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善き奈さんのレビュー一覧

投稿者:善き奈

1 件中 1 件~ 1 件を表示

世論を動かす仕事

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私はユーゴスラビアの紛争というと粉塵舞う中、多民族がお互いを戦車などでパッカバッカと撃ちあっている、というイメージしかなかったのだが この本によると当時はセルビア人が悪でモスレム人は被害者という見方が強かったらしい。 当然実際にはそんな単純な話ではなかったのだが、書ではどのようにモスレム人に同情と支持を集めることに成功したかを追っている。

「セルビア人が悪という風潮が存在する」という前提のためか、文中ではセルビア寄りである。 あとがきでは「セルビア、モスレム、クロアチアすべてに責任がある」と評しているが、 本文を追っていくにつれ、悪魔のように頭が切れるアメリカ人工作員と大ぼら吹きのモスレム外相が どんなに悪評を流されても「真実はいずれ明らかになる」と悠長にかまえているセルビア側を陥れ あれよあれよと世界のみなし児にされてしまったような印象をあたえる。 さらにはところどころ挟まれた日本の外交能力のなさへの言及が いつ日本がセルビアになってもおかしくないぞ、と警鐘を鳴らしているかのようだ。

「真実はいずれ明らかになる」というのは確かにその通りで 現地で働いていた国連の将軍の証言やガーリ国連事務総長の三民族に対して停戦要求など 幾度もストリームは作られようとされた。 だがそれをPR工作員は見事な手腕と運で握りつぶし 本当に真実が明るみになった時には、多くのセルビア人の名は不当に傷つけられて死に、ミロシェビッチは意中で死を迎えたのである。

我々のような流れてくるTVニュースをただ見ているだけの立場の人間からすれば 国連がセルビアを非難すればそれが正しく、セルビアが攻撃をやめれば平和になると思っている だが、情報戦に関わったの誰ひとりとして市民の平和など考えていないのだ。 誰一人戦火に遭っている市民のことや、停戦や和解について考えもせず、か弱い顔をしてマイクを握り「敵を殺せ」と煽り立てる。 情報戦というのは攻撃を仕掛けている側が平和的かつ正義の使者に見える。 戦場を我々はTVの前で目の当たりにしているのに、誰もそれが戦争であることに気づかないのだ。

セルビア側のPRを断った弁護士が言うように、PRに使う費用があるのなら平和に使うべきだった。 だが、これは紛争にかかわるすべての民族に言わないと意味が無いだろう。

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