あかへびさんのレビュー一覧
投稿者:あかへび
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2025/02/12 03:11
「思想」こそが本質である
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「(特定の場合において)読書は有害である」という主張が切り取られ、一人歩きしてしまっているこの『読書について』であるが、最初の数十ページを読めば、現代でこそ広く読まれるべき、深い含蓄と啓蒙に満ちた名著であるとすぐにわかる。
本作品収録の『思索』において、ショウペンハウエルはこう述べる。
「つまり自ら思索する者は自説をまず立て、後に初めてそれを保証する他人の権威ある説を学び、自説の強化に役立てるにすぎない。ところが書籍哲学者は他人の権威ある説から出発し、他人の諸説を本の中から読み拾って一つの体系をつくる。」(10ページ)
ショウペンハウエルが批判するのは、上の引用における書籍哲学者である。すなわち彼が批判するのは、当然ながら読書そのものではなく、思索を放棄し、本から得た借り物の思想をつなぎ合わせて自分の主張とすることなのだ。
美辞麗句による過度な装飾を嫌うのも、己の思索によって生まれた思想こそが全てであるという点で一貫している。「思想の増大をまずはかるべきである」(106ページ)という一文は、本書の根底に流れる著者の主張を端的に表していると言えるだろう。
2025/02/12 03:33
傑作とはいかないまでも、魅力的なミステリ
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中近東シリーズの名作。題名にはメソポタミヤとあるものの、実際のところ内容にはあまり関係なく、ある種クローズドサークルに近い発掘現場を舞台に話が展開される。
最大の特徴はなんといっても、語り手がお馴染みヘイスティングズでなく、レザランという若い看護師であることだろう。今作のみの登場となる彼女だが、実にしっかりした人物であり、本業のみならず人付き合いも器用にこなし、観察眼も上々といった具合である。彼女の語りはヘイスティングズのそれとは違う方向性の魅力を持ち、事件発生に至るまでも、実に楽しく読み進める事ができる。
謎解きの方も申し分ないが、比較的あっさりしていると言えなくもない。実際のところ、ミステリとしてのこの作品の魅力は、脅迫状や窓に現れた顔などのホラー的要素が醸すおどろおどろしさによる部分が多いので、謎解きの塩梅はこれぐらいで丁度いいのかもしれない。
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