「ぐ」の人さんのレビュー一覧
投稿者:「ぐ」の人
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思考を哲学する
2022/05/07 04:48
コインの表裏でいえば片面だけでなく,両面を見る視点が大事
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初レビューします。この書籍はタイトルに惹かれ、購入しました。
一読済みです。正直な感想としては、前半は読みやすかったけど後半は疑問符が色々と浮かぶ感覚でした。本書はどちらかといえば、理系寄りの人文書という印象です。備忘録として残しておきます。
本書の構成は第1講から第7講がいわゆる理論武装にあたるものであり、重要な核になるかと考えます。特にボームの物理学の理解ができなければ本書の全体像を俯瞰することはかなり難しいと思われます。
本書の核心というのは、読者の私からすると140頁に記載された一文
「束がどこかの段階で意識を生じさせ、(中略)束が思考の唯一無二性を、したがって唯一無二の私を私たらしめているのではないか」(140項)
に尽きるのかなと感じました。その可能性を根拠づけてくれるものがボームの物理学であると指摘し、それに依拠しているというのが本書の独自性であると考えます。
参考引用文献にも記されていますが、ボームの「断片と全体」、「全体性と内蔵秩序」は本書の基盤であり、本書全体を俯瞰する上では、両書の読了は避けて通れないのだろうと感じました。本書では、この点を避けても構わないような表現がされていますが、やはりこの点を了解できない限り、本書全体の了解は難しいように感じました。
一方で、第8講から第14講が具体的な分析や現象に対して第1講から第7講で得られた示唆を当てはめて解釈したものを述べているように感じられました。これについては、私自身は正直よくわからない点が多く、疑問符が沢山つきました。事実として受け入れることはたやすくすんなり受け入れられるものも多かったのですが、本当にそうなのかといわれたらわからないということです。
国語科教育研究の中で、読書というのは他者になりきって筆者の考えを推察していく作業であり、読む間は思考を考えなくて済むことができるという主張を見た記憶があります。著者は書籍や読書の存在について一切の言及をしていません。
著者は読書と考えることの関係性についてどう考えているのかについて、知りたいと感じました。つまり、考えるための訓練や考えるための言葉の獲得に読書が必要という考え方なのかどうかについてです。
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