higassiさんのレビュー一覧
投稿者:higassi
紙の本同志少女よ、敵を撃て
2022/03/27 10:53
アガサ・クリスティー賞史上最高評価も納得!
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「アガサ・クリスティー賞史上初めて選考委員が全員最高点を付けた」という触れ込みも納得の作品でした。戦闘シーンの圧倒的な迫力と、兵士一人ひとりの目線との対比が印象的です。実在の人物が登場することでのリアリティもあります。それぞれに「戦う意義・大義」を見つけようとする女性狙撃兵たちの姿は本当に切なく、被害を受ける市民たちだけでなく、兵士たちにとっても戦争では「誰も幸せにならない」ということを改めて痛感させられます。
2022/10/31 08:47
現代版「陰翳礼讃」
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「原田宗典さんの同級生」として以前から活躍ぶりは知っていましたが著書は初めてでした。著者と一緒に上空を旅しながら日本という国の奥深い美しさを教えていただく、現代版「陰翳礼讃」といった素晴らしい一冊です。「低空飛行」というタイトルは、日本の今後のスタイル--高齢化や人口減少も進む中での将来の脱炭素社会に向けた暮らし方の確立--にも通じるものがあり、観光をきっかけに様々なことを考えさせられました
紙の本レッドゾーン
2022/10/09 18:26
医療従事者たちへ感謝!
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「神様のカルテ」シリーズの夏川草介さんが、コロナ初期の医療現場を描いた作品。主人公の敷島先生だけでなく、第一話「レッドゾーン」の語り手である同僚の日進先生の視点もあり、未知のウイルスと闘う医療従事者たちの苦悩がリアリティを持って描かれています。第三話「ロックダウン」の終盤、娘の桐子ちゃんとのやり取りからは涙が止まらなくなりました。三笠先生を始めとする全ての登場人物が本当に魅力的でした。医療従事者たちへの感謝の思いを噛みしめながら読了。
紙の本20歳のソウル
2022/05/23 16:51
涙を拭きながら一気読み
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船橋市民にとって「市船」は存在感があり、部活に打ち込んでいるのであろう生徒たちを見ると「頑張れよ!」と声をかけたくなります。若い人の死に触れた作品なので、どうしようもない「やるせなさ」はあるものの、一方で羨ましいばかりの「若さ」「情熱」も描きこまれていて、涙を拭きながら一気読みしました。映画も観に行きたいです。
紙の本塞王の楯
2022/04/05 13:44
「圧倒的」な直木賞受賞作!
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話題の直木賞受賞作は、様々な意味で「圧倒的」という言葉がピッタリの作品。関ヶ原の戦いのまさに「開戦前夜」を舞台に、主役の匡介や仲間たち、ライバルの彦九郎に加え、通常の歴史小説では脇役的なポジションの京極高次や立花宗茂といった武将の魅力も十分に堪能でき、1冊とは思えない贅沢な読書タイムを満喫できました!
紙の本残りものには、過去がある
2022/02/27 19:34
著者の人柄が溢れる短篇集
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テレビでも広くご活躍の中江有里さんの連作短篇集。一つの披露宴を巡る登場人物たちの「過去」が描かれますが、一篇一篇に「丁寧に書かれた」と感じさせてくれる味わい深さがあり、著者の真摯なお人柄がにじみ出ているように感じました。
紙の本結 妹背山婦女庭訓波模様
2021/09/25 13:13
直木賞受賞作の「その後」
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直木賞を受賞した「渦 妹背山婦女庭訓 波模様」の続編。前作で完結と思っていたので、周囲のメンバーの「その後」を追うことができて嬉しい一冊。芸能への熱い思いは普遍的なのか、現代の話を読んでいるような人間模様も味わいつつ、一方で人生50年時代ゆえの晩年の短さに切なさも感じました。
紙の本FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
2021/05/09 17:31
話題のベストセラー書!
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話題のベストセラー書(図書館で予約していたのですが、なかなか回ってこないうちに休館になってしまい購入、、、もっと早く買うべきでした)。冒頭のテストはちょうどチンパンジーレベルでしたので、一章一章を噛み締めながら読みました。「訳者あとがき」にあったアンナさんの「自分自身を批判的に見ることも大事だということ」というコメントを胸に、ファクトフルネスを習慣化していきたいです。
2023/05/17 10:01
野中ともそさんワールド満開の作品
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ニューヨーク×音楽という野中ともそさんワールド満開の作品。長崎やちゃんぽんといった「和」の要素が親近感を与えてくれますし、一葦の控えめなキャラクターだからこそ人種融合やコロナ禍の描写も押しつけがましくないのが良いですね。明るい余韻が残るラストも◎。
紙の本水車小屋のネネ
2023/05/17 09:59
幸せな気持ちにしてくれる素晴らしい一冊!
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新聞連載時から(毎日読んでいたわけではないのですが)穏やかで温かみのある作品だと感じていました。ヨウムのネネの存在感からか、どこかジブリ映画を彷彿とさせる雰囲気で、理佐と律の姉妹に「となりのトトロ」のサツキとメイを重ねながら読みました。登場人物たちが幸福とは言いづらい状況でも、毎日の小さなことに喜びを見出していく姿を、押しつけがましくなく描けるのが津村喜久子さんらしさですね。私自身が律と同い年なので1981年からの10年ごとを感慨深く振り返りました。幸せな気持ちにしてくれる素晴らしい一冊です!
紙の本よき時を思う
2023/03/23 09:47
素敵な年齢の重ね方
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近年の宮本輝さんの作品は「素敵な年齢の重ね方」が共通するテーマのように感じます。若い頃から人間関係や仕事に誠実に向かい合い続け、経済的に成功しても誠実さを忘れない「素晴らしい日本人」像が、読者の気持ちを温かくしてくれます。本作は90歳を迎える徳子さんを中心に本当に魅力的な家族で、綾乃さんもこれからを見守っていきたい気持ちになりました。晩餐会の描写も秀逸です!
紙の本八月の銀の雪
2023/02/08 09:05
味わい深く心に小さな火が灯るような5篇
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直木賞や本屋大賞の候補作の名に相応しい、味わい深く心に小さな火が灯るような5篇でした。なんとなく庄野潤三さんの雰囲気を感じながら読んでいたら、伝書鳩や風船爆弾といった昭和の名残をモチーフにした作品が出てきて、ますますその感が強まりました。どことなく浮世離れした雰囲気なのに、理系ならではの詳しい情報がリアリティを生み出していて、その辺のバランス感も良いですね。
紙の本オオルリ流星群
2023/01/18 08:11
読書メーター OF THE YEAR 2022
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「読書メーター OF THE YEAR 2022」の一冊。登場人物たちが(著者もですが)私と同じ1972年生まれという親しみと、高校の同級生×天文台というドラマ「白線流し」に通じる世界観とで、心に沁みる物語でした。「流星群」のような一瞬の輝きを感じる時間を持てるように、前向きに心豊かに歩みたいという気持ちで読み終えました。
紙の本ドリフターズとその時代
2022/11/10 08:01
小説を読むような感動
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1972年生まれの私はまさにドリフの全盛期→ひょうきん族の台頭→夢で逢えたらの変遷をリアルタイムで経験するとともに、多くの芸人が「文化人」になっていく中でとことんお笑いにこだわる志村けんさんに「回帰」していった世代です。そんな感覚が見事に言語化されていて何度も頷きながらページをめくり、小説を読むような感動を味わえました。最後の志村けんさんの一言が全てですね。