしながら恋愛する、ってことをやってくれるのがこの作品の魅力だと思ってる。「世のリア充たちは言うのかもしれない」と廉がモノローグしたような不文律、恋愛モノのフィクションにも「いいのか?」みたいな感じで出てきがちだけど、ちゃんと言葉にするってのをやってくれるのとても好き。ていうかムードないなんてことなくない? 是非とも今後もそういう感じで進んでほしい。
紙の本これからの男の子たちへ 「男らしさ」から自由になるためのレッスン
2021/03/31 18:45
よくまとまった、女性による男性論
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女性著者による男性論ということで、男性の自分が読んだら死にたくなるような読書体験を求めていたのだが、そんな読後感はなかった。
内容的にはまあよくある男性論なのだけど、それが「男の子を性差別的な男性にならないように育てる」、という視点で書かれている。個人的には『男らしさの終焉』とかより論理的に整っているように感じた(まあ国の違いもあるけど)。
第5章「カンチガイを生む表現を考える」は、性的な表象の問題点についてかなり精緻に書かれていたと思う。性的な表象が炎上した時に「オタクvsフェミニスト」みたいな間違った構図を安易に想定するタイプの人には是非読んでほしい。