燃え尽きた銀行員さんのレビュー一覧
投稿者:燃え尽きた銀行員
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新時代の中小企業経営支援の考え方 伴走支援・再生支援の現場から
2023/02/28 00:49
中小零細企業支援にかかわる方に幅広く読んでいただきたい。
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第1章では、
金融機関・支援者に限らず、中小企業支援に必要な基本的な考え方と知識が整理されている。とくに財務実態把握については、(箱で表現する筆者の独創性あふれる)図解が分かり易い。また、要償還債務に狭義と広義の視点があることを筆者は指摘しているが、これは中小企業支援における盲点だった。
経営者保証の問題については、「第3者保証が消えてしまったようにいずれこの世からなくなる」という発言を暴論であると切り捨ててある。この点については、銀行法第一条で「預金者保護」が謳われており、極力個人保証はいただかない方向で取り組む必要を認めながらも「必要な保証はある」という筆者の主張に共感する。
第2章では、
伴走支援と本業支援を定義したうえで、ビジョンを重視し、不確実な時代の環境変化に柔軟に対応する必要性を、理論と実例をもって分かり易く解説。とくに事例は秀逸である。
第3章では、
中小企業の事業再生に取り組むプロジェクト・マネージャーの苦労を、関わる専門家・経営者との間の実例で生々しく紹介している。金融機関職員にも支援専門家にも辛口の記載ではあるが、もと銀行員で融資管理部門およびサービサーでの経験を持つ筆者の「つぶやき」は、銀行員にも支援者にも刺さるものがある。
本書は、
中小企業支援に取り組む者の最低限必要な知識と心構え、伴走支援の実務と続き、最後に再生支援で結ばれている。この構成の書物はこれまで見たことがない。現場でたたき上げた3人の共著であり、説得力も十分である。新たなチャレンジがされた名著だと思う。
企業の持続性を見極める決算書の読み方と業種別のポイント
2023/02/28 21:24
数字が苦手でも・・・とありますが
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「数字が苦手でもよくわかる」、とありますが・・・
前半は単語と比率の解説が中心に感じます。またその解説もどこにも書いてあるようなもので表面的です。過去のどなたかの解説か用語辞典を読んでいるような感覚です。
例えば「固定長期適合率は100%を切った方が望ましい」という記述がありますが、状況によっては必ずしもそうとは言えず、かえって当該企業には望ましくないケースも出てきます。そのような点に解説が無いため、若い読者は「100%を切ってれば良い」と錯覚してしまう、そういう危険を感じます。
後半は「業種別の決算書のポイントから企業の持続性を見極める」という狙いのようですが、企業は100社100様です。例えば、中小企業は「事業の歴史」「大都市部に立地するか地方に立地するか」等で、バランス上の固定資産の大きさは変わってきます。また「自社物件か・賃貸か」でも、バランスと収益構造は大きく変わってきます。PLに於いても、平均的と言われる数値とかけ離れた数字をあげている企業のなかに、優れた独特のビジネスモデルが隠れていたりします。そういった企業を「粉飾をしている」と捉えてしまう危険があります。また、業種の特徴的な決算だと見える企業に大きな粉飾が隠されているケースが多いですね。
「この業種は、こういうもの、だからこう見るべきだ」的な知識に繋がりそうで、やはり危険を感じます。
「若い経験も知識もまだ十分でない金融マンにとって本書はどうか?」という視点で読んだため、厳しい評価をつけさせていただきました。
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