ゆりなさんのレビュー一覧
投稿者:ゆりな
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ブラック・ノート抄
2022/07/19 02:31
ラストまで読んで震えた
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(あらすじ)
この本の著者(中村邦生氏)のもとに、笠間保(かさまたもつ)という名の男からあるものが届く。それは、段ボールに入った真っ黒な四十冊のノートだった。笠間によると「ぜひお読みいただきたいのです」とのことだが、このノートが雑文の寄せ集めのようでまるで要領を得ない。仕方なしに気の向くままに読んでいくことにする著者だが、不思議と、そこに書かれた文章から思い出すこともあって…。本書は、笠間のノートの文章に、著者が寸感を添えるという形式で書かれていく。
(感想)
・様々な文章に出会えた
本作は、笠間の書いた文章と、著者の文章の両方が掲載されている。さらに、笠間の文章は、体験記、エッセイ、小説など多岐に渡っている。加えて、著者の博識による古今東西の書物からの引用が並ぶ。こうして様々な文章に触れることで、お気に入りの文をみつけることができる。例えば、「写真に撮るということは、相手の「死の運命、はかなさや無常に参入する」ことなのである」(51ページ)。また、両者の文章を自分なりに分析をしてみたり、感想を書いたりしても面白いかもしれない。(それこそが、著者の隠された目的の一つなのではないか、とも思う。)
・ラストを読んでほしい
ノート四十冊分の笠間と著者の交流(?)は、どこまで続くのか。笠間(時にはその姪までが登場する)の書き散らし、著者の冷静な眼、ふと訪れる記憶の喚起。ネタバレになるのでこれ以上は書かないが、ラストの数ページに到達し、読み終えた際には、微かな恐怖と荘厳さを感じた。
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