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coziroさんのレビュー一覧

投稿者:coziro

3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本

紙の本現代思想入門

2022/04/24 14:31

現代思想に興味がある人、あるいは全く興味がない人にもぜひ読んでほしい1冊。

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私のように現代思想を勉強したいのだけど、何から手を付けてよいかわからない人のための入門書。
著者の本は『勉強の哲学』もそうだが、徹底的に読者に寄り添ってくれる。

こんな感じだ。

『確認ですが、本書においては、デリダに「概念の脱構築」、ドゥルーズに「存在の脱構築」を見て、最後のフーコーが「社会の脱構築」なのでした。』
と、デリダ、ドゥルーズに続いてフーコーの解説に入る前に、おさらいをしてくれる。
(ちょうど前の記述を忘れかけている頃合いを見計らって)
あるいはまた、『ここ、かなり難しい話だと思います。ですが(中略)「否定神学批判と合わさることで理解できると思いますので(中略)大丈夫です』と、迷路に入りかけて不安な読者を安心させてくれる。

この1冊で「現代思想が分かった!」とはとてもならないし、「なんとなくわかった」までも難しいかもしれない。
けれども、近代以降の思想の流れはざっくりつかめるし、その中で入門書の紹介があり「よし、ほかの入門書も読んでみよう!」という気にさせる。
おまけに付録として哲学書の読み方のレクチャーまである。(これがまた秀逸)
まさに手取り足取りで、恐る恐る現代思想の入り口をのぞき込んでいる初学者を導いてくれる。

「おわりに」にある次の一文に、著者の熱い思いが吐露されていて、私など、涙ぐんでしまった。
『本書は、「こうでなければならない」という枠から外れていくエネルギーを自分に感じ、それゆえこの世界において孤独を感じている人たちに、それを芸術的に展開してみよう、と励ますために書かれたのでしょう。』

理想的な、入門のための入門書。

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紙の本

斎藤さんは「脱成長の人」ではない

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『人新世の資本論』に対して「生産性の向上を否定する脱成長ではダメだ」とする批判がみられるが、
本書を読めば、斎藤幸平氏の思想がそのような単純なものではないことがわかる。
斎藤氏と3人の気鋭の論客との対談集である。

第1部、マイケル・ハート氏との議論では、民主主義の枢要を選挙による政治参加ではなく市民による社会変革運動に見て取る。
社会的共通資本<コモン>をより民主的、自律的に管理するための変革が必要であるという。
そのためには古き良き時代の社会民主主義へ回帰するのではなく、テクノロジーを武器として用い、
資本家に搾取されている生産手段を市民の手に取り戻さなければならない。
しかし問題は、そうした民主的な運動は政治的な力に変換されづらく、長続きしないということだ。
それに対しては、ミュニシパリズム(地域主義)の試みが行われているが、まだ答えは出ていない。

第2部のマルクス・ガブリエル氏との対談はとてもラディカルな内容だ。
ガブリエル氏はニーチェ以降のポストモダニズムへ続く思想の流れを否定する。
ポストモダニズムが相対主義へと繋がり、いわゆる「ポスト・トゥルース」と呼ばれる危機的な状況を生んでいるとする。
このことは、今まさに行われているプーチンのウクライナへの侵略とその論理にも明確に表れている。
誰が聞いても明らかな嘘や、正当化しようのない理屈をプーチンは平然と口にする。
相対主義に打ち勝つためには、自明なものを自明であると認め、普遍的価値を打ち立てることが必要だという(=新実在論)。
多様性の時代だと言われて久しい今、彼の啓蒙主義的な思想はかえって新鮮に感じられる。

第3部のポール・メイソン氏とはポスト・キャピタリズムについての議論が展開される。
ポスト・キャピタリズムとは、資本主義下での生産力の向上が情報技術によってもたらされる時代の到来によって、
モノやサービスを追加生産するためのコストが限りなくゼロに近づく(データのコピーにコストはいらない)。
そのためにあらゆるものが低価格でいくらでも入手できる「潤沢な社会」が出現し、それによって資本家は利潤を蓄積することができなくなり、
ついには資本主義が終焉を迎えるというポール・メイソン氏が提唱する概念だ。
しかし、現実はどうもそのような方向には進んでいないように見える。
それは、GAFAを始めとする資本家たちがポスト・キャピタリズムの力に抵抗しているからだと言う。
市場や情報を独占することによって、情報技術がもたらす価値の民主的、水平的な敷衍を妨害しているというわけだ。

他にもベーシックインカム、グリーン・ニューディール、AIとシンギュラリティなど現代的な論点をめぐって刺激的な議論が繰り広げられる。
新書としてはボリュームのある内容だが、いずれの対談も興味深くてあっという間に読んでしまった。
斎藤氏がただの聞き役に甘んじず、積極的に反論を仕掛けているところも良い。

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紙の本

広範かつ重厚だが、仕上がりが雑

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

コロナ、環境問題、科学技術、国家と権力、核・・・etc.
文明(=人類の智慧)が直面する様々な論題の有り様を、架空の鼎談形式でわかりやすく陳列してみせる。
内容は広範かつ重厚で読みごたえがあり表現も巧みなのだけれど、誤字・脱字が多く、ところどころ日本語の用法もおかしい箇所があり残念。
4,620円もする本の割には、雑な仕上がり。
次版での改訂を期待。

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