一臨床医さんのレビュー一覧
投稿者:一臨床医
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痴呆を生きるということ
2003/07/29 17:05
痴呆老人に寄り添って
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痴呆患者の心に寄り添って、その心のありようを詳細に生き生きと描き出しています。
他の人を世話することを得意とする人が、痴呆となって、世話をされることを受け入れなくなったとき、その人はどのように反応するか、それがどのようにして「もの取られ妄想」という痴呆特有の妄想につながってゆくのかが一人の患者さんの病歴を丹念にたどりながら、描かれます。
痴呆患者の来歴と生活環境と脳障害とそれぞれに公平に目を配って、患者さんを診てゆくのは、経験ある精神科医の著者だからこそでしょう。
痴呆老人に対する対応のマニュアルではありません。痴呆のひとの心の中を知っていることで、どういう違いがあるのかという反論もあるでしょう。けれど、痴呆の人の心のありようを知らずに、本当にケアができるのでしょうか。
自分の家族がケアを受けるとき、この本に書かれていることを承知している人にケアをしてもらいたいと思います。
最後の2ページは衝撃的で、この本の本来の目的を示唆するものです。著者に深い敬意を覚えます。
アメリカ臨床医物語 ジャングル病院での18年
2003/07/26 14:33
ハーバード医学部だけがすごいのではない
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25年にわたり、カリフォルニアというアメリカの医療先進地で、臨床現場を踏んできた医師であり、大学教授である著者が日本の医療に愛情をこめて投げかける提言の書で、日本の医療に携わる人だけでなく、患者となる可能性があるひと、すべての市民が読み、今後の日本の医療の方向を考えるときの参考にしてほしい本です。
カリフォルニアの市民の医療を見る目は厳しく、医師たちもそれに答える責任を負います。
ですから、一度の、それもペーパーテストだけで得られる医師免許を持っていれば、それで一人前の医師と認められ、一生の生活が保障されることはありません。資格取得後も勉強を怠らず、大学の教授でさえも年に1度は専門の看護婦から救急処置の講習をうけます。問題ある医師が免許を停止・剥奪される数がカリフォルニアだけで年50人いるということは、カリフォルニアの医師が信用できないということでなく、それだけの厳しい品質管理がされている証拠です。
互いにプロ意識をもったもの同士が患者の治療というごまかしの効かない現場で切磋琢磨するからこそ、医療の水準が保たれ、また医師の誇りも生まれます。
出身大学がどこであろうと、プロとしての実力が問題なのです。著者が教えた研修医のベストスリーのひとりはハーバード出身だったけれども、ワーストスリーはすべてハーバード医学部であったといいます。
カリフォルニアで医師であり続けることは、なかなか容易ではないようです。しかし、だからこそ、やりがいをもって、毎日の診療に向かうことができるのだという著者の言葉には説得力があります。
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