サイト内検索

詳細
検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、年齢認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. 電子書籍ストア hontoトップ
  2. レビュー
  3. るいざさんのレビュー一覧

るいざさんのレビュー一覧

投稿者:るいざ

1 件中 1 件~ 1 件を表示

天使の蝶

2021/04/30 16:58

レーヴィを知る人にも そしてレーヴィを知らない人にこそ 是非とも読んで貰いたい本

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

直球的なタイトルが多いイメージのレーヴィの作品にしては珍しく幻想的なタイトル。
「天使の蝶」とはダンテの神曲から
ちなみにこれを知らなくても全く問題無く読めます。

オムニバス形式の小説。
基本的にそれぞれ異なった世界観。
話が繋がっていないので一話完結。
唯一敏腕営業マンのシンプソンが何度か他のストーリーに出てくる。

このシンプソンは個人向けセールスマンなのだけど、その商品というのがこの本が出版されて時にはこの世には存在していない商品を売っているので近未来的な感じがする。

ドラえもんみたいな感じ?と言えば想像しやすいかと。
ただこのシンプソンは猫型ロボットではなくて
会社愛が強いアメリカのセールスマン。
どちらかというと笑うセールスマン?
だがシンプソンはよく分からない商品をものすごい熱意でガンガン売っていくが
喪黒福造みたいな不気味さはないので
彼から商品を買った人がどうなってしまうのか心配しながら読まなくて大丈夫である。


そしてシンプソンが売っている商品
作中の中では大体が
「こんなの必要?」と思われている代物だが
それは今の世の中では
「3Dプリンター」「SNSの良いね!評価」「VR」だったりするので
レーヴィは55年以上前に書いていたのだなとその先見の明に驚かされる。


またテーマが色々広範囲に航っているので人それぞれ自分のお気に入りがあると思う。

因みに私自身は「創世記 第六日」が一番好きだ。
まさか聖書のテーマを持ってくるなんて!!と感心した作品。
またテーマが聖書というだけではなくて本当にエスプリが効いていて
作家としてのレーヴィの独創性と想像力に感服。

そして一冊読み終わった後に
プリーモ・レーヴィ像について思い浮かべる。

私はレーヴィの本は
「休戦」「溺れるものと救われるもの」「これが人間か」の順で読んだので
どうしても「ユダヤ人」「ホロコースト」「アウシュヴィッツの生還者」というイメージで彼を見てしまい、無意識のうちにレーヴィのすべてをそれらに結びつけてしまっているだろう。

勿論アウシュヴィッツが彼に与えた影響は計り知れないと思われるし価値観を変容させただろうとは思う。

しかし元来のレーヴィ自身はウィットに富みそしてユーモアに溢れた人物だったのではないだろうか?とこの本を読むにつれて思わされた。

そんな生まれがらにあった彼の内面を我々は忘れてしまっていたのではないだろうか?
そしてレーヴィ自身が周囲からあまりにも「アウシュヴィッツの生還者」として見るあまり「生身の人間」であるレーヴィ自身を置き去りにしてしまっていることに対しての葛藤なりがあったのではないだろうか?と考えさせられたりもした。

もしかするとこの小説を書いている瞬間のレーヴィは「アウシュヴィッツの生還者」でもなく「可哀想なユダヤ人」でもなかったのではないだろうか?

ただの一個人としてのプリーモ・レーヴィでしかない。そんな瞬間があった。そう思いたいと何故か思ってしまう。

もしまだレーヴィを知らない、もしくは読んだことがないという方がいたら是非とも「小説家」レーヴィとしてのこの本を読んでみてほしい。
別のフィルターをかけて読んでしまう前に。
そしてこの本を読んだら是非「これが人間か」「休戦」「溺れるものと救われるもの」その他レーヴィの本を読んでほしいと心から願います。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示

本の通販連携サービス

このページの先頭へ

×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。