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y0sh1_Yさんのレビュー一覧

投稿者:y0sh1_Y

2 件中 1 件~ 2 件を表示

バッシングを跳ね返す「希望」がもらえる1冊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

敗戦後日本の性教育を巡るバッシングとブームについての歴史を取り扱っている。
歴史と言っても、堅苦しさは一切感じない。それは、研究のための歴史ではなく、この社会を生き延びるための歴史という明確な目的に沿って書かれた一冊だからだろうか。
大学生に向けた授業テキストとして、あるいは、この分野を初めて学ぶ研究者の研究会や、性教育に従事する教育者らが自分たちの実践を振り返るための読書会でも使えそうなデータと考察が良い。

最終章で書かれている性的マイノリティの居場所に関わる鼎談は、デマに基づいたトランスジェンダー排除が巻き起こる今日だからこそ知っておかねばならない事実なのにもかかわらず、理解が深められていない点である。まずこの事実から知っておきたい。

バッシングに関するテーマの書籍は数あれど、ここまで前向きに「希望」を描き出せた書籍は少ないだろう。ここで描かれた「希望」は、「絶望」の中から見つけだした希望だ。ジェンダー・セクシュアリティに関する悲惨な現状を作り出したバッシングから前向きな「希望」が見出せるなど、なんだか矛盾している感じがするが、読めばその意味は一発でわかる。

既に来ているトランスジェンダー排除、そして来るべき性教育バッシングに備えて、いまこそ読むべき良書である。

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気づく立ちあがる育てる 日本の性教育史におけるクィアペダゴジー

2023/08/14 21:07

「今、始まった」という誤解を解くために

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

筆者の2冊目の単著(『「日本に性教育はなかった」と言う前に』柏書房、2023年)を先に読んだ。本書は、その「前提」にあたる1冊のようである。

正直、この本に書かれているような歴史を私は全く知らなかった。
昨今耳にするようになった「性の多様性」。教育現場では、ついこの間始まったのだろうと思っていたが、まさか1980年代後半にはすでになされていたとは!

「今、始まった」という誤解は、単に歴史から実践者の姿を消し去ることだけでなく、実践の蓄積に学ぶというチャンスを奪うことになっているのではないか。この書を読むことで、まず自身の誤解を解きほぐすことができて良かったと、率直に感じた。

本書で取り扱われている3人の教師たちの実践の面白さはもちろん、彼/彼女らの生い立ちに着目したことで、実践者らの共通性が見えてきている。
本書は、氏の博士論文がもとになった書籍だという。博士論文がもとになっているというのに、本書はとても読みやすい。筆者の読み手への工夫を感じる一冊でもある。

2冊読み合わせることによって、戦後日本の性教育、そこで行われていた「性の多様性」に関する教育実践の変遷のおおよそがつかめた。このテーマで研究論文を書く時の基礎文献になることは間違いない。

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