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蘭奢待さんのレビュー一覧

投稿者:蘭奢待

1 件中 1 件~ 1 件を表示

いつかたどりつく空の下

2021/05/29 15:41

死ぬまでに、何度か読みたい。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

女優・吉行和子さん推薦!
<誰もが避けて通れない「生と死」の世界に、冒頭から巻き込まれる。
主人公と登場人物たちが魅力的で、
この人達となら一緒にいられる、と思った。>

帯のこんな推薦文に目を惹かれ、手にした小説「いつかたどりつく空の下」は、
読んで納得まさにこの通りの読後感であった。

葬送の世界を舞台にしているので、葬儀について初めて知ることも多く、その意味で学びがある小説ではある。だが、決して単なるお仕事小説ではない。心の底で自分の「死」を願う葬儀社に勤める一人の女性が、遺体や周囲の人間と触れ合う中で、ついに「生」に向き合ううようになるまでの過程を描いた、目覚めの物語だ。

純文学性も感じつつ、基本はエンタメ小説だと思う。話は決して暗くはなく、数々のドラマが展開されるのを楽しみ、先が気になってページをめくる手が止まらなくなる。脇の登場人物たちも、クイズ王の女子高生、遺体に優しく語りかけながら処置する文学好きな先輩、手首の数珠をジャラジャラと弄りながら難癖つけてくるパワハラ部長など、多種多様。つまり、人間が生き生きと描かれたドラマが繰り広げられるので、面白いのだ。

一方で、読み終えたあとに、つい自らの「死生観」まで考えてしまっていることに気づく。親や友の死と向き合ったことがある者ならば、この小説はなおさら心に響き、そして慰められるのではないだろうか。読後、小説そのものの余韻に止まらず、自らの体験や行先をじっくり考える機会が与えられた、そんな感覚がある。

誰かの死は永遠の別れだと思っていたけれども、生き続ける者の心にはずっと生きていくのかもしれない。
自分の死は怖いことばかりではなく、先に彼岸に逝ってしまった親しい人との再会を楽しめる場所なのかもしれない。

たとえば「死」に対してそんな風に新たな気持ちを持たせてくれた。そして、それゆえ今生をしっかり前向きに生きていこうという気持ちにもしてくれた。
エンタメ小説といいつつ、そんな深みを強く感じた。
たぶん自分の読書人生において、これは大事な一冊となった。

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