sorさんのレビュー一覧
投稿者:sor
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読書術
2023/02/27 09:19
旅をするように、恋をするように。
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p.iii
どういう本を読んだらよかろうか、ということは、一般的には決められません。どういう女を口説いたらよかろうか、という、だれにも通用する標準などあるはずがないのと同じことです。
p.08
読書はまた愛の行為に似ています。社会の全体から切り離されて、あなたはただひとりの相手との関係のみに生きる。
のっけから、引き込まれた。
本を読み、得られる、一種の快感や恍惚はこれかもしれない。
受け身ではないということ。
映画では替え難い満足感を、簡潔な言葉で言い表してくれた事に感謝を述べたい。
(勿論、映画も素晴らしい表現芸術なので、好きには変わりないのだが。)
5章の「本を読まない「読書術」」の中の、
読んだふりで話をして、相手から話を引き出す話の運び方は面白かった。
これはどんなお喋りや会席の場でも通ずるし、
今まで年長者との会話の大半はこれを反射的にやっていた気がする。
相手を乗せて、喋らせて、大いに学ぶ。
博識な方ほど、どんどん流れは止まらないのだから。
それがまた本を読むことに繋がっていくというのだから、面白い。
・知的好奇心の無制限な満足。
・別のもう一つの世界へはいって行くこと。身のまわりの世界からの出発。
・日本語の美しさと魅力を知るということ。
本を読む愉しさは、限りない。
あまりにも格好がよく、ウィットに富んだ
流れるように美しい珠玉の言葉の連続で、
著者の知性に酔ってしまった。
著者の別の本を読んだことがあったが、軽やかさが違う。
高校生へ向けた、からかもしれない。
これはもう、本当に、愉しんで書いたのだろうなぁと伝わってくる、本への愛情が詰まったエッセイ。
読書があまり好きでない方にも、ぜひ読んで貰いたい。
1962年の文章というのに驚き。
まったく色褪せない。
旅をするように、恋をするように。
いつも鞄には森鴎外を潜ませて。。
今日も、新たな出会いを楽しみに、本を愛でましょう。
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