スギモトさんのレビュー一覧
投稿者:スギモト
| 7 件中 1 件~ 7 件を表示 |
星を継ぐもの
2001/03/31 05:11
センス・オブ・ワンダー!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
月面で発見された深紅の宇宙服を着た死体。 綿密な調査の結果、死後五万年以上経過していることが判明した。 一体彼は何者なのか?
もう最高です。 おそろしくSFらしいSF。 まさに“センス・オブ・ワンダー”というやつで、このアイディアだけでご飯三杯はいけます(笑)
文章はお世辞にも洗練されているとは言えないし、 むしろ物語は“二の次”的な印象もあります。
でもね、トリックが出尽くして文学へ傾斜してゆくことになったミステリとは違い、 SFは“面白いハナシ”を考えた人が勝ち!
『星を継ぐもの』はまさにそういうお話で、 もうこれでもかとばかりに謎が謎を呼び、その解決は素晴らしくSF的で…。
作者のホーガン、これ書いてるとき楽しくてしょうがなかったんだろうなあ、という気がします。 多少のキズはあるものの、というかもうキズだらけの気もしますが(笑)、 これはもうアイディアが全て! なんてったって、ご飯三杯ですもの(笑)
【解説より抜粋】
小説として、SFとして、おそらくは数多くの欠点を持っているこの作品には、そのすべてを帳消しにする魅力がある。 読んでいる内に、胸がワクワクしてくるのだ。 サイエンス・フィクションなのだ、これは。
===鏡明
そう、胸がワクワクするのです。
オススメ!
Loud Minority
フィーヴァードリーム 上
2001/03/31 04:22
吸血鬼と人間の間に友情は成立するか?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ああ! オールタイムベストには必ず入れる、大好きな小説がいつの間にか重版されていました! ず〜っと版元品切れで、もう二度と手に入れることは出来ないんじゃないかと思っていた大好きな作品です。
刊行当時、
「珠玉の青春小説にしてグルマン小説でもある…」<うろ覚え
みたいな感じで北上次郎さんが絶賛してました。吸血鬼と人間の間に友情は成立するか? というめちゃめちゃ魅力的なテーマで紡ぎ出された物語。
舞台は南北戦争前夜、蒸気船全盛時代のアメリカ南部。じっくりと書き込まれた時代背景、効果的に張り巡らされた伏線、男と男の信頼と友情の物語が重厚に積み上げられて、至福の時を味あわせてくれます。
“男と男の信頼と友情”なんて手垢のついたテーマですが、 主人公マーシュ船長とジョシュア・ヨークの間には種族の壁(人間と吸血鬼)が立ちふさがっていて、その状況の困難さが友情の美しさを一段と気高いものにしています。
信頼、友情を求める二人、しかし二人の関係は“捕食者と獲物”というハードな設定。もう、クラクラきちゃいます。
「珠玉の青春小説にしてグルマン小説でもある…」(北上次郎)
というのは、このお話、妙に食事シーンの描写が細かいです。おまけに出てくる料理のうまそうなこと!
給料日にはギネスとジャンバラヤ!を毎月の楽しみにしているぼくにとって、アメリカ南部料理は思いっきりツボなので、そういう意味でも○! とにかく素晴らしい小説です! ゼヒゼヒ!
ぼくが持っていたの(<心の友にあげた)とはカバーが違っちゃってますが、重版されたことを知ったときは本当にうれしかったです♪ Special Thanks!>東京創元社
Loud Minority
泥棒は野球カードを集める
2001/03/31 05:09
祝!シリーズ再開
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ローレンスブロックというと、日本では“アル中探偵”マット・スカダー・シリーズの方が断然有名。『ミステリ・ハンドブック』(ハヤカワ文庫HM)の「ミステリ通になれる作家論特集」でも、 ブロックのところは“マット・スカダー論”になっています(笑)
とっても魅力的な“泥棒さん”(←こういうイメージがあるのです)バーニイ・ローデンバーが活躍するこのシリーズ、 やっぱり、“泥棒シリーズ”と呼ぶしかないのでしょうか? 今ひとつ盛り上がらない理由はこのネーミングにあると思うのですけれど…。
閑話休題
およそ12年の空白を経て再開されたシリーズ6作目。通常、シリーズものを人に勧めるときは、多少不都合があっても1作目から読むことを勧めるのが普通です。でも、久々に“バーニイもの”を読んでみて、これは、ちょっと…、と今回は考えを改めました。
シリーズものを最初から読むことを勧めるのは、レギュラーメンバーがシリーズの魅力になっている場合が多いから。もちろん、この、“バーニイ・シリーズ”にも当てはまるのですが、作者がこの作品を書くまでに12年間の空白があったことが、問題。 もちろんいい意味で(笑)
この書評を書くにあたって、未読だった『泥棒は抽象画を描く』と、文庫入りした『泥棒は野球カードを集める』を一気に読んだのですが、ブロック、12年の歳月を経て格段に上手くなっています!
もともと文章力には定評のある作家で、その魅力がよくわかる彼の短編集(同じくハヤカワ文庫HM)を人に勧めることが多かったのですが、 本作を読んで、改めて彼の力量に唸らされました。 全く上手い!
軽妙な会話、巧みなプロットを生かす、“華やかな軽み”とも言うべき、洒落た文章。 スカダーものを読むときはついつい過剰に感情移入してしまい、我を忘れている部分がありますが、こういう“よくあるハナシ”を読むと、彼の上手さが際立ちます。
(スタイル自体はオーソドクスな謎解き)
愛書家でプロの泥棒バーニイが活躍するユーモア・ミステリ。 パーネル・ホールの『探偵になりたい』(ハヤカワ文庫HM)なんかが好きなヒトは、きっと気に入ります♪ そういえば、こっちもしばらく読んでないや…。
Loud Minority
このささやかな眠り
2001/03/31 05:10
ハードボイルド…
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ゲイでヒスパニックの弁護士ヘンリー・リオスを主人公にしたハードボイルド・ミステリ。 ゲイ・ミステリ版『長いお別れ』と評されたシリーズ第1作。
キワモノと思われる向きもあるかもしれないが、ホモ・セクシャル、ヘテロ・セクシャル関係なしに非常によくできた1冊。 ゲイを主人公にしたミステリというと、ジョゼフ・ハンセンのブランドステッター・シリーズ(ハヤカワ・ミステリ)が有名だが、このマイケル・ナーヴァもなかなか捨て難い。
この作品、ハードボイルドのオーソドックスな仕立てそのままだが、主人公は巷の探偵たちがぶつかる障害のほかに、ゲイであること、ヒスパニックであることに対する偏見とも戦わなければならない。 己の矜持を貫くことが、ハードボイルドに要求されるものならば、このヘンリー・リオスの戦いのなんと厳しいことか。
事件を追うにつれて、ヘンリーの恋愛模様も絡んでくるのだが、じつはこれがまたよくできている。毛深い足にほおをすりよせる趣味はないが、へたな恋愛小説読むよりぐっと来ます(笑)
訳はそのスジでは定評のある柿沼瑛子。 ミステリ・ファンなら押さえておいて損はない!
Loud Minority
聖女の遺骨求む
2001/03/31 04:56
“鬼平”12世紀英国バージョン(笑)
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
修道士カドフェル・シリーズの第1作。 12世紀のイングランドを舞台にしたミステリ。 なんといっても魅力的な主人公ブラザー・カドフェル!
彼はかつて十字軍の遠征に参加した過去を持ち、中年を過ぎてから心の平穏を求めて修道生活に入ったという元船乗りの異色の修道士。イスラムの地で身につけた医療技術を買われて薬草園の管理を任されている。院内に俗世間のもめ事、刃傷沙汰が持ち込まれると、俗世の事はよくわからんとばかりに、彼にお呼びがかかるというわけです。
ミステリのスタイルはとっているものの、基本的には人情話。池波正太郎の鬼平に近いノリでしょうか。事件に巻きこまれた人々に対するカドフェルのあたたかい視線がとってもいい感じ。
登場人物の多くがシリーズに再登場するので、1作目から順番に読むことをオススメします。
Loud Minority
動物園にできること 「種の方舟」のゆくえ
2001/03/31 04:45
目からウロコが…
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
動物が好き、生き物が好き、ということは簡単に口に出来ます。 でも、大人になった今、「動物園が好き」と、なんのためらいもなく言うことが出来るでしょうか? 話題になった“新解さん”、『新明解国語辞典 第4版(3刷)』(三省堂)で“動物園”をひくと、
【動物園】
生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、捕らえてきた多くの鳥獣・魚虫などに対し、狭い空間での生活を余儀無くし、飼い殺しにする、人間中心の施設。
という説明がされています。 まさにここにある説明こそが、ぼくたちに”複雑な感情”を抱かせるものでしょう。
この『動物園にできること』では、 動物園とは何なのか? 動物園の役割、目的、目的達成のためのアプローチにはどんなものがあるのか? という問いを、著者が訪れた、動物園先進国アメリカの動物園の多様な試みを通じて解き明かそうとしています。
Zoo(動物園)とMenagerie(見せ物小屋)の違いとは? 檻や鉄柵に代わり、主流となったランドスケープ・イマージョン(Landscape Immersion)と呼ばれる展示手法、その是非。動物園が果たすべきは、地域住民への環境教育なのか、それとも絶滅に瀕した種の保存なのか?
取り上げられるテーマはどれも目新しいものばかりで、(少なくともぼくにとっては)目からウロコが落ちる思い、とはまさにこのことです。
子供の頃は大好きだった場所、 でも大人になってからは複雑な感情なしには考えることの出来なくなってしまった動物園を考えるために、動物園が好きだった人、好きな人、すべてに読んで欲しい1冊です。
Loud Minority
ためらい
2001/03/31 04:29
今朝、港で猫の死体を見た。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
今朝、港で猫の死体を見た。
という一文ではじまるこの作品、 ぼくが最も好きな小説を挙げろ、と問われたときに真っ先に思いつく作品の一つで、滅多に再読なんぞしないぼくにとって、数少ない愛読書ともいえる存在だったりします。まあ、凹んだときに手に取りがち…というのもあるのですが(笑)
トゥーサンと言えば、なんとなく浴槽にもぐりこんでしまった“ぼく”、を描いたデビュー作『浴室』(集英社)が有名ですが、ぼくが初めてトゥーサンを読んだのはこの『ためらい』で、その後、他の作品も繙いたものの、やっぱり一番のお気に入りはこの『ためらい』“ハナシのない話”が好きなのですが、これはその典型です。
冒頭に引用した一文に続いて、ベビーカーに乗せた息子を連れた“ぼく”の日記のような独白のような文章が続いていくのですが、スジもなければ、これといったヤマ場もなく、ちょっぴりミステリっぽい雰囲気が出てきたかと思えば、そこはそれ、物語はこちらの予想通りには進みません。なにせ、“ハナシのない話”なので。
それとなくミステリっぽい匂い、サスペンス風な雰囲気を漂わせたりもするのですが、“ぼく”の思いこみだったり、妄想だったりしそうな文章が行き着く先は…。
なんとも形容しがたい小説で、人に勧めるときはホントに困るんですが、読み終えると、『ためらい』というタイトルそのものな感じがします。
本国での評価も真っ二つだったそうですが、これ、ダメな人は全然ダメだと思います。でも、好き♪
杉田比呂美さんのイラストがぴったりくる感じのハードカバー(男の子が可愛い♪)がオススメなのですが、文庫(集英社文庫¥362)も出てます。
Loud Minority
| 7 件中 1 件~ 7 件を表示 |
