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片桐真琴さんのレビュー一覧

投稿者:片桐真琴

55 件中 1 件~ 15 件を表示

憲法「改正」は何をめざすか

2002/05/26 19:15

安易な憲法改正論に惑わされないために知っておくべきこととは

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

90年代に入って以降、憲法改正を目指す動きが活発になってきた。かつての改正論は9条一辺倒だったものが、最近のものは環境権やプライバシー権、さらに首相公選制など人気の高そうなものを9条と抱き合わせにして持ち出しているのが特徴といえよう。
このような憲法改正への大きなうねりがいったいどうして出てきたのか、彼らはいったい何をめざしているのか、といったことを分析をし、その答えを提示しているのが本書である。詳しくは本書を読んでもらうとして、そこには「経済のグローバル化」と「新自由主義改革」が背景にある、と指摘する。どちらも経済界からのものであるが、前者は自衛隊の海外展開を、後者は日本社会のアメリカ型弱肉強食経済への転換を模索する動きと連動している。そのために現憲法全体が邪魔になり、環境権など人受けのいい問題を突破口に、彼らに都合のいい社会を実現するために改正を目指しているのだ。安易な改正論に流されないために、彼らのねらいを知っておく必要があろう。

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リターンマッチ

2001/12/20 14:34

熱くて、暖かい、教師と生徒の心の交流記

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この本は、西宮市立西宮西高校(現兵庫県立西宮香風高校)という定時制高校を舞台にした、脇浜という教師とボクシング部員たちとの熱い心のぶつかり合いと交流の記録である。
 定時制高校に通う生徒たちの多くは、母子家庭であったり、学校になじめなかったり、といった何か「訳あり」であるという。本書の主人公、脇浜義明氏もまた学生時代そうとうの「ワル」で、父親の顔も知らず、苦労して定時制の高校、大学を出て教師となった人である。
 ある年、生徒たちがボクシング部を作りたい、と言ってきたときも彼は最初は乗り気ではなかった。しかし、次第に生徒たちと一緒にボクシングにのめり込んでいく。生徒たち以上に彼が熱心になっていくのである。授業に出なくてもボクシングの練習だけには来い、と言い、時折授業があるのを忘れるほどに。彼もまた高校時代にボクシングをかじっていたのである。
 しかし、生徒たちはときにはサボり、失踪し、練習に来なくなる。これまで何事につけて放っておかれたり、最後までやり通したことのない生徒たちであるから、それもやむを得ないのかもしれない。そのたびに彼も傷つき、失意にふける。それでも彼は決して生徒に背を向けたり、手を出したりはしない。口は悪いが優しい眼差しで彼らの成長を見つめていく。最近は「ゴンタクレ」がいなくなったと嘆きながら、今日もまたリングに顔を出し、部員たちのパンチを受ける。
 そんな彼と生徒たちとの心のぶつかり合いは、近年社会が近代化と効率化の名の下に忘れ去ってしまったものではないだろうか。これまで敗者であり続けてきた彼の生徒たちにとって、ボクシングがリターンマッチとなるようすべての情熱をかたむける。この充足感が、彼にとってもまたリターンマッチなのだろうか。

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しょうぼうじどうしゃじぷた

2001/05/21 16:10

じぷた、大活躍

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 じぷたはジープを改造した消防車。ちいさいのであまり相手にされません。ところがある日、となりまちで山火事が起きて…。子どもたちは消防車が大好きだ。サイレンを鳴らして疾走する姿にわくわくするのだろう。そんな子どもたちにお薦めの一冊がこれ。ちいさなじぷたと自分とを重ね合わせて、ちいさくたって関係ないぞ! とばかり、じぷたの活躍に心躍らせるのだろう。とにかく読んでみて欲しい。

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スポーツを殺すもの

2002/12/05 23:07

スポーツの闇を暴く

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「スポーツ」と聞いて、私たちは「健康的だ」とか「健全な」といったイメージを、まず思い浮かべるだろう。スポーツをすると気持ちがいいし、また、優れたプレーや、ライバルチーム同士の手に汗握る試合を観戦したりすると、この上ない喜びを感じたりもする。テレビをはじめとしたマスメディアは、こういう表の部分をセンセーショナルに、時には感動の押しつけのような仰々しさで報道する。しかし、一歩踏み込んで、その裏側ではいったい何が起きているのかということを私たちが知ることは非常に困難である。

私たちがスポーツに抱くポジティブなイメージとは異なり、その裏側では、開催地をめぐる買収工作など、オリンピックも、ワールドカップも、商業主義と金権体質に取り込まれて、おおよそスポーツを語る資格のない団体によって開催されている。日本国内においても、日本体育協会やJOCら、スポーツ団体の多くは、学閥や保守的な古い体質が支配し、各種の利権が渦巻いている。スポーツはまた、ナショナリズムを煽る政治家やハコモノ建設の利権をむさぼる企業に常に翻弄されている。

このような、まさに「スポーツを殺す」ものたちを糾弾し、不正を糺すべき立場にあるマスコミもまた、野球やマラソンなどの中継を媒介としてこれらの渦に飲み込まれて、本来の役割を放棄してしまっている。

スポーツをめぐる情勢は、国際的には、商業主義に毒されてその存在意義が怪しくなっているオリンピックやワールドカップ、国内に目を移すと人気低迷に拍車がかかるプロ野球や大相撲、とっくの昔に存在意義を失ったにもかかわらず存続し続ける国体など、日増しに厳しくなっており、もはや危機的でさえある。

著者はこのような状況に警鐘を鳴らすべく、果敢に「スポーツを殺すもの」たちを糾弾する。本書で著者が指摘するスポーツ界に蔓延する商業主義や金権体質、スポーツの政治利用などは、本来あってはならないものである。しかし、いまスポーツ界を牛耳っている人たちは、自分たちの保身と利権獲得に汲々としており、本書を読むと、彼らの体質が私たちのイメージするスポーツといかにかけ離れているか、いかにスポーツが危機的状況にあるかを知ることができる。

著者は「日常的にテレビから流されるスポーツ報道を単に消費する(感動したり、熱狂したりして)だけでなく、その裏に錯綜した思惑が隠されていることを知らなければならない。なぜなら、そうした思惑に影響されてスポーツ世界に多くの深刻な問題が起きているからである。」と指摘する。スポーツを真にスポーツたらしめるために、スポーツを愛する私たちがこのような問題意識を常に持ち、鋭い目を光らせ続けなければならない、と認識を新たにさせられた。

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サッカーの敵

2002/09/29 13:10

だからサッカーはおもしろい

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「サッカーの敵」とは何とも刺激的なタイトルだ。内容は、といえば、タイトルほど刺激的なわけではないが、Jリーグを見慣れた目からみれば、そこに語られているエピソードは十分に刺激的である。

本書は、ウガンダ生まれのイギリス人サッカージャーナリストのクーパー氏が、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ大陸の計22カ国を9ヶ月かけて旅したその集大成である。世界の多くの国でいかにサッカーが大きな影響力を持っているか−時には政治すら動かす!−ということを示すエピソードに事欠かない。政治家はサッカーを自らの浮揚のために利用する。代表選手の選考だけでなく試合のメンバーにすら口を出す。クラブあるいはそのオーナーは八百長をしかけ、時にはフーリガンを雇うことさえ厭わない。サポーターも、社会階級や宗教、人種・民族によって応援するクラブが厳然と分かれ、クラブを通して激しく対立する。

著者が見聞きし、この本で紹介されているだけでも日本の“クリーン”なサッカーになれている私は、他の本である程度知っていたとはいえ、驚きを隠せない。サッカーをめぐって、こんなにも人々が熱くなり、熱中し、まさに人生そのものであるかのようにのめり込んでいるのだ。だからこそ、本書で紹介されているような、驚くべき“事件”の数々は起きるのだろう。著者もまたサッカーに並々ならぬ熱意を持った一人だ。そうでなければ、こんなサッカーの暗部を聞かされるとサッカーに幻滅し、本書がただの告発の書になってしまっていただろう。本書を一読し、私は逆にますますサッカーの奥深さに気づかされ、今以上にサッカーを好きになりそうだ。サッカーの裏側を知っておくことは、サッカーをより深く知るためには大切なことである。読むのに骨は折れるが、ぜひ本書を手にとって読んでみて欲しい。

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誰が日本経済を腐らせたか

2002/02/19 11:24

日本経済の腐敗構造を追及し、再生への道筋を語る

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 なんとも刺激的なタイトルの本だが、内容もまた、テレビや新聞などのマスコミとは一線を画し、人気政権に迎合的でなく、真っ当であることが難しい世の中で非常に真っ当であるという意味において、まさに刺激的である。今の小泉内閣の経済関係閣僚をみてみると、不良債権処理を遅らせ、ITバブルを煽り、経済の低迷を長引かせた戦犯が、責任も取らずにいまだ居座っていることが分かる。本書は、一貫した主張を続けてきた金子勝、佐高信の両氏が、今の日本経済に低迷をもたらした政治・経済の腐敗構造を暴き、どこに問題があるのか、誰に責任があるのかについて厳しく追及し、日本経済を立て直すためには何が必要なのかを語り合った対談集である。両者が経済が分かっていないと指摘する小泉総理が「改革」と叫ぶだけでは何も変わらない。今一度、国民が日本経済を考える際に何が重要なのかを考える上で格好の手引きとなるだろう。

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メジャー・リーグを100年分楽しむ

2001/09/05 12:00

100年前のメジャー・リーグ

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 イチロー選手や新庄選手の活躍によりメジャー・リーグがますます身近になりました。1876年にナショナル・リーグが誕生してからすでに100年以上が経っています。いったい100年前のメジャー・リーグはどんなものだったのでしょうか。
 驚くなかれ、本書によると、その当時すでにピッチャーはカーブを投げていたし、ヒットエンドランなどの多彩な攻撃が行われていたそうです。また、ファウルがストライクとされるようになったのやウォークがボール4つで成立するようになったのもこのころのことです。タイ・カッブやサイ・ヤングなど一度は名前を聞いたことのある名選手も輩出されました。ベーブルースの登場はもう少しあとのことです。この当時はまだルールが流動的だった時期でもあり、ルールの隙間をついたおもしろい出来事もありました。本書から一例をご紹介してみると、二塁から一塁に盗塁した選手や曲がったバットが登場したりもしました。また、満塁で二塁に盗塁した間抜けな選手(この選手の名前がへまなプレーの代名詞となってしまった!)や打った後に三塁に走った選手などなど。
 本書は、このようなおもしろいエピソードとともにルールの起源やリーグの変遷などいろんなベースボールに関する情報が満載です。たかが100年前のベースボールとあなどることなかれ。現在のベースボールがこの時期に完成し、それが基本となって今でも続いているのですから。
 イチロー選手の属するマリナーズもプレーオフ進出を決めました。ワールドシリーズ出場を目指してがんばって欲しいものです。そのワールドシリーズの起源もこの本を読めばばっちり分かります。野球の好きな人は「必読の書」です。

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ブルドーザとなかまたち

2001/05/19 23:31

大好き、はたらくクルマ

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 ブルブルブルブル、ギーギーギー。ブルドーザーやショベルカーが働いているところを見る子どもたちの目は輝いている。みんなはたらくクルマが大好きだ。そんな子どもたちのためにこの絵本はある。絵はリアルで、それでいて暖かみがある。そして実際にそこにあるような錯覚にとらわれてしまう。各ページに小さく描かれている犬もほほえましい。お子さんに読んであげると喜ばれること請け合いです。きっと身体を使ってブルドーザーやショベルカーのまねっこをはじめることでしょう。親子で楽しんでみてください。

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F1影の支配者 ホンダ・トヨタは勝てるのか

2002/11/21 00:08

F1を少し詳しくしるために

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今年から、ホンダに加えて、佐藤琢磨とトヨタが新たに参戦し、日本でもF1グランプリは久しぶりの盛り上がりをみせた。それにあわせて新たにF1に関心を持った人も少なくないだろう。毎年世界各地を転戦して行われるF1は、観客動員やテレビ視聴者数などを勘案すると、オリンピックやワールドカップをしのぐほどの規模へと膨れあがっている。1980年頃までは、世界選手権とはいいながら、それほど規模の大きくなかったF1がなぜこれほどまでの隆盛を極めるようになったのだろうか?

本書の冒頭第1章で、著者はこの原因を解き明かすべく一人の人物に焦点をあてる。少しF1に詳しい人なら一度は耳にしたことのあるであろう、“バーニー・エクレストン”、彼こそがその唯一にして最大の要因である。裏ではいろいろとよくない噂もささやかれてはいるが、彼の手腕なくしては、F1がここまでの成功を収めることはなかったであろう。彼の足跡がすなわちF1の興業面における発展の歴史である、と言っても過言ではないというのだからなんともすさまじい。著者は、エクレストンという人物のことこそが、最も書きたかったところだと述べているが、彼には裏の部分があまりに多く、古くからのF1ファンにとって、いささか消化不良の感がしないでもないのは残念である。彼の力の大きさを考えるとそれも今は致し方ないのだろう。

第2章以下は主としてF1の歴史についてページが割かれている。そもそもF1とは何か、から始まり、スポンサーの果たしている役割や、フェラーリなど現在も活躍しているチームと撤退したチームも含めたF1チームの栄枯盛衰、自動車メーカーとの関わり、そして忘れてはならないホンダやトヨタなど日本との関わりなどについて書かれている。
新しいF1ファンにとってはF1の知識を増やすのにうってつけである。また、昔からのファンにとっては、懐かしいチームやドライバーの名前に郷愁をそそられ、また、F1への興味を新たにするに違いない。

本書はF1をマシンや技術などのハードからではなく、興業やチーム運営などソフト面からとらえているので、文系人間にとっても非常にとっつきやすい本になっている。また、どの部分も簡潔に判りやすくまとめられており、最近のF1関連の本の中ではイチオシといえよう。

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小泉改革と監視社会

2002/07/30 23:44

オーウェンの『1984年』の世界がすぐそこまできている

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近年、やたらと監視カメラが増えてきた。道路に設置されたNシステムや街角に設置されつつある「防犯カメラ」と称するもの、さらにはコンビニにまで警察のカメラは進出してきている。これらに顔認証技術などがリンクし、さらに2002年8月から稼働する住基ネットのコード番号がリンクするようになるとすれば・・・。さらに政府は住基ネットとからめてICカードを国民に持たせ、そこにクレジットカード機能や「suica」機能などを盛り込ませようとしている。もしそうなれば、あなたに行動の自由はない。
権力はそもそも国民一人一人の動向を掴んでおきたい、自由にさせたくない、といった欲望をもつ。できるなら監視し管理しておきたい、と。本書が指摘するように、小泉改革は、新自由主義によりグローバリズムを押し進め、大企業中心の社会に造り替え、さらに、「教育改革」により経済的・社会的に恵まれた一握りのエリートを養成し、彼らが国を支配しする社会を意図している。小泉改革を押し進める人たちは、大多数を占める“ふつうの”国民を、ただ彼らに唯々諾々と従う者としてしか位置付けてはいない。
だからこそ、監視社会が強力に押し進められようとしているのだ。一般国民が政府に反抗することのないように。本書は将来をこう危惧する。「人はICカードの利用を通して丸裸になり、国家や民間企業や、要するにあらゆる社会システムに見張られ、誘導されて、労働力なり消費者として奉仕させられるだけの人生を強いられることになる。」と。住基ネットはそのための基本ツールであり、また、メディア規制3法案もそれを支えるものである。将来後悔しないために、我々はしっかりと本書の指摘をかみしめ、行動しなければなるまい。

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憲法「改正」の争点 資料で読む改憲論の歴史

2002/07/29 21:50

改憲論の歴史を知るのに便利な一冊

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最近、憲法改正をめざす動きがあちらこちらから出てきている。これらの多くは、結局のところ9条を変え、正式に軍隊を持ちたい、というところに行き着くのであるが、首相公選制や環境権などの新しい人権を持ち出して、それを改憲のきっかけにしようという少し手の込んだものもあらわれるようになっている。
これら時代と共に、手を変え品を変えて出てきている改憲案の主要なものを網羅したのが本書である。といっても改憲派によるものではなく、護憲派の代表的な論客によってまとめられたもので、改憲案の資料と共に、このような動きの背景をさぐり、改憲派の本当のねらいについて、厳しく指摘する論考も一緒に収録している。
安易な改憲論に流されて、将来に渡って後悔することがないためにも、このような動きについてしっかりとした認識を持つことが大切である。本書はそれを手助けする大きな武器となろう。

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有事法制 何がめざされているか

2002/07/25 00:11

有事法制がめざす本当のところ

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小泉首相は有事法制を問われて「備えあれば憂いなし」など一見もっともらしいことを繰り返し、それとあわせて不審船事件などを奇貨として北朝鮮の脅威を強調し、国民の不安をあおったりしながら、だから有事法制が必要なのだという。果たして本当にそれを言葉どおり受けとっていいものなのだろうか。
本書は、有事法制とは何か、から始まって、なぜいま有事法制が目指されているのかを解説し、私たちはそれに対して何をなすべきなのか、を提言する。著者は、首相はじめ政府・自民党が有事法制をいま急いでいるのはアメリカの世界戦略と密接に関連していると指摘する。国内に向けては「日本が攻められたら」といったほとんどあり得ない事態を持ち出して世論操作まがいのことを行いながら、アメリカが日本周辺で起こすであろう事態を日本有事と強引に結びつけるために「武力攻撃が予測される事態」などという新たな定義を持ち出してきたのだと鋭く指摘している。
いま目指されている有事法制は、著者も指摘するとおり、日本を戦争をする国へと作り替えるための布石に過ぎない。これらの法案成立を許せば、憲法が保障する国民の基本的人権や地方自治は、ますます窮地に追い込まれてしまうだろう。日本が戦争をする国になってしまわないためにも、私たち国民はしっかりとした認識を持つ必要がある。本書はそのための格好の入門書といえよう。

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もう一度あるきたい 競歩界のシンデレラガール板倉美紀奇跡の復活

2002/07/20 15:19

まさに奇跡の復活。

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競歩という競技をご存じでしょうか。読んで字のごとく歩く速さを競うスポーツです。この競歩でバルセロナ五輪を前に彗星のごとくあらわれたのが、当時まだ高校生だった板倉美紀選手。日本陸上史上最年少でオリンピックに出場し、将来を嘱望されたこの新星は、直後、奈落の底に突き落とされてしまいます。練習中に事もあろうに大型ダンプにひきつぶされたのです。それはあまりにも凄惨で書くのもはばかられるほどの大事故だったようで、生きているのが不思議なほどだったといいます。幸いだったのは、頭部と心臓のある左側が無事だったことだそうです。

なんとか九死に一生を得た板倉選手は、「歩きたい」一心で、何度もの手術に耐え、厳しいリハビリにも耐えて、徐々に競技に復帰していくことになります。しかし、事故の後遺症は容赦なく彼女を襲います。そのたびに、彼女は苦悶を繰り広げ、なんとか細い道を切り開いていくのです。そして、家族をはじめ、彼女を取り巻くたくさんの人たちもまた、いろんな葛藤を抱えながらも、彼女を支え続けます。

この、彼女の競歩にかけるすさまじい執念が、本書を読むにつれ、私の心の底に熱いものを呼び起こさずにはいませんでした。本書によると、彼女は寡黙でおっとりとした人なのだそうです。著者の取材に対しても、感情的なことはほとんど口にせず、ただ事実だけを淡々と語ったといいます。それは彼女の性格から来るものだけなのか、それとも事故以来何度も繰り広げたであろう苦しい心の葛藤を見せたくなかったからなのでしょうか。

板倉美紀選手は次のアテネ五輪めざしてトレーニングしているそうです。ぜひともアテネの地で颯爽と歩いている彼女の姿を見たいものです。

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ファストフードが世界を食いつくす

2002/06/22 20:27

ファーストフードがもたらす“闇”に光を照らした労作

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マクドナルドをはじめとしたファーストフード店は日本でも当たり前の存在となって久しい。どの店でも、きれいにパッケージされた同じ味の食べ物が出てくる。そして、華やかなコマーシャルともあいまって、一般に非常によいイメージを持たれている。ところが、一歩裏に回ってみると…。
本書は、ファーストフード発祥の地アメリカのファーストフード事情をルポしたものである。表面的な現象だけでなく、そのたどってきた歴史を踏まえながら、決して表からは見えない闇の部分を徹底的に掘り下げた労作である。安いハンバーガーやフライドポテトの影には、買いたたかれ、廃業を余儀なくされた生産者や、労働法に違反して働かされている従業員がいる。そして、O157やサルモネラ菌に冒された肉を出荷することさえ何とも思わない経営者。そんな彼らが規制緩和の名の下に食品の安全管理を骨抜きにすべく保守派政治家に働きかけ、献金ほしさに政治家がそれに応えようとする。
まったく驚愕すべき現実がここには描かれている。舞台は日本ではない。けれども、アメリカの後を追い続けている日本で同じことが起こらない保障はない。雪印食品の牛肉偽装事件や無認可香料使用事件などが明るみに出るにつけ、なんとも心許ない。
ファーストフード先進国で起こっていることを知ることは決して無駄ではない。それを他山の石とし、日本で同じことを起こさないために、消費者である我々はぜひ知っておくべきである。

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敗北を抱きしめて 第二次大戦後の日本人 下

2002/04/06 12:20

日本人が忘れてきたもの

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 敗戦直後の日本の社会状況を概観した上巻に引き続き、この下巻は天皇の戦争責任をめぐる駆け引きや新しい憲法の制定をめぐる政治状況、東京裁判に代表される戦争犯罪追及の状況を概観している。さすがにピュリッツァー賞を受賞した作品だけのことはある。膨大な資料を読み解き、その当時の時代の雰囲気や生き馬の目を抜くような交渉のありようを巧みに描ききっている。これだけの大作で、テーマも重いものであるにもかかわらず、最後まで一気に読ませる著者の力は並大抵のものではない。特に新憲法制定をめぐる場面は、それに関する本をこれまで何冊も読んできたが、最も優れたものであると断言できよう。戦後の日本を語るのにもはや本書抜きには語れない。

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