やまのさんのレビュー一覧
投稿者:やまの
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あるじなしとて
2022/06/14 01:12
平安時代の政治ドラマ!
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菅原道真には「学問の神様」「大宰府に左遷された悲劇の人」という、美しい、悲しいイメージを持っていました。そうしたイメージとは違う、政治家としての魅力溢れる菅原道真が描かれていました。
偽籍な私出挙など、当時の税制と、その抜け穴や不正行為の話なども、興味深く読みました。税制改革のため、細心に、大胆に根回しを進めていく菅原道真が、協力者や政敵とやり取りする様子はまさに政治ドラマのようで、好きな人にぜひ読んでもらいたいです。
個人的には、讃岐守時代のよく癇癪を起こす菅原道真と、斉正との半ば喧嘩しているようなやり取りがとても好きです。讃岐守時代の前半は、抜け目のない濃いキャラクターも多く、そうした人々のなかで苦戦する道真を応援したくなります。
利生の人 尊氏と正成
2022/03/04 21:50
何度も味わいたくなる描写が随所に。
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後醍醐天皇、足利尊氏、そして楠木正成。室町初期の混乱期を生き抜いた三人は、「利生」という同じ志を共有していた。最新の研究をもとに、新しい足利尊氏像を描いた作品です。
「利生」とは、仏や菩薩が人々に利益をもたらすという意味。「民衆が利生を為し合う世」という理想を抱き、悩みながら進み続けた後醍醐天皇、そして同じ理想のもと、敵対しようとも其々の本分を為そうとする尊氏と正成の姿に胸が熱くなりました。
迫力ある馬上の組打ちや騎馬武者の素手の格闘シーン、温かい気に満ちた、正成の焼き飯作りの場面など、何度も味わいたくなる描写が随所にあります。
和らぎの国 小説・推古天皇
2022/03/04 21:47
朗らかに笑い、周囲を照らしていく推古天皇
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推古天皇に即位した炊屋姫の生涯を描いた作品。隋や新羅との外交問題、国内の政争など、内外ともに波乱の時代のなか、炊屋姫は厩戸皇子とともに仏教の興隆、内政改革を進めていく。どんなに苦しくとも朗らかに笑い、人の心の中にある仏性を信じ、周囲を照らしていく炊屋姫は「神代の昔から続く、この国に在る真心」を体現した人だったのではないかと思いました。
美しい大和の国の描写、丁未の乱などの迫力ある戦闘シーンに加えて、登場人物も魅力的なキャラクターが多く、結末を知っているのにハラハラしながら読みました。
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